「マザー」パワー・オブ・ザ・ドッグ 774さんの映画レビュー(感想・評価)
マザー
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あらゆるものに障害物はない
男らしさとは。
「女っぽい」男を揶揄って馬鹿にして、それで得られるものではない。
フィル(カンバーバッチ)は、弟の結婚相手の連れ子・ガリガリのピーター(コディくん)を女々しいと虐める。女である彼の母ローズ(ダンスト)にも同様に。
奥底にあったのは、抑圧された感情。「らしさ」で隠す本性。
フィルはゲイだった。憧れの恩人と語るブランコ・ヘンリーの裸写真と彼を感じられる水辺の「聖地」でのみ、ひっそりと感情を解放していた。
ピーターが「聖地」に踏み入れ、怒りを爆発させることでフィルのタガが外れたのか。これを境に二人の関係は変わっていく。
The Power of the Dog
「私の魂を剣から、私の最愛の人を犬の力から救い出してください」
旧約聖書の詩篇からとられているらしく、「犬」は「邪悪」を意味するらしい(犬好きの私はなんというか複雑な気持ちではあるがまあそれとこれとは関係ない)。
ピーターの決断、動機が垣間見られる最後。医学のために、楽にしてやるために、ウサギを淡々と締め殺す行為と自殺した父が語っていた「(ピーターは)冷たく、強すぎる」という言葉と繋がってくる。
すべては母のための復讐計画。
ジョン・ウェインタイプの西部劇も好きだが、こういうタイプも好き。
キルステン・ダンストはアルコール中毒がよく似合う。
ピーター役のガリガリの子はサイコパス感がぴったり。
カンバーバッチはシャーロックやストレンジのようなキャラクターもできるし、こういうのもできるから素晴らしい。
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