「やりたくてやって何が悪い。」あのこと だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
やりたくてやって何が悪い。
細い金属の棒(あれが編み棒なのかな?)で、自分で掻き出そうとするシーンが、痛そうで怖くて身を捩らせずにはいられなかった。目も逸らした。
闇の中絶処理はなんでその場で掻爬しなかったのかな?と思ったけど、後で考えてみると、妊娠証明書がある(妊娠してることが国?に把握されてる)から「流産」と診断されなければ罪に問われるから、掻爬して「中絶」してしまってはいけなかったってことか?と思い至った。正解かは知らんけど。あの処置は人工的な流産を引き起こしたってことなのかな。
痛くて辛くて、もう一度見たいとは思わないけど、観る必要があったと思ってる。
セックスを楽しむ権利は誰にでもある。やりたい時にやりたいようにやっていい。互いの同意があればね。
その結果の妊娠出産を望まない権利もある。
中絶したい/した女「だけ」を責める非対称性、差別性をわたしは許せない。
その妊娠を引き起こした精子の製造元の男も、社会的にも経済的にもあらゆる方向から女同様に責められるならまだしも、女だけを責めるのが許せない。ちょん切られろ!と思う。
セックスをしたことはあるけど、わたしは妊娠した事がない。それは運がよかっただけ。わたしはアンヌになる可能性があった。アンヌの部屋に来て自分の性体験を語った友達と同じ。誰だってそう。あの苦しみは自分のものだったかもしれない。
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21世紀の日本で認められている中絶方法は掻爬が中心で、世界で主流の中絶薬が認可されてない。認可の動きはあるが人工中絶と同程度の薬価を想定してるとか…ふざけてる。
その上、中絶に配偶者やパートナーの同意がいる。自己決定権が認められず、経済的負担も高く、罪悪感は女だけに押し付けられてる。
許さん。
この現実がわたしを絶望させて久しく、絶望が欲望をかき消してしまったのだった。
もう今生ではセックスしないんだろうな…