「明日のJホラーは探せなかった」カラダ探し 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
明日のJホラーは探せなかった
幾ら下火とは言え、Jホラーはまだまだ稼げるジャンル。ハリウッド・ホラーと同じく、比較的低予算で旬のキャストを集め、怖いもの見たさの若者客をターゲットにそれなりの見込みが望めるからだ。
昨年も『牛首村』を皮切りに、本作と同時期の秋には立て続けに3本公開。メジャー/インディーズを問わなければ他にも。今年も中田秀夫監督や清水崇監督の新作が待機。
が、作品の出来映えはまた別の話。相変わらず“村シリーズ”は賛否あるし、『“それ”がいる森』や『貞子DX』は(まだ未見だけど)もはやホラーではなくコメディの声…。
Jホラーが見る人を震えさせなくなってから随分経つ。Jホラーがまた見る人を震えさせる日はやってくるのか…? 中田監督や清水監督の新作はその恐ろしさを取り戻す事が出来るのか、それともまた性懲りもなく駄作を量産してしまうのか…?
そんな中で、本作。昨年のJホラーの中では一番のヒット。題材的にも雰囲気的にも、最も真っ当そう。
なので少し期待していたんだけど…、残念ながら本作に“明日のJホラー”は探せなかった。
学校で孤立している女子高生の明日香。ある日、「私のカラダを探して…」という不気味な少女の声を聞く。
午前0時、明日香は突然深夜の学校に。彼女の他に、今は疎遠の幼馴染みの高広や普段接点の無いクラスメイト4人。
そんな6人を、“赤い人”が襲い、次々殺されていく。明日香も。
目を覚ますと、朝。夢…ではない。さらに、翌日でもない。
全く同じ一日。夜になると再び6人は学校に。
一体、何が…?
所謂“タイムループ”もの。
ホラー×タイムループはそう珍しいものではない。ハリウッドでもホラーの常套ジャンル。
よほどの目新しさが無いと…。
本作の場合、殺されバラバラの少女のカラダを全て集めないと、明日は来ない。
その探す過程にハラハラドキドキスリルがあると思いきや、頭以外あっさりと見つける。ここ、メインじゃないの…? 同じタイムループものでSFアクションの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はその都度その都度リセットしてクリアしていく過程にこそ、面白味があったというのに…。
最後の頭だけ見つからない。そんな6人の脅威となるのが、“赤い人”と殺された少女が生前大切にしていた人形が融合したバケモノ。
このバケモノに喰われると、存在自体が消えてしまう…。
Jホラー十八番のじわじわ系ではなく、スプラッター系。でも、カラダ探しのスリルは元より、バケモノ襲撃や生き残りの緊迫感も乏しい。何と言うか、ゲームやアトラクション感覚。
別に本作に限った事じゃないが、展開に行き詰まったらバケモノ出す安直さは何とかならぬものか。ラストまで恐怖とストーリーで勝負出来ないのか。
って言うか最後、はよ頭置けや。何高広~とかバケモノと闘ったりするの…? 頭置いてリセットすれば済む話じゃん。
明日が来たけど、また皆他人になってる。何故かそこだけリアル。ご都合主義なんだから、皆記憶取り戻してハッピーエンドで良かったんじゃね…?
本作のホラーとしての歯切れを鈍くしているのが、青春要素。
いや、作り手にとっては、それこそメイン要素の一つだったのかもしれない。
孤独なヒロイン。いじめられっ子もいる。そんな彼らがこのタイムループと“カラダ探し”を通じて、友達になっていく。
高広や他のクラスメイトも満ち足りた学校生活を送っているに見えるが、その実孤独を抱えている。
“カラダ探し”が無ければ友達にはなっていなかった。“カラダ探し”は恐怖だけど、この新たに見つけた友情は…。
明日香も幼馴染みの高広と再び仲を取り戻し…。
一見いい友情や青春を描いているが、時折時折ジャンル変わった?…ってくらいのキラキラキャピキャピ青春モードになる。
ガールズトーク、海でエンジョイ、胸キュンラブ…。
えっと、これ、ホラーだよね…?
海でエンジョイしてるけど、6人は同じ一日を繰り返しているから、その日は学校サボったって事だよね…?
まあたまにはいいけど(毎日毎日死ぬからその鬱憤晴らし)、でも…、一番大事な事忘れてはいないかい…?
青春×ホラーもホラーの常套ジャンル。だけど『スクリーム』は青春群像劇と謎解きホラーの魅力あったし、『IT/イット』はホラーの中に青春ドラマの見応え充分だったのに対し、何だか本作はちぐはぐ。
監督の羽住英一郎はエンタメ・アクションの手腕は上々だが、ホラーやベタな青春モノには向かなかったか。
序盤、男子どもが明日香を「ないない」と嘲笑う。橋本環奈だぞ! お前ら、どんなに高望みなんだよ! って言うか、橋本環奈がクラスで省かれているという設定に無理がある…。
山本舞香だけ何故か制服の丈が短く、時々おヘソがチラリ。ヤンキー風も含め、彼女らしい役所。
もう一人の女子、何処かで見た事あると思ったら、新出川ガールね。初めて女優してるとこ見た。
スポーツ万能の真剣弟など、右を向いても左を向いても、この学校は美少女やイケメンばかり。
そうなのだ。
いじめられている男子、ボサボサ頭に眼鏡というステレオタイプも問題だが、よくよく見ると、彼もイケメン。(『天気の子』の主人公)
まるでこの学校は、美少女やイケメンじゃないと入学禁止のように。
孤独や省かれなどが描かれているけど、キャストの顔面偏差値が皮肉にもそれをやっている。
ま、これも本作に限った事じゃない。昨今の日本の映画やTVドラマはどれもこれもそう。美少女やイケメンじゃないと映画やTVに出れない時代になったのか…? ハリウッドは人種の多様化が叫ばれているけど、日本はビジュアル問題だね。
色んな顔触れが“普通”だった昔が懐かしく、味があった。
要は、ホラーは餌程度で、メインは美少女やイケメンに青春やラブをやらせて、客媚びのあざとさが見え見え。
原作のWEB小説は人気らしいが、それもホラーも作り手側の出汁にされてしまったよう。
Adoの主題歌起用なんかもまさにそう。
ED後はお決まりの続編匂わせ。え~、まだカラダ探しするの…?
返信ありがとうございました😊。確かに貞子は微妙ですが、DXはお笑いに振り切ってました。お笑い作品に相違ないですね。🥸楽しい。かつバカバカしい。IQ200という数値がよくわからないし、オタク引きこもり青年が何気に夜のお寺か何かに1人だけで先回りしてて、何故か最強なのも、笑えました。下手な漫才師や落語家より笑えました。脇道にそれてすみません。ありがとうございました。
おっしゃるように青春美女美男子映画でした。確かに「首、クビ、早く置かんかい❗️早よせい💢よ」と思いました。イイねありがとうございました😊。貞子はDXのタイトル段階でデジタルトランス・・なんとかにせよ、デラックスにせよお笑い、コメディーとかんじました。
青春映画ですもんね。
残念ながら。「明日のJホラー」は見つかんないですね。
「明日のJホラー」、いい言葉ですね。
よく見えないけど、なんだか怖い。夜中にトイレに行った際に背後に感じる怖さ。そういうのが、Jホラーの真髄なのかな、と思うんですが、怖すぎるとウケないんでしょうか?自分もリングや呪怨に匹敵する映画に出会いたいです