ナイトブックのレビュー・感想・評価
全6件を表示
表情豊かな少年
ホラーとは幼少期の過酷な思い出を拡大したもの──である。と思う。スティーブンキングのItやスタンドバイミーの子供らはいじめや虐待や孤立をかかえていたが、それらはキングの描く恐怖小説の根幹・原動力だったと思う。
ホラーを創作するばあい、発想の元となる体験が欠かせない。それが戦争でなければ──戦争に代替するのは「幼少期の過酷な思い出」になる──のではなかろうか。漫画にくわしくはないが水木しげるつのだじろう楳図かずお古賀新一日野日出志安孫子素雄あるいはガロの作家群・・・。いみじくも「このうらみはらさでおくべきか」という決めセリフがあるが、いじめ体験で憶えた復讐心に他ならない。と思う。
わたしは素人なのであるていど切り取ってモノを言って(=限定的な知識で判断する)しまうが、作家が辛い体験を持っているのは当たり前だ。ようするに痛みを知るほど肥やしになる──物語の作り手たるひとが、順風満帆なじんせいを歩んできたはずがない。
((余談ながら)個人的な見解だが、逆にミュージシャンはいじめっこ(加害者)の発展系であることが、傾向的に多い──気がしている。
五輪の音楽担当を降りた人物しかりだが、わたしが若いころ定期購読していたロッキン系ライターには反抗=レイジを是とする風潮があった。例の記事をリアルタイムで読んでいるが、あきらかに面白がって掲載していた。かれが言いたいのも、雑誌が言いたいのも、まちがいなく「すげえだろ」ってことだった。まちがいなく、その尖りまくった加害属性を「ロックである」と定義していた。
昨今、音楽フェスでの(禍を無視した)無秩序な風紀が話題になっているが「若者のオンガク」が反抗を是とするのは当然であり、ロックとは逆らうこと、そのもの。ヒップホップなんて尚更。ごく自然な通念だが、腰パンのような輩風体に品行は期待できない。そもそもまっとうな人間はこの時期にフェスに行こうとは思わない。
ただし現代社会が完全に忘却してしまった前提だが、視聴者はともかく、かつてロックやヒップホップとは、まっとうな人生を捨てた者がやるオンガクだった。SNSにすいませんと言うのは会社員であってロックアーティストじゃない。よって、あたかも尖った世捨て人の個性──のように例の記事は掲載されていたのであり、読んだ我々も(胸糞悪くなったとはいえ)尖っている話としてとらえていた。ところがある。
畢竟、クリエイターにはいじめられっ子がなるが、ミュージシャンだけはいじめっ子がなる(ことが多い)──の現象を(個人的には)信じている。)
本作にはスティーブンキングにつうじる良質なジュブナイルの肌感がある。それを体現しているのはべらぼうに(演技が)巧い子役の存在。
主人公はキングの小説に出てくるような「おとぎばなし語りが好きな少年」だが、その異質性のために孤立している。彼の悲しみが、この映画の主題と言っていいし、子供を主人公にした話が(キングのItに似た)ある種の普遍性(=いい意味の類型性)を持ってしまうのは至当だと思う。
主人公の子役Winslow Fegleyくんの表情がものすごく豊か。日本ならば絵に頼らなければならない表現力を、あっちでは実写でやってしまう、のが(今更ながら)やっぱりすごいと思った。アスターやピールやワネル(etc)同様David YaroveskyもBrightburn(2019)によって将来を嘱望される監督のひとり。製作にサムライミもからんでいて、映画はNetFlixで過ごす一夜──の必要条件を過不足なく満たしていた。と思う。
怖くはないけど面白いよ
毎晩怖い話を聞きたがるってアラビアンナイトだっけ?
そういえばロストボーイって映画昔見たっけな。
内容は殆ど覚えてないけど、好きだった気がする。
丁度その頃フライトナイトなどホラーコメディが流行ってて
そんなノリが好きだったなー。
ナイトブックは物語の初めにロストボーイをちょっと
映像に取り入れてたので、それ映画に影響受けているのかなと思った。
ナイトブックはコメディではないけど、大人向けというわけではないので
なんとなく似ている気がした。そんな理由でかこの映画も好き。
毎晩怖い話を聞きたがるという設定はちょっと
大人向けではないけど少年が必死にストーリーをひねり出す
姿は結構プレッシャーあってよかった。
ただ物語で語られる怖い話が全然面白くないのでもう少し
気合い入れて欲しかったな。あれじゃあ魔女も許さないでしょ。
魔女を眠らせて逃げたあとの展開も良かったな。
元の魔女が怖い話を聞きたがる理由もあったら良かったけどね。
なんだかんだと意外とハラハラしながら見れた。
子供向けなのか大人向けの物なのか微妙な立ち位置の
作品だったけど。
魔女に囚われた少年
ホラーが大好きなアレックス少年は、ある時魔女に捕まってしまい、魔女の館から出れなくなってしまう。魔女はホラーストーリーが大好物で、毎晩、怖い話をアレックス少年にテリングさせる。アレックスは、怖い話で魔女を満足させないと殺されてしまうからさあ大変。
ちょっとダークなファンタジーといったところで怖くはないが、魔女のファッションとか、魔物の造形が丁寧に作り込んであって、映像を楽しむタイプの作品かな。
魔女の館はけっこう見応えがある。温室の中に入ると、ネオン色に彩られている謎の植物の造形に見入ってしまうし、螺旋階段が10周するくらいの威容を誇る図書館には圧倒される。
最近対応した空間オーディオの効果は、やっぱりすごいね。ドアの閉まる音とかがすごくリアル。
変なままでいて!物語には真実がひそむ
恐怖の物語が子守唄 --- 物語には真実がひそむ、バカね。デヴィッド・ヤロフスキー監督 × クリステン・リッター主演 vs 脱出したい子どもたち?ファミリー向けホラー映画。監督の前作『ブライトバーン』も子どもがメインの話だったけど、今回の手触りはまるで違う。なんなら前作がヤバい子供に翻弄される大人を描いているのに対し、本作では魔女というヤバい大人に翻弄される子供という相対した図式。途中なんだかハリポタっぽさもあった。
生きたいなら怖い話を書いて。ただしハッピーエンドは危険、許されない。いい物語には真実がひそんでいる、それが強い物語にする。物語で誘導し、本当のことを指摘させる作戦に。親は自分の子供を忘れられる?本当の恐怖した話は……"不気味"。最後はやはり己の中のものと対峙することに。ハッピーエンドさ!魔女同士の戦い、ウィッチ・ファイト!!? 怖い物語を書くのが趣味な少年の部屋には『エルム街の悪夢』や『遊星からの物体X』のポスターが貼られている。おしまい?変なままでいて
全6件を表示