ある男のレビュー・感想・評価
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他人の人生
自分が結婚していた相手は誰なのか? その謎を解くミステリーかと思い...
自分が結婚していた相手は誰なのか?
その謎を解くミステリーかと思いきや現代社会の問題や人間の業などを突きつけられてハラハラではなくゾクゾクした。
安藤サクラが主演なのでは?と思って観ていたのが最後まで観た時にだから妻夫木聡が主演だったんだと理解した。
ちょっとスッキリしない部分もあるから原作も読んでみたい。
今ひとつ共感できなかった気がする
この映画はミステリーというよりは、ヒューマンドラマだ。前半の展開は、どうなっていくのか読めなくて,引き込まれた。
ただ,正直,そここまで自分の出自を隠したい、そこから脱して違う人生を生きたいという強い思いにあまり共感できなかった。そして,そんな立場で結婚して子供を作るのもどうなんだろう。あんなに早く亡くなるとは当然思っていないので、そのまま隠していけると思ってたのか。
彼にとっては,生まれ変わって幸せな数年だったろうけれど、残された妻と子供はどうなんだろうと思ってしまった。
知らないほうがいいことは、知らないほうが良い
脚本が向井さんで、カメラが近藤さん。そう来たかとという感じで、熊切さんとか山下さんとか含めて同時期に同じ学校で出会っていた才能にただ驚きますね(鬼畜大宴会)。
安藤サクラさんの後半のセリフ「知らなくても良かった。あの楽しい時間は確かにあった」。わたしも、そう思います。今を此処で生きていることなんて偶然みたいなものなんだから、余計な過去を気にしたり、ひけらかしたり、また知ろうとしたりする必要はありません。
映画は、去年のキネマ旬報2位ですよね?正直、それ程の感銘はなかったです。
エンディングは好きです。
深く、重い
なんとも重い映画。複雑な戸籍の入れ替え。それぞれの人生が複雑に絡み合う。
谷口大祐は子持ちの里枝と結婚して子供も産まれて幸せに暮らしていたが仕事中の事故で死亡。(彼は人生の中で里枝達家族と暮らしたこの数年は幸せだったんだろう。)1年後に疎遠だった兄が来て、別人格とわかる。妻や子供からしたらショックだ。そこから調査を依頼して徐々に明らかになる真実。大祐は父親が殺人鬼で死刑囚。施設に預けられ、母方の姓に名を変えてもやはり周りには知られて差別を受け続けてきた。子供には罪もなく、つらい思いをしてきたのに世間は容赦ない。さぞつらい人生だっただろう。そりゃ名前も人生も変えたくなるよね。でも誠は顔まで父親にソックリで、鏡に映った自分を見るのもつらい。大祐ととなって里枝と一緒にいる時でもふとガラスに映った自分に怯える。まことの場合、整形した方が解決したかも。
まず誠は曽根崎という男になり変わったが、この曽根崎の人物像が判らず、本物の曽根崎はどうなったのか、殺人犯の息子の戸籍を手に入れたのか?死んでいるのか?そこも描かれているとよかった。本物の谷口大祐が自分の戸籍を変えてまでいやだったのは実家との確執だけだったのか?本物の大祐の心情ももう少し知りたかった。欲を言えば柄本明演ずる戸籍の仲介役とのやり取りもあると良かったのに。でもそこまで描いたら映画の枠では収まらないか、、、。
大祐たちの物語でも重いけど、この映画の面白いところはやはり主人公の城戸が在日3世であることの差別や妻との関係に悩みつつ、徐々に誠を理解し、同化していく様子。
ラスト、初めて会った男性に自分が谷口大祐であるような会話。恐ろしくもあり、悲しくもあり。顔の映らない男の後ろ姿の絵画を見つめる城戸の背中で終わる。それが冒頭の場面でもあるところが、とてもお上手な演出。
コレは原作を読んでみないとなあ。
出会って親しくなったかと思えば、次のシーンでいきなり結婚して娘が生...
本当のことを明かさない
もし、原誠が山で命を落とさなければ、今も
家族みんなで仲良く幸せに生活していただろう。原誠はもちろん、妻の里枝、息子の祐一、花、欠けていたものが埋められて充足した日々を送っていただろうに、な、と思う。
正真正銘凶悪犯の父親とは、似ても似つかぬ、
誠実で心優しい息子であるが故に、死刑囚の息子という事実を受け入れ難く、精神面のひ弱さも相まって心身共に弱まり、生活の場から姿を消し、非合法的に名前を変えて新生活を切り拓こうとした。
原誠が所属するボクシングジムの会長や同僚は、好意的に接し、出自を聞いても、親とは別人だと言ってくれる。
にもかかわらず、自殺行為をした末に飛び出して行く。
ジムの会長と養子縁組をして戸籍上も正式に苗字を変え、顔か気になるなら、整形しても良かった。
道は色々考えられたのである。
田所祐一の動機には納得いかない。
実兄が嫌なら、縁を切り、家を出て別に暮らせばいいのにと思うが、名前を変える相手として必要であったかと思うが、原に比べて理由が弱い。
本作タイトル『ある男』には、城戸弁護士も含まれる、と思った。
在日朝鮮人3世であり、裕福な家の女性を妻にしている。
詐欺で服役中の小見浦に、見抜かれ動揺する様や、TVで、在日朝鮮人へのヘイトスピーチの集会を観て苦虫を噛み潰したような様子には、
日本人であって日本人でないというわだかまりがしつこく付きまとい悩ませていることが窺える。
妻の不倫相手の存在を知っても知らないふりをして、今の生活を壊さない。
在日3世から帰化した身であることを知りながら、日本人の婿として受け入れてくれているからだ。だから、手放したくないのだ。
城戸の親や親族が全く描かれないのも、帰化と共に絶縁したのかと考えられる。
バーで会った初対面の男に言っている内容は、
原誠が、田口祐一に名を変え宮崎に来て里枝と知り合い、祐一の下に花ができ家族四人幸せに生きている様を自分のことのように話しているのだ。
<疑問に思うこと>
①離婚調停をしてもらったからと言って、横浜から宮崎まで呼ぶかなぁ。引き受ける方も。
②迎えに来た里枝の車中での会話、偽田所祐一について依頼する際、里枝との関係を話す筈。なのに話していなかった。
⓷②の車中、ハンドルを握っていた里枝の左手薬指の結婚指輪が長く映されていた。なぜか?
④城戸の義両親、皮肉に満ちながら、結婚を許した。城戸の妻に結婚前に何か瑕疵があり、城戸が結婚してくれて安堵しているのでは?
例えば、結婚できない男性の子を懐妊していたとか。
⑤自由奔放な城戸の妻、城戸が子供は可愛がるか、妻を相手にしないので夜遊び、不倫してまた懐妊。2人とも実子ではない。
結婚して亡くなった相手が別人だった。 原作は未読。自分の存在自体が...
家族のかたちとは
鏡のなかにいる自分が心の闇を映し出していた作品
悲しい過去がある心の壊れた男性、窪田正孝
演じる大祐が、事故で亡くなったことにより
判明した事実!
安藤サクラ演じる谷口里枝と、結婚して
前妻の長男、娘の花と幸せに暮らしていた
家庭に見えました。
他人の戸籍になる偽りの人生。
成り済まし。
アイデンティティー、自分の存在証明が
問われるストーリーでした。
妻夫木聡演じる、弁護士の城戸が
調査していくうちに自分の名前と違って
いても、自分自身が家族を愛していた
揺るぎない気持ちが伝わってきました。
『また、名前が変わるの?』
里枝の息子が嫌な気持ちで母親に質問していたけれど、
大祐が里枝と結婚してからの人生が
彼のすべてだった。
そんな台詞が心に響きました。
本物の谷口も美涼に会えて良かったと思いました。
名前が違っていても、新しい自分を取り戻して
いく、家族の愛情が通じ合うように
思えたストーリーでした。
対面にいる人はだれ?
窪田くんが素晴らしい
ラストが素晴らしい
ラストの主人公のセリフ「僕は」
で映画が終わり画面が真っ暗になるのが非常に素晴らしいです
あのラストにこの映画の全てが詰まっています。
原作を先に読んでいたのですが、あの長い小説をよくここまで綺麗にまとめて一本の映画に仕上げたのに感激しました。
映画のラストでは小説にはない「ある絵」が画面いっぱいに登場しますが、それもまた素晴らしい…
重たいなあ… サスペンスを装った(?)社会派メッセージの強いタイプ...
重たいなあ…
サスペンスを装った(?)社会派メッセージの強いタイプの作品でした。
”ある男”が誰だったのか?
確かにここは大切なのですが、”なぜある男になったのか?”が重要な感じ。
何かに似てるな~~と思ったのですが「凶悪」ですね。
第三者が当事者と関わることにより、大きく影響を受けてしまうというプロット。
この作品をただの物語として見るか、考えさせられる”テーマ”としてみるかで評価も変わるし難しい…
何度も見たい作品では全くないのですが、1度でおもしろい!と理解できるような作品じゃないんですよな~
こどもにとっての”苗字が変わる”という出来事がいかに苦しいか、愛した男のことを本当に理解していたのか?自分の築いた人格は、結局出生には抗えないのか、犯罪者の人権は?
語るべきことは沢山あるのでしょうが、私にはまだ消化しきれない部分が多い。
サブスクに見放題出来たらもう一回見ようかな。
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