声もなくのレビュー・感想・評価
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コンパクトな時間の中で語るシンプルな悲劇
死体処理など非合法な仕事を請け負い生計を立てる口のきけない青年と、彼が預かることになった親に身代金を払ってもらえない少女のふれあい。
温かい感情を知ることになるが、青年に未来はなかった。悲劇しかなかった。
この青年どこかで見たことがあると思っていたが、「バーニング 劇場版」のユ・アインだったのですね。まったく別人だった。これが役者魂というヤツ。
そしてもうひとつ特筆すべきは映像美。
素晴らしい色彩と構図で田園風景が情景となった。
これでもかとたたみかけてくる作品が多い昨今の韓国映画にあって、99分というコンパクトな時間の中で語られるシンプルな悲劇。賛否両論ありそうだけど自分は好きだった。
皮肉を重ねた巧さ
韓国の闇社会をネタにしたコメディ。
コメディはコメディでも、完璧なブラック・コメディ。
テインは耳は聞こえるが喋れず、妹ともども元々孤児で、犯罪組織の下請けをやっているチャンボクに投げやりに育てられ、まともな教育どころか善悪基準が欠落しているというキャラ。
誘拐された子・チョヒは、早くうちに帰りたいが、どこか自分の運命を受け入れて達観しつつも、殺されるよりはマシと見張りのいうことをきこうとしているうちに、いわゆる「ストックホルム症候群」らしき感じでテインに懐き、同情する。
チョヒによってテイン(とその妹の二人)が、人間性を得ていく過程はなかなかの見もので、しかし生活のために行っているテインの仕事は死体の処理というアンバランスさ。
ここに、笑えない笑いがある。
テインにとっては不運が雪だるま式に増えていく展開ではあるし、作中ラストは投げっぱなしなものの、絶対にテインは捕まるし、妹と離ればなれになる未来しか見えず、やはり笑えない。
だが、チョヒとテインの関係性の黒い笑いと、テインを演じるユ・アインの台詞なしの演技力を見るのが本作のポイントなのかな、と。
そして、絶望の中に見える空の色の美しさ。
綺麗な田園風景などの画面設計の妙。
皮肉を何重にも乗せた内容に、緻密な計算を感じました。
ユ・アインはいいけど、、、
素晴らしい作品の包容力
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