ブルーサーマルのレビュー・感想・評価
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バランスがいい
2022年劇場鑑賞60本目。
お仕事紹介ムービーじゃないですけど、自分の知らない世界を教えてくれる映画が大好きで、今回は鳥人間コンテストでも空軍でもなく、航空部というグライダーで決められたコースのスピードを競う競技を紹介してくれました。
知らなかったですね、飛行機なんて自分で飛ぶものばかりだと思っていました。
そういった競技の部分と、人間ドラマのバランスが丁度よく、最後まで興味深く観ることができました。もうちょっと航空部についてのエピソード見たかったなとは思いましたが。
声優の堀田真由も良かった。
長崎から上京し青凪大学に入学した都留たまきは、キラキラした大学生活を夢みて、どのサークルに入ろうか探していた。テニスの体験をしていた際、球を大きく打ってグライダーを傷つけてしまい、弁償するため体育会系航空部に雑用係として入部することになってしまった。仕方なく部活に参加するたまきだったが、主将・倉持が操縦するグライダーで初めて飛び立ち、空の美しさに魅了されてしまった。一方で、倉持はたまきのグライダーにおける空間認識や風を掴む才能を見出し、自分の後継者にしようと考えた。さてどうなる、という話。
まず、主人公たまき役で声優に初挑戦の堀田真由が良かった。長崎弁がうまいのかどうかはわからないが、役と声が調和してて、本職の女優だけでなく声優でもいけるんじゃないかと思えた。
グライダーの技術的な内容を含むストーリーも興味深かったし、先輩とのほのかな恋も有り、姉妹の葛藤もありで、見応えあった。
空から見た美しい風景も良かった。特に長野の山々は素晴らしかった。
SHE’Sの曲も作品に合ってた。
突如やや理系的なお話も出てきますが、今週は本命枠。
今年62本目(合計335本目/今月(2022年3月度)4本目)。
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「あんさんぶるスターズ!! Road to Show!!」もこの前に見ていますが、この映画のレビューの需要はおよそないと思うので飛ばします。
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さて、こちらの作品。こちらはアニメですが、こちらも原作ありということは私も初めてしったところです(エンディングクレジットにて)。
他の方も書かれている通り、元ネタありという前提で、単品の映画作品に仕上げたと思えるフシがあるため、実に多数の話題(恋愛ものから外国の話、さらに突如物理の話をするなど)が出るわりに、どれも中途半端になってしまっているのは、これはもう確かです。
2020年ごろならまだしも、現在であればコロナ事情を考慮して、わかりにくいのなら前半後半に分けるなど、もう少し配慮はあって良かったのでは…と思えます。
このため、「ストーリーとしてはわかるが、どれもこれも中途半端で描ききれていないという不満が生じる」点は理解できます。もっとも、だからといってさらに2時間足すと見切れなくなる(他の映画との兼ね合いで)のも確かで、どこを引くのかというのはわかりにくいです。
さらに、突然物理(力学)の話をしたり、数学(三角比)の話をしたり、やや理系的な話題が多いです(数式など出ないだけで、普通に三角形など登場して飛行距離がこう延びるだの何だのという話は出てくる)。レベル的には高校物理・数学程度(高校2年・理系程度)ですが、何せ突如出てくるので、文系の方にはわかりにくいかなぁ…と思える点もなきにしもあらず、というところです。
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(減点0.1) 主人公の女の子は長崎出身という設定です。そのため、序盤は長崎弁がどんどん登場する(まだ、長崎空港にいるころの話)部分も、いわゆる回想シーンなどありますが、聞き取りきれない部分もあります(単純に早すぎ)。ただ、原作ありである以上、あることないこと言えないし、同じ日本語の方言である以上、多少わからなくても前後関係から埋めることは「一応」可能です。
(減点0.2) 「サーマル」の説明がやや不足しているかな…と思えます。飛行機と違い、グライダーが高度をあげる方法はいくつかありますが、そのうちの一つが「サーマル」ですが、本来は「熱上昇気流」で、他の方法もあるので、それらにも触れた上で「サーマル」に触れないと、「この方法しかないの?」という勘違いが生じそうです。
※ もっとも、一番有名でよく知られるのが「サーマル」です。これは、太陽が地球を照らすと、暖められた大気の密度が小さくなる(=軽くなる)という現象によります。地表を照らすと、その地表から上側へ、大気の流れが発生します(軽いものは浮きますよね)。このことが「サーマル」の原理です。なお、「「熱」上昇気流」と一般的に訳しますが、「熱」である点がポイントで、今、このご時世で映画館内に入るときに、発熱チェックに使われている「サーモグラフィ」と語源を同じくします(thermal「熱上昇気流」の therm- の類の単語は「熱」を意味する語です)。
ほか、マイナーなものですが(映画内では一切登場しない)、風が山岳の斜面にぶつかることでの大気の持ち上がり現象(リッジリフト)などもあります。
(減点0.1) グライダーに乗るのには免許が必要ですが(このことは作内でも触れられる)、練習会場などは選ばれています。裏を言えば、免許を持っていればどこでも乗れるわけではありません。例えば、大阪市や東京都のような都会を飛ぶことはできません。発着陸についても航空法による規制がかかっているからです(グライダーを管轄するのは、国土交通省)。
ただ、このことも常識扱いされると思うし、実際問題、このアニメ映画を見て「帰りにグライダーを買おうか」という人はほとんどいないと思うので(上記通り、飛ばすだけでも免許が必要)、「行政法規の説明が抜けている」という点はこの程度です。
(減点なし/参考) 作内で、「ある国」に旅行する人が登場するのですが…。「この国」は、グライダーという文化にとっては欠かすことができない国です(グライダーは日本発祥ではない)。この点も説明が不足しており(上述通り、原作ありという事情ではあることないことは書けない)、「なぜ、あの国でもその国でもない、「その国」なの?」という点が、ややわかりにくいです(よって「ある国」に行くことの重要さが何なのか、わかりにくい)。
この映画内で出てくる「ある国」は、グライダー文化では欠かすことができない国です(グライダー用語の一部も「この国」の言語が使われることがあるし、そもそも、グライダーの生産・保有も、大半は「この国」で行われている)
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惜しい
主要なキャラクターの1人1人がとても魅力的であっただけに、それらを生かしきれなかった惜しい映画だなと思いました。この映画に入り込めなかった原因を考えたところ、3つありました。まず1つ目が、グライダーの大会はどのようにしたら勝利なのかについて一切の説明がなかったことです。これにより勝った際に、えっ?今何ができたから勝てたん?と頭に浮かび、映画の流れに入り込めませんでした。2つ目が、主人公がグライダーを練習するシーンがほとんどなかったことです。着実に上手くなっていくのではなく、いつの間にか大会で準優勝できるほどの実力が身についており、おかしいだろと思ってしまいました。3つ目は、やはりストーリーを詰め込みすぎたところだと思います。最後の駆け足の展開は流石に強引すぎると思いました。ただ、全体的に見ると、グライダーに乗っている時の描写などはとても素晴らしく、実際に乗っているような感覚になれました。また、主人公の明るさにつられ、僕自身も明るい気持ちになれた映画でした。
あの美しさや景色をここまで表現できるとは・・
グライダー経験者です。
超マイナー競技なので、漫画化されただけで、すごくうれしくしていたところに、映画化という情報が入ってきて、初日に見に行きました。
「大空の巨大な空気の動き」と「それを利用しようとする小さなソアラ(=今回登場するグライダーたちのカテゴリー名です)たちの意思をもった動き」、「突き抜けた高度での見晴らしや低空での地上の情報量の多い景色の美しさ」などは、ソアラ乗りたちだけのもので、皆に見せたいのだけど、共有しがたい景色、理解して欲しいけど不可能な景色、と考えていました。
この映画では、私が、かねてから経験していない人たちに、是非見てほしいと思う美しい景色が非常に良く表現できていて、とても驚きました。
グライダーの動画はそれなりにありますが、アニメーション作品はほとんどみたことがなかったので、今回の映像の美しさと相まって、アニメーション表現との親和性の高さを初めて認識しました。
特に好きなシーンは,主人公の初飛行のところで、あの強烈な加速と独特の振動や浮き上がる瞬間、主人公の表情、上空に上がってからの地上の見え方などが自分の時と重なり、「ああ、この通りだ!」と懐かしく思いおこせました。
レリーズ装着動作やピストでの人の動きなど、丁寧に取材されていて、好感が持てました。
着陸のシーンは、おそらくアニメでは非常に難しい表現だと思いますが、何度も違う角度で、丁寧描かれていて、あの緊張感をはっきりと伝える良い演出だったと感じています。
いろいろ詰め込みすぎという感想で目にしますが、大空や飛翔の美しさも詰め込みまくっていますので、非常にお得な一本と思います。
確かに、これを見せられたら、もっとみたいので時間のとれるテレビアニメ化して欲しいと考えてしまいます。
強いて注文らしいことをいうとすれば、もっとたくさんのソアラをたくさん出して欲しかった。
SZD55(←主役機DISCUSのライバルといえばこれ)、B-4、Ka-6e、 Astir、Nimbus、ASW20・・・彼らのアニメーションも是非みたいと妄想してしまいます。
先にも書きましたが、経験者故に、このジャンル(?)に甘いのはご容赦ください。
観客を惹きつけているのに、もったいない!
航空部・・・そういえば私の卒業した大学もそれがありまして、入部説明を聞いたまでは良かったですが猛烈に高い部費(笑)に言及した途端、サラッと諦めてしまった苦い?経験がございます。
そんな私を含めてグライダーが競技としてかなり昔から成立し愛好者も全世界に沢山いらっしゃるという事実(たぶん)を、この映画で初めて知った方は沢山いらっしゃったのではないでしょうか。
そんなにわかにとっては、大変素晴らしい映像体験でした!
美しい空と雲、グライダーの細かな挙動と機体の軋み、計器の動き、それにシンクロしたキャラクターの動作、感情表現などなど・・・特に地上の背景は非常に細かく描き込まれていて感動いたしました。
もうこのフライトだけ30分くらい尺を取って追体験し、青空の中を上昇気流に乗ってゲロまみれになったって良い気分でしたよ(笑)。
ただ、競技については速さを競うのか、高さを競うのか、正確性が問われるのか、チームの独自の作戦はあるのかとか・・・そこらへんが初心者には非常に分かりづらく、なんでいきなり競技相手と交信すんの??など、ちょっと説明不足でポカンでした。
そして鑑賞者が皆、うまいことグライダー競技の魅力に引き込まれているのに、主人公の成長の経過があまり示されず、生まれながらの高い素質、鋭い感覚だけで上手くやってます、そしてできました!・・・えっなんで、みたいな印象になってしまったのはむしろマイナスでした。
シナリオに関しても、終始主人公の人柄の良さ、魅力に助けられる形でそこまで辻褄が合わないってことでもないですが、最後まで名前が分からない同級生などがモブキャラ化してしまったり、家族の話が唐突だったり、エピソードの繋げ方がちょっと雑かな、詰め込み過ぎかなという悪い印象を受けました。
扱った題材は凄く魅力的に表現できて観客を惹きつけているのに、なんともツメが甘くもったいない、というのが感想です。
では。
終盤が駆け足展開すぎる
恋に憧れ東京の大学に入学したたまきはとあるトラブルから体育会航空部に所属することとなり…。
小沢かな原作漫画の映像化作品。空の美しさや部活動を通しての人間模様など好きな要素は数多いが終盤にかけて恐ろしく駆け足展開に。二部作くらいがちょうど良かったのでは…。
詰め込みすぎかな
青春映画です。恋愛要素をもっと色濃くすれば良くなったと思います。ただやっぱり脚本がいまひとつだと思いました。設定に無理があるのです。1番は姉妹がなぜこんなに仲が悪いのか、と言うところが現代的では無いのです。こんなに意地悪なお姉さんていないでしょ。今の時代はいないと思います。一昔前の安っぽいテレビドラマでは通用しましたが、今の若者って頭いいですよ。だから人が見ている前で妹のことをけなしたりする人はいません。それとたまきが初めてグライダーに乗ったときの感動の場面が少なすぎます。ファーストインパクトって大事なんです。倉持と初めて空を飛んだ時に、グライダーの魅力空の魅力にどっぷりとハマって行く心情光景をもっと描いて欲しかったです。それにしてもたまきは入学して一気に航空部のエースになっちゃいましたね。早すぎませんか?
地味ながら丁寧な描写
テレコムの丁寧な仕事が光る佳作。
単行本5巻もある話を2時間に、しかも連載自体が後半打ち切り気味で詰め込み過ぎた終わり方をした原作だから、ダイジェストっぽくなるのは仕方ない。
主人公・たまきの明るさや、空へ憧れに絞って、ダイジェストならダイジェストなりに要点を外さずに作った印象。
たまきの風をつかまえる勘のよさや空間を立体的にとらえられる才能の描写とか、グライダーの挙動とか、作画や演技で見せていて、好感度は高い。
地味な話なのに画面から目が離せない。
原作にあった主人公が幼少期に父親から虐待されていたことや、一浪してまで努力して東京の大学に進んだことは、全体を明るい作風に持っていく上で、カットしてよかった。
ただ、そのせいでたまきのお姉さんが、ただ妹の明るさに嫉妬しているだけのちっぽけな人に見えちゃったのは残念ではあるが。
ええぃ!青凪のツル・タマキは化け物か!
本当は「余命10年」を観たかったのですが、上映時間の都合が合わず、やむなく本日公開の本作を鑑賞。事前情報なしで臨みましたが、予想以上に楽しく、気持ちのよい作品でしてた。
物語は、長崎から東京の青凪大学に進学した都留たまきが、ひょんなことから体育会系航空部に入部することになり、そこでグライダーに同乗させてもらい、大空を飛ぶことに魅了され、仲間との友情を育みながら大会優勝をめざす姿を描きます。
キャラデザはあまりパッとしないものの、表情や動きにメリハリがあり、人物同士の関係性も相まって、どんどん魅力的に映ってきます。特に主人公の都留たまきは、喜怒哀楽が豊かに表現されていて、素直な人柄に好感がもてます。ここに主将の倉持や先輩の空知が関わり、しだいに仲を深めながら、淡い恋心も見え隠れする関係性も悪くないです。「USHI」「MAGURO」等のおもしろTシャツを着ていた、同級生のメガネ女子も何気にお気に入りです。
本作ではグライダーがテーマとなっているのですが、コクピットから見た大空や眼下に広がる景色が美しく描かれ、独特の浮遊感も伝わってきて、観客も空を飛ぶ魅力が味わえます。また、エンジンのない航空機ならではの操縦技術も興味深かったです。ワイヤーで引っ張って離陸することは知っていましたが、その後は上昇気流をつかまえて、高度を上げて滑空するとは知りませんでした。この上昇気流をサーマルと言うそうで、本作のタイトルにもなっています。
キャストは、主人公・都留たまき役になんと堀田真由さん!声優初挑戦とは思えない、堂々とした演技でほとんど違和感なしです。脇を固めるのは、島崎信長さん、小松未可子さん、小野大輔さんら、一流声優さんたちで、安心して作品世界に浸ることができます。
ただ、気になることもちらほらありました。中でも、最も気になったのは脚本の荒さです。投げっぱなしの伏線というか、思わせぶりな設定が、ノイズとして感じられました。以下に少し挙げてみます。
・ツルタマちゃんの覚醒。ニュータイプですか?
・空知の退部騒ぎ。その後も普通に活動してますけど?
・朝比奈の足と倉持との関係性。過去に何かあった?
・倉持の母の死。描く必要あった?
・倉持の墜落。 彼の機体はどんな状態で発見されたの? 本当に墜落? 失踪? 何してた?
・異母姉妹の和解。あっさりすぎない?
・三角関係の行方。中途半端すぎない?
見方を変えれば、エピソードの大渋滞とも言えます。その一方で、もっと観たかった、グライダーの知識、グランドスタッフの役割、チームの連携などは描かれません。特に、ツルタマちゃんの座学シーンがないまま、あっという間に操縦を覚えて、しかもチームのエースって!? アムロの再来かと思いました。
鑑賞後に知ったのですが、原作があるのですね。だから、ストーリーが深く広がりそうなエピソードが散りばめられていたのだと納得しました。でも、それなら先にテレビアニメで1〜2クール描いて、劇場版はそこからのオリジナルストーリーでよかったんじゃないかなと思いました。
脚本が…
バッサバッサとぶち切った小ネタをひたすらつなげて駆け抜けた…テレビシリーズの再編集版かと思った。展開雑すぎるしキャラ設定も半端すぎと思うが…。同期の仲間たちや他校のライバルとのせめぎ合いとか、生き別れの姉さんとの関係とか深掘りするネタは盛りだくさんなのに全て軽くスルー。絵が爽やかで見応えあるのに残念すぎる。
脚本の乱気流が気になるところ、作風と堀田真由の声は一見の価値アリ
公開前の特別試写会にて。生の堀田真由さんを真っ正面から拝める至福…!SHE'Sの演奏も聴けて最高…。そこまでかな。テンション高かったのは…。汗
正直なところ、こんなに急がなくても…っていうのが感想。絶対1クールのアニメだったらもっと面白かったのに…と思ってしまった。出会いから成長、個々のパートに至るまで、もっと観たいな…って所が端折られている。だから全体的に忙しない。余韻に浸りたい所も浸れなくて勿体ない。しかも、原作は5巻も出ているので、ますます思う。山となる部分が多かっただけに、もどかしかった。
しかしながら、脚本以外は結構自分の好みに近く、ポップとシャープな画風が観ていて楽しい。主人公のたまきも、強気だけど憎めないキャラクターが体現されていて可愛い。他にも脇役が濃いのでますます1クールで観たくなる。実際にプロデューサーが惚れ込むのも納得で、アニメするとより作品が際立ってくるのが分かる。空の青さ、浮遊する感覚…ワクワクする感情を誘ってくれる。
そんな主人公の声は堀田真由さん。オーディションで選ばれたというその声はピッタリ。本人も言っていたのだが、実写だったらもっとクールな役を演じることが多いので、こういうキャラを演じられるのはそれで楽しかったそう。「こんな演技も出来るんだ…」とほれぼれ…。納得であり、圧巻。これも凄くハマっていた。
原作も凄く面白そうで、素材は十二分に揃っている。だからこそ作品の持つテンポがいかに大事か教えてくれる。脚本の乱気流が気になってしまう。実に作り込みはいいので、オススメはしたい作品。
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