「輪廻するデス・ゲームをあからさまに表した凄いセリフ」カラダ探し Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
輪廻するデス・ゲームをあからさまに表した凄いセリフ
冒頭シーンは残虐な本格ホラーの雰囲気を漂わせたのですが、中盤で呟かれる「私たち毎日殺されているから、こうして同じ場所で座っていられるんだね」と言う、何ともぶっ飛んだシュールなセリフ!
いや、筋書きまんまなのですが、しばらく忘れられそうにありません 笑
ただホラーの謎解きには、やや遺漏が多かったと思います。残念。
◉赤い少女はマッチポンプか?
足まで血塗れになって高校生たちを追い回す少女に、口を思いっきり開けて高校生を喰らう人形。そうした視覚的な恐怖に執心してしまい、都市伝説の説明が足りなかったように思います。
「斧を持った男に八つ裂きにされた少女のカラダのピースを探せたら、少女の遺体が発見される。ピースが揃うまでは、何度でも殺される」と言う都市伝説。
殺された少女は自分を見つけて欲しいのだから、カラダ探しを邪魔したりしないと思いつつ観ていたのです。しかし高校生を殺りくする血塗れの少女が、いかにも殺された少女自身であるかような見てくれをしていることが腑に落ちないし、少女が可愛がっていたエミリー人形まで、カラダ探しを妨げたのは何故?
少女は私を逝かせてと願いつつ、近づく者を斃す。つまり、血塗れ少女はやはり殺された少女自身で、自分の死体がゲームになって弄ばれるのが我慢ならず、高校生たちを殺し尽くしたと言うこと?
◉ そして少女殺人犯は何処へ?
その場合は、最初に登場した斧の殺人犯がゲームの主催者と言うこと? カラダが揃ってゲームが終われば、次の少女探しが始まる仕組み。犯人は話の裏側に身を潜めて、ずっと少女たちの不幸を願っていたのかも知れない。明日香たちがカラダ探しにしくじれば、もしかしたら、新たな獲物にできるかも知れない。
だから、古井戸底の新聞の名前が明日香に変わった? 井戸からワサワサ伸びた手は、連続殺人で命を落として宙を彷徨っているカラダは、まだいくらでもあることの暗示でしょうか。
でも。そんな陰惨な愉しい連想を巡らすには、話のベースが青春過ぎましたね。登場した高校生たちが前向きでめげない、明るい。ほぼアクションと青春に目が向いたまま、観終わることになりました。
◉太い凶器が、実に魅力的
ホラー物語の落とし所を掴めなくなった私は、環奈ちゃんが突っ込まれた腕のために、遠慮がちに変顔になっていくもどかしさや、蘇生すると承知していてもモップの柄や金属の棒や、腕とかで身体を貫かれるしんどさを、しみじみ味わいつつ観ていました。山本舞香ちゃんや横田真悠ちゃんが、鋭利な刃物ではないものでやられるところが、またエグい。そこはホラーとして楽しめました。