ある男のレビュー・感想・評価
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描かれない人生まで想像させる役作り
全ての登場人物が描かれていない人生まで
容易に想像させる凄まじい役作り。
本人の意思に関係なく
背負わされる容赦ない現実。
自分の意思を最優先し
他人を慮る気持ちが欠如した
残酷な偏見やヘイト。
普段のニュースでは見えてこない
加害者家族が受ける理不尽で厳しい現実。
何気ない朝の食卓のシーンが
窪田正孝演じる「ある男」にとっては
何ものにも代え難い幸せな時間だったのですね。
当たり前の日常が過ごせるありがたさ。
最後のあのシーンは個人的には蛇足でした。
ドキュメンタリーレベルの素晴らしい作品が
あの場面で急に映画っぽい映画に。
アルオ
「ある男」、もちろん窪田正孝演じる男のことだが、真木よう子の浮気疑惑からラストで(慣れた態度で)自らを偽る至るシークエンスによって、妻夫木聡のことをも指しているのではと感じた。帰化した三世である立場を柄本明のみならず義父までがあけすけに差別する。他人であったらと何度も思ったであろう過去を不遠慮にまさぐる。繰り返し見てきた予告編を裏切る展開に、こちらの気持ちもまさぐられる。
映像は地方ロケも丁寧で美しかった。
気になった点、真島秀和の役は、旅館を立て直した程の男であればあれほど他人をあからさまに傷つける言動はしないのではと思ったし、抑えても嫌悪感は伝えられるのではとおもった。
役者では推しの河合優実に触れなければならないが、清野菜名の役のように現在の見せ場が欲しかった。
丸の内ピカデリーの2階センターで鑑賞。
よく出来た、考えさせられるヒューマンドラマ
「すずめの戸締り」と「ある男」を立て続けに見ました。すずめは高校生の青春成長物語、ある男はヒューマンドラマの秀作。面白かったし考えさせられる。最初に後ろ向き2人の絵画があり、ラストでは後ろ向き2人の映像。後ろからでは誰かよく分からないが、前から見たら名前も正体もわかる。でも1人の人物は前から見ても同じ。でも知らない別人・後ろ姿になって生きていきたいこともある。そもそも人を評価するのに今を評価すれば良いだけなのに、我々は人の過去や私生活等を知りたがる。その人の過去や出生は直接関係ないはずなのに。芸能人も演技だけ評価すれば良い、私生活は関係ない。プロレスラーはリング内のパフォーマンスだけ評価すれば良い、他は関係ない、でも人の覗き見趣味が悲劇も生み出す。そんな人間の心の邪悪を封じ込めるため、災いが起こる前に、邪悪な心の扉を締めて鍵をかけねば🤔
Identity
かなり重い作品であろう事は上映館での予告で何度もリピートされた印象で刷り込まれ、ブッキーの眩しがる顔が目に焼き付かれてしまった程
なにせ、出演俳優の豪華さは最近の作品では類をみない作品である こんな演技力の高さが段違いの集結がどれだけの上質なサスペンスをスクリーンに描くのだろうと相当のハードルを設定して鑑賞した
結論から言うと、多分今年鑑賞した作品中でも最上質の内容に仕上がっていた あれだけ長い期間の予告を流せば何となく飽きも憶えてしまうが、全くそんな心配は無用であり、それ以上にあの予告にはかなりの情報を上手に控えていたことに感謝すら覚える そして意外にも手練手管の俳優陣もさることながら、子役の中学生の息子役の男子の演技にこそ今作品のキモが潜んでいたことを強く感じてしまった 自室での母親とのやり取りは正に落涙を禁じ得なかったクライマックスである
在日、死刑囚の息子、詐欺師の発言、というこの日本に於ける被差別者の苦悩をこれでもかと抉り倒すには、その差別者である半径1mの近隣者の無神経且つ執拗な心にない言葉が必要であり、今作品にはそのやり取りが効果的に演出されており、その負の推進力がストーリーをまるで飛んでいく風船のように縦横無尽に動いていくのである その被差別の発覚は唐突であり、観客に驚きと、やっと今作品のテーマを突きつけられて戸惑う そう、本来ならば蓋をしたい問題提起なのだから… そこを予告では綺麗に削ぎ落とし(勿論、原作小説を既読者は頭の中にあるのだが)、今ストーリーを初めて知った人は面くらい、その騙し討ちの様な感覚に戸惑うことだろう
但し、自分は思い当たるフシがある、というか当事者だ(被差別者という意味) あからさまな差別を受けなくてもこの国では真綿で首を絞められる事は日常茶飯事である そんな中で主人公2人の背負ってきた背景の凄まじさは身に沁みる疑似体験としての鑑賞であった。そんな作品なのでパンチラインも心に重くのし掛る 「誰の人生と一緒に生きてきたのか…」「自分は一体何者…」「やっぱ親父の血を継いでるんだな」等々、その台詞に解釈等に不必要なストレートな刃が心を刻んでいく まるで当て書きのような配役の2人が陰と陽の様にキャラ付けされているのも感情移入に一役買っている そしてこれが正にラストのミステリーに重要なファクターなのも仕掛けとして段違いである
今ミステリーを紐解く鍵は"ロンダリング" 戸籍をどうやって交換するのかは今作品では説明していないのは犯罪助長に繋がる理由なのは理解出来るのだが、リアリティを味付けするのにはもう少しパンチが欲しかったのは無い物ねだりか(苦笑 それにしてもその交換を何度も繰り返し"上書き"することで元の名前をウォッシュしてしまう方法は、マネーロンダリングと同様かと気付けば腑に落ちるがやはり、金と戸籍ではイメージが湧かない。そのイマジネーションの朧気さを登場人物の多さと相俟って展開を深霧の中に沈めていくのである そして一応の本物語の終結でのカタルシスで安堵を演出したかと思いきや、実は弁護士の妻が浮気していたという事実に、その弁護士も又自分の出自をロンダリングしたと思わせるバーでの場面でエンドロール。一筋縄では行かない今作品の複雑な構造を堪能できた作品である。社会問題、作品自体の多重な構築、そして自分に当てはまるテーマ内容、どれをとっても没入感、そして憤りと悲しさが綯い交ぜに心に注ぎ込まれた素晴らしい作品であった
リアル日本の「過去の」「戸籍ブローカーもどき」と、そして「今の」それに共通するもの。
今年337本目(合計612本目/今月(2022年11月度)24本目)。
さて、「法律枠」という観点では今週本命で見に行ったし、法律以外にも憲法(人権)などいろいろな論点が絡んでいる作品です。
ただそのことは多くの方が書かれていることですし、多言を要さないでしょう。
映画内で触れられている、「巻き込まれざるを得なかった事情の人たち」は今現在でも存在し、そうした方がこの映画で触れられる悲惨な結果にならないよう、個々人の人権意識を高めていかなければ、という趣旨の作品だと思います。
さて、さっそく採点いきましょう。
やはり行政書士とはいえ資格持ちなので、特にこの映画はいろいろ気になる点が多いです。
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(減点0.3/「戸籍ブローカー」の売買人に関する描写がない)
・ 「戸籍ブローカー」、正式な用語でもなくそもそも「正式な用語」が存在しませんが、「戸籍売買」などでも検索すると今でも存在はするようです(もちろんアウトです)。
ただ、「ブローカー」だろうが「売買」であろうが、あの映画内で収監されている方は、公正証書原本不実記載罪(刑法)や、戸籍法(個別の行政法規の罰則規定)違反の扱いです。これはちらっとですが出ます。
さて「ブローカー」であろうが「売買」であろうが、「1人で」あれこれ勝手に好き勝手あの人この人入れ替えるというのはただの「愉快犯」です。つまり換言すると、こういう「仕事」(「仕事」というのか怪しいですが…。便宜上。以下同じ)が成立するためには、戸籍を「買う側」「売る側」の存在が欠かせません。そうでないと「まとめ役」としての「ブローカー」が成立しないからです。
しかしブローカー(実際に書類を出す側)はもちろん、売る側買う側も、それが違法であることを知っておきながらお願いするというのは、それもそれで法に触れます。もちろん、「何とかプレゼントに当選したので、氏名と住所、電話番号を書いて送ってください」みたいなはがきがきて、まさか悪用されたというような、「被害者側が善意無過失」(=事情を知らず、かつ、過失がない)ケースならともかく、普通は「売る側」「買う側」も当然認識しているため、売る側・買った側も当然逮捕はされえます(主犯と比べると軽くはなるとは思いますが…)。
映画内ではなぜかこの点の描写がないのが謎です。ただこの点を描くとストーリーの大半が崩壊してしまうという論点があるのも確かで(映画のストーリー参照)、仕方なしかなという気がします。
(参考/減点なし/リアル日本の「戸籍ブローカー(もどき)」が起こした現在の闇)
・ このことは実は重要なことで、この映画の「主題」にも一つかかわってきます。
戸籍や住民票は、「自分のもの」なら、身分証明書一つ出せば出してもらえます。最近はコンビニなどでの発行も可能になった自治体もありますね。家族といった「ちょっと広いが、それでも身内といえる範囲」なら、「この人に委任します」というようなものがあれば可能です。しかし、まったく無関係の人の戸籍や住民票を取り出すことは普通できません。
さて、時間軸をリアル日本に戻します。戦後の日本では、この映画のような「戸籍ブローカー」(または、戸籍売買屋、などと呼ばれていた)がいたのは事実です。ただそれは、いわゆる「外国人差別(特に在日韓国/朝鮮人の差別が醜悪だった)」や、「いわゆる同和地区・被差別地区差別」といった問題がリアルで起きており、これらから逃れるためにやむを得ず行われたケースが大半で、これも当然、上記の法には触れますが、事情からして相当「酌むべき事情」が多いので、単なる「お金欲しさ」という事案と比べると、言い渡される刑期などもある程度調整されています。
ところが、これとは別の意味での「戸籍ブローカー」が日本にも存在した歴史が存在します。
日本では、弁護士をはじめとした各種の法律職(行政書士も含む。ほか、司法書士や社労士など、限られた国家資格を持つ人)は、「その職務に必要な範囲で」住民票や戸籍などの情報を得ることができる制度はもともとありました(この制度を「職務上請求」といいます)。
そして、日本では特に「結婚・就職差別」や「同和地区差別」といった事案において、そのリストを作るために延々と職務上請求を繰り返したりといった「趣旨を逸脱する」ものが現れ、あまりに悪質なものは逮捕、そうでなくても廃業命令等厳しい対応が取られています。つまり、「弁護士を頂点とした、弁護士を補う形でそれぞれの専門性を生かして法律のお仕事をする」立場の人たち(もちろん、行政書士=たとえば、外国人の就労支援などをサポートするのが一類型。ほかにもあります)」が加担していたケースすら、昭和~平成1桁の時代には普通にあったのです。これが「ある意味」、もっと悪質な「戸籍ブローカー(もどき)」です。
※ ここでいう「戸籍ブローカー(もどき)」というのは、映画内での描写以外にも、広く「戸籍制度を悪用する」という広い意味です。
このようなことがあまりに多発したので、各業界(例えば、行政書士会等)も研修(人権啓発など)を充実させたほか、これに対応する形で法が改正され、「職務上請求が行われた場合に本人に「請求がされましたよ」という通知が飛ぶ」ようになりました(「本人通知制度」といいます。事前に登録しておく必要があるので注意)。
また、これら職務上請求はどうしても実務上必要なので今でも使われていますが、(例えば、行政書士の場合)その職務上請求の用紙は個人ごとに異なる番号が割り振られて印字され、番号(何枚目、ということ)も付されるようになり、あとから「何のために使ったのか」を調べられるようになり、不正防止がほどこされるようになりました(このように、「誰がいつ使った」は今では即座にわかるようになっていますし、そこでの調査で何ら業務に関係しない個人の情報をのぞき見しましたというのは、基本的にかなり重たい処分になります)。
実はこうした「本来、法を守るべき側の法律職・法律隣接職による、ある意味で戸籍ブローカー」(より正しく言えば、見る必要もなくセンシティブな内容をみだりに見る、という、業務と無関係な乱用)がリアル日本には「存在した」、ということ、それは、一合格者の目線でも忘れてはいけない、そう思います。
つまり、ここまでを換言すると、「リアル日本では、過去に戸籍・住民票を「正規に」手に入れられる職業の方(これらの方は、立場の差はあれ法を順守する、人権を尊重する、という立場に立ちます)が、この映画で描かれているような、今でも続く「差別問題」に手を出していた過去が存在する」ということです(映画内では一切描かれていませんが、このことは日本のこうした人権問題、戸籍をめぐる事件では忘れはいけないことがらです)。
ミステリー & ヒューマンドラマ
たしかに戸籍を変え、違う人として生きたいと思っている人っているかもしれないですね。
窪田正孝さん演じる谷口大祐(偽)は不幸な生立ちだったけれど、戸籍を変え数年でも幸せな人生を歩めて良かったな。
ストーリーは大きな驚きも特になく星3個くらいかなと思っていたけれど、ラスト3分の衝撃で星4個になりました。
【今作は人間のアイデンティティーとは何かを問う作品であり、家族の愛を伝える映画でもある。 真の家族愛とは、血縁が無くても形成されるのである。 偏見と差別の愚かさを描いた作品でもある。】
ー 身内に犯罪者を出した家族が、その町に住めなくなり、失踪するという話は時折聞く。死刑になった男を父に持つ”ある男”(窪田正孝)の苦悩は想像が付かない。
彼の言葉”朝起きて、鏡を見ると、父がいるんですよ・・。”
キツイよなあ・・。”ある男”は、何も悪くないのに・・。-
◆感想
・今作は、アイデンティティーとは何かを見る側に問いかけてくる作品である。
”名前、肩書を越えた自分自身の社会的存在意義とは何か”・・をである。
・それと共に、人は何故、差別・偏見をするのかをも問いかけてくる作品である。
ー 死刑になった父を持つ”ある男”の心の傷を作った一因であるだろうし、在日韓国人への差別。(今作では、亡くなった夫”大佑”の身元調査を妻、里枝(安藤サクラ)から依頼された弁護士の城戸(妻夫木聡)である。
又、随所で流れるヘイトスピーチをする愚かしき人々の罵声と姿。-
・文房具屋を営む、里枝が2歳で亡くした娘の事を思い出しながら、製品を整理している所にフラリと現れた”大佑”。
二人は恋に落ち、娘も出来、幸せな生活を送っているが(”ある男”が、初めて得た家族であり、安穏の日々であったであろう。)林業を営みとした”大佑”は不慮の事故で命を落とす。
一年後、”大佑”の兄、谷口恭一(眞島秀和)は”大祐ではない”と言い、DNA鑑定の結果、別人と分かるシーン。
ー 里枝の”誰と暮らして来たんでしょう・・。”と言う哀しみの言葉と共に、城戸の調査で”大佑”の本当の名が分かる過程が、サスペンスフルで引き込まれる。
戸籍、肩書の軽さ、アイデンティティーの重さを、収監された柄本明が飄々と演じている事で、観る側に上手く伝えてくる。ー
・本当の大祐(仲野大賀)は温泉旅館を営む兄、谷口恭一とも上手く行っておらず、恋人(清野菜名)にも告げず、失踪していた事が分かるシーン。
ー 兄も、何気ない言葉の端々から、偏見を持った男であることが分かる。ー
・城戸も、妻のスマホに送られてきた知らない男のメッセージを見ても、妻には何も言わない・・。
<今作は、人間のアイデンティティーとは何かを問いかけてくる作品であり、偏見、差別を考えさせられる作品であるとともに、真の家族の愛を見る側に伝える映画でもある。
真の家族愛とは、血縁が無くてもキチンと形成されるのである。
人を偏見で見たり、差別する愚かさを描いた作品でもある。>
城ケ崎?はどこ?
幼い子供を亡くし離婚して実家の文具店を継いでいる女性(安藤サクラ)
そこにある男(窪田正孝)が訪れ親しくなり結婚。
幸せな日々を過ごしていたが不幸な事故である男が他界してしまう。
夫の実家に連絡すると、ある男が違う人物であるとわかる。
ここまでは安藤サクラ視点で描かれています。
その後、夫の正体を知るため弁護士(妻夫木聡)に相談すると妻夫木聡の視点になる。
他人になりたい人がいるのは解るけど、成り済ました人の実家の話をするのか?
ここは天涯孤独で良かったのではないか。
他人になることで他人の過去まで手に入れたがった男に巻き込まれてしまった感じ。
親の罪や出生という自分ではどうしようもないことで他人から批判されている人たちが、違う人物になることで心の平穏を得ようとしているのか?
最後のシーンは、完結で終わって欲しかったな。さんざん本編で悩まされて最後は見た人にまかせますは、無責任だしせっかくの謎解きも台無し。
絵
待ちに待った映画🎬✨
妻夫木聡さんの揺れ動く表情
笑ってるけど内心笑っていない感情
窪田正孝さん
やはり狂気な演技とても良い
優しいお父さんも善き
安藤サクラさん
子供を亡くして辛い母を演じてます
いつも素晴らしいな
ただ皆さん泣くシーン多いかなぁ
妻夫木聡さんの城戸
最後は
妻に浮気され、義理の父に在日をいびられ、自分の居場所がなくなり
谷口になりすます
あのBARだけだと思うが
それは逃げなのか、保身なのか
戸籍交換、なりすまし、親子が複雑に絡み合うなんとも巧妙な映画
驚愕のラスト3分!!!
さすが妻夫木聡さん!!
そうくるとは予想出来ませんでした!!
うーんなるほど、確かにな〜と思わせるラスト5分あたりの状況そして。。。!
ミステリーなだけでなく、人生についても考えさせられる作品でした。。
ある男って誰なのか??それを追うだけではなく、
あなたの人生は?
。。と問いかけてくる脚本でした。
役者としては小藪さんがまーあいい味出してました!!(笑)ここはちょっと楽しい(笑)小藪さん、もうまんまの性格やん!!って良かったのと、
いやーーやはりひとクセある人物をさせると柄本明さん上手い!!!分かってるけど、作品により悪徳政治家でも誰でも(今回は別に政治家ではありません。)一筋縄にはいかない人物、まーー上手い!!
とりあえず最後の3分の展開で、私はうわーーーーと思いました。ミステリー好き、多少世にも奇妙な。。っぽいテイスト(別にシンプルに現実世界の話だけですが)そういうの好きな方ならオススメです。
なかなか引き込まれる好作品ではあったのだが、妻夫木が大祐なんじゃな...
なかなか引き込まれる好作品ではあったのだが、妻夫木が大祐なんじゃないの?っていう予感が当たってしまったので拍子抜け。意外性の付け方がパターン化しちゃってるから、こういう作品何本か観てると何となく感じちゃうんですよねー。素直にあゝそうだったのか!で観終わった方が楽しいですよね。
よく見えない。釈然としない。
最後、城戸がバーで自身の人生であるかのように偽って話した内容は、原誠の第二の人生、「谷口大佑」としての人生だった。谷口の人生を継ぎ、谷口として生きた人生を尊重するような言葉に思えた。偽りの人生だが、幸福に満ちた彼の約4年間を肯定し、讃えているかのようだった。少々難解な本作の着地点としては、かなり鮮やかに思えた。一方で、いきなり城戸が原の人生を語る描写は、とても暗示的かつ婉曲的で、観客を混乱させるものだ。本作において、あらゆる描写は直接物事を言い表さない。常に暗示的で、時にはメタファーとして、物語の行方をくらませる。
故に本作は、どうも主題の掴めない物語だったと思う。自身のバックグラウンドに悩まされる者たちが、名前を変え、別の人の人生を歩む。そんな姿に、城戸は「在日」というレッテルを貼られる自身の境遇を重ねる。だが、そんな彼の心象描写も少なく、彼がどうしてそれほどまで悩み、何に思い至ったのか、一貫して晒されることはなかった。思えば、城戸だけでなく他の人物も、感情が露わになることはあっても、どの感情もその出どころはいつも分からなかった。だからなのだろう。誰かに同情することも、誰かに惹かれることもなかったように思う。
結局は「名前に囚われるな」とか、「名前なんて関係ない」みたいな主題なのだろうと思うが、やはりどこか空虚だ。もしかしたら、身構えすぎていたのかもしれないと思う。複雑に見えた構成だが、実はもっと単純で、難解なミステリーではない。目を向けるべきは、谷口大佑の正体ではなく、それにつながる語りであり、作中に散りばめられた社会的な問いかけだ。「死刑囚は変われる」「死刑囚の息子は死刑囚の息子なのだ」「また苗字が変わるの?」他にも色々あった気がするが覚えていない。物語の結尾に結びつくような結びつかないような、そんな多くの語りが本作ではたくさん見られた。それに意味を見出そうとするから、判然としなく、靄がかかってしまう。ただそれとして受け入れれば、実に単純なストーリーに見える。私は、そう思うことにした。
ナメー ロンダリング (Name Laundering)
観ればわかります❗
主役は誰?と最後まで悩みました。
仲野大賀ではないです。
アタクシ、もちろん原作は未読ですが、映画との違いをつい確かめたくなりました。
角川ではありません。松竹です。
巧妙な伏線の数々に観賞後、うーんとうなること請け合いです。そして、ひりつくような毒にしびれます。
イーサン・ホークとアンジェリーナ・ジョリーのテイキング・ライブスみたいなやつだとばかり思っていました。
浅はかでした。
在日三世の人権派弁護士の城戸(妻夫木聡)は途中から出て来ます。
田舎の文具店が実家の出戻りバツイチ子持ちの里枝(安藤サクラ)。熟女の色気が出てきました。とてもきれい。義父の柄本明もナイスアシストでした。
そこへ、客として足しげく通う谷口大祐(窪田正孝)といういかにも訳ありの影のある男。役場の営林職員に応募してきた地元民からするとよそ者。趣味は絵画。ある日、里枝にスケッチブックを見せて
「友達になってください」
・・・・
「家庭がありますもんね」
「私、離婚してて、家庭はないです」
「全然、知らなくて」
「知ってたら怖いですよ」
飲食店でのデート。2歳のかわいい盛りに小児癌で死んだ次男。治療方針の意見の違いが離婚の原因と話す里枝。
「前の旦那さんとはそれで」
もう今の旦那のつもりかい!
ええ加減にせえよ。
と軽く突っ込むオイラ。
ところが、二人きりの軽トラのなかで急におかしくなる大祐をかかえるように抱き締める里枝。
どんどん進みます。
急に可愛い娘出現。
元からいた息子役の子役がまた上手い。
そして、伐採での事故。
継父を実の父のように思い、頼りにしていた息子の寂しさ。
一周忌で初めて大祐の兄という伊香保温泉の老舗旅館の社長(真島秀和)がやってきて、仏壇に大祐の遺影がないのはなぜかと里枝に尋ねるまでがプロローグ。
いや、もう秀逸な脚本のストーリーをずっと書きたいけど、やめますね。
死刑制度
在日韓国人に対するヘイトスピーチ
過労死訴訟
親の離婚で姓が変わる子供の気持ち
戸○交○斡○ブローカー
生活保護支給問題
などなど
恋愛要素(清野菜名)も織り交ぜながら、社会派ヒューマンドラマとみせかけておいての
あのオチ(笑)
日本名(通名)ではプライドが満たされず、そのために外国人と結婚してさらに改名を企てるヒトも多いですしね。
それにしても、彼女まで取られた大賀。らしいですね。
なんか特別賞でもあげられないもんでしょうか。
女優のキャスティングも冴えていました。演技巧者の安藤サクラはもとより、真木よう子、清野菜名、そして山口百恵の再来かと期待が大きい河合優実の黒のブラジャーからはみ出した上乳。トラウマのフラッシュバックからおかしくなる窪田正孝を暗闇の中で包みこむように抱きしめます。
豊胸疑惑大本命の真木よう子をここでもって来るとは。お金持ちの令嬢と結婚して帰化したけど、フェイクな生活では満たされない羊の皮を被った人権派弁護士の妻役として、実にブラックなキャスティングでした。
そして、でんでん。
しぶーい。カッコいい~
スミマセン。昔からファンなもので。
ボクシングシーンもワイルドでした。
三池監督の「初恋」を思い出します。
ついでに「百円の恋」も
原マコトにとって一瞬の輝きだった最後の3年。ボクシングストーリーとしても良かった。
不穏な気持ちを引きずらせる
原作は未読です。
淡々と静かな描写ですが、どこか不穏感の漂う、複雑な余韻の残る作品でした。
何より安藤サクラと窪田正孝、妻夫木聡の演技に引き込まれます。
何気ない日常の中で涙をこらえる表情に、息子を想う母親の表情など、リアルな存在感を放つ安藤サクラ。
穏やかな父親の表情から狂気じみた父親の表情のギャップ、過去に苛まれる無気力な絶望感を伝えてくる窪田正孝。
窪田正孝がランニング中に倒れる場面、この込み上げる感情をどう表現していいのか、当人にも観ている側にも分からないような、印象深い演技でした。
弁護士として安定した生活を送っているけれど、妙に不安定な佇まいを見せる妻夫木聡。
登場人物の日常を淡々と捉える中に、社会の中に根強くある差別意識も描かれており、理不尽さを強く感じます。
自分ではどうしようもない出自などから、他人に成りすまして逃れたいと追い詰められるのは、やるせないです。
それでも、名前や戸籍に関係なく、実際に接してその人間を知る、共に過ごして大切に思い合える人間だったという事実が重要なのだと、強く胸に響きました。
終盤の清野菜名と仲野太賀の再会の場面や、安藤サクラ親子の会話の場面などから、そういう想いが伝わります。
しかし、安堵できる穏やかな場面なのに、何故かそこには暗く響く音が入っており、そこはかとなく不安をあおられます。
ここでスッと終わるかと思いきや、そこからの不穏な気持ちを引きずらせる展開が、なんとも複雑でした。
本人を知り大切に思い合える存在、それが妻夫木にはないために、それらの場面では妻夫木の立場で心がざわつくような不穏さを表していたということなのか。
他の人に成りすましたいという気持ちがあり、自分の存在があいまいになっているということなのか。
冒頭の場面からすると、もしかしたら妻夫木は他人に成りすますような言動を繰り返しているのか。
そうやって自分を保っているのか。
差別意識は社会の中に根強くあるので、それに苛まれる人間はまだまだいて、不穏さは消えないということなのか。
などと、いろいろと考えさせられる、複雑な余韻のラストでした。
原作未読で例の如く窪田正孝さん目当て 笑 で鑑賞。今回はラッキーな...
原作未読で例の如く窪田正孝さん目当て 笑 で鑑賞。今回はラッキーなことに初日舞台挨拶がゲット出来たのでそちらで行ってきました。本編とは打って変わっての和やかなトークで楽しかったです。
本編に関してはドキュメンタリーを観ているような感覚で大祐こと、ある男Xの人生を遡っていく中で個人とは、自分とは、大事な事は何なのかを妻夫木さん演じる城戸と一緒に考えさせられるような内容で終始重苦しい雰囲気で進んでいきます。そしてXの正体と何故彼はXにならねばならなかったのかの真実を知ったとき、生まれた時からの呪縛と他人の無責任な発言や先入観に苦い想いになると同時に観ている私自身も彼に勝手な想像を抱いていた事にハッとしました。窪田正孝さんの、暗い過去を背負いながらももがき生き、そして人生の最後に小さな幸せを掴んだ男Xの演技がとても良かった。
結末も今作の題材を上手く使ったダークな終わりで良かったと思いました。妻夫木さんの、表面上は上手く取り繕いながらも周りからの期待や押しつけ、そして彼自身の生まれのヘイトに内心ドロドロになっているであろう演技が良かった。海外では笑いが起きたとのことで確かに向こうの人にはブラックジョークに聞こえるのかもと感じました。
悠人に泣かされる。
原作は知らないけど良かった!
人それぞれ捉え方は違うかもだけど、個人的には切ない、報われない大祐(窪田正孝)って感じでした。
テンポ的にはゆっくり話が進んでく感じ、そのゆっくりテンポで序盤、中盤辺りで合間合間に眠気が。
眠気のおかげでストーリーは100%理解はできてないけど...。
主演の妻夫木くんは雑誌の読モ時代から知ってるけど変わらなすぎて驚く!(笑)
てかどうしても気になったんだけど妻夫木くん植毛しました?髪のわけ目の生え際に違和感あってそっちばかり見ちゃった(笑)
最後に里枝(安藤サクラ)の息子の悠人に2度泣かされた。
悠人の部屋での里枝とのやりとり「寂しいね」。
ラスト軽トラの荷台で「お父さんが何で優しいかがわかった」を聞いた瞬間、涙が出た。
けっこうよかった
ミステリアスな物語がとても面白い。前半は安藤サクラ、後半は妻夫木聡が主役になる。結局のところ犯罪者の血縁者は苦しくて、息子が素性を偽って生きるほどつらい思いをするという話で、その娘は果たしてどうなるのか、自分の出生の秘密を知ったら大変なことになるのではないかと心配だ。
僕自身は血縁のない子どもが二人いてとても幸せに過ごしている。なので血縁で苦しい思いをするのがあまりピンと来ない。身近にアル中がいないし、人殺しもいない。そんな安全で恵まれた場所にいるからだろうか。住所を変えて名字が変わってボクシングで活躍していてもバレてしまうものなのだろうか。もし本当にそうならつらい。
妻夫木聡が苦労して調べたのに、安藤サクラは「やっぱり知らなくてもよかった」と語っていたが、知ったからと言ってどうなるわけでもないので、気にしなければいいだけのことでないないだろうか。
自分を捨てて他人の人生を生き直すほどのわけ
ストーリーは重厚な社会派ドラマ。生きづらい宿命を背負う、登場人物たち。でも、自分の人生を交換するほどの生きづらさってなんだろう。交換すれば生きやすくなるのか?
窪田正孝のまとう暗さが役によくあっていた。安藤さくらはセリフの間合いが素晴らしい。愛情深い役柄がよく表現されていた。
旅館の次男坊が、自分の戸籍を捨てるほどの苦悩があったのかは、よくわからなかった。あのお兄さんは、弟が亡くなっているのを望んでいるみたいではあったが、失踪前にそれほど、酷いことしたの?一体何があったのか?
あと、疑問なのは、殺人シーンで去って行く人、窪田正孝でしたか?別人に見えたよー。
差別や偏見にとらわれずに本質を見ることの重要性を教えてくれる良作
キーワードは
在日、ヘイトスピーチ、身元ロンダリング、snsなどのなりすまし…
自分の力ではどうすることもできない生まれや家柄、ルーツ…
人をワインの“ラベル”のように貼って見る人間の愚かさよ。
本作には差別と偏見によって苦しむ人の声が根底にある。
大祐たちは、犯罪を犯していなくても、名前を変えないと生きていけない人たち。
こういった人が、世の中にいることを改めて気付かされた。
二度目の人生を前向きに生きようとした大祐。
彼を愛した里枝。
血はつながらないものの、本当のお父さんのように慕っていた息子。
この事実が真実なんだと。
大祐の正体を追えば追うほど、在日3世である自身とも重なる城戸。彼がこれほどまでに本件にのめり込んだのは、自分自身を投影していたからではないだろうか。
家柄、職業、肩書き、出身地、そもそも名前だって単なる記号でしかないのかも。
重要なのはその人の人間性や本質。
差別といった意味では「ザリガニの鳴くところ」と基本的なテーマは同じだと思う。
安藤さくらと義父の柄本明が同じ作品に出ているのは面白い。そして、柄本明の名演には唸る。
ところで、最後、城戸の妻のLINEの通知は(浮気相手からのLINE)は、皮肉を込めたメッセージですね?
一見幸せそうな家族だって、本当のところはわからないですよ!ってことかな?
原作未読なので、読んでみようと思う。
メチャクチャ面白かった‼️
ゆっくりとしたテンポだけど、話に無駄がなく最後まで集中しっぱなしで観終わった。
最初はタイトルの意味が分からなかったけど、ある男が亡くなってから実は身元不明者だと知る。
あ、そういう事か。
あと窪田君が主役だと勘違いして、え?もう死ぬの?って(笑)そしたらブッキーが登場、ここからが更に面白くなる。
あ、そうだった、主役はブッキー。。。(汗)
その他配役がちょっとだけの場面に多数の面々も良かった。柄本明なんか出たら面白くないわけがない。
ラスト、あれは謎。
不気味な終わり方だったけど、ゾッとするより意味が分からなかった。
大佑だったって意味なんだろうけど、城戸で名乗ってたよね?
ん?大佑はいつから?
解明してから名乗り出した?
もう一度、WOWOWで放映したら復習が必要だ。
※今年不作の邦画。やっと3回目の5.0でした。
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