ナイト・ハウスのレビュー・感想・評価
全2件を表示
持つべきものは、大切な「友」
長年連れ添った夫に、自殺という形で先立たれたベス(レベッカ・ホール)。夫の設計した 湖畔を眺める家に、重苦しい空気の中 一人過ごしていたが、不穏な夢で目覚める。とても夢とは思えない感覚に襲われ ふと夫の遺した家の設計図を見ると、そこには不可解な言葉が残されていた…。
これはなかなか複雑なストーリーではあるけれど グッと引き込まれるのは、脚本の妙と 演出の面白さにあったからだと思う。
反転した家や、ルビンの盃を思わせる人影…夢と現実が入れ替わる様な感覚…そして…これは…生贄の儀式…?
ただ、主人公に起きてる現象に対して明確な理由等は出て来ないので、起きたことを一つ一つ吟味する“状況証拠”の積み上げの必要があるので、ストーリーを追いながらも頭の中で咀嚼が必要かなと。
でも、愛する女性の為に命を賭けた旦那の苦悩がヒシヒシと伝わってくる後半は…「なんてこったー!」って感じです(笑)。
湖畔の向こう岸にあるライトハウスの真実を知り、 ベスは何を思うのか……。
謎解きを期待して…
理不尽な映画だ。
あるゾンビ映画のレビューで、ハマらなかった理由を書くとネタバレになってしまうというジレンマを感じたことがあったが、その時と同じだ。細かいことが書けない。
見せ方はポイントが高い。ビジュアルが非常に巧みで、最後まで緊張感を保っていられた。メジャーな俳優さんが出ていないだけあって、どうしてもB級感が抜けないのに、それを取り戻すビジュアルだったと思う。
よく、壁のシミなんかが人の顔に見えたりすることがあるが、ちょっとしたトリックでそれをやっている。一瞬の錯覚なのに、まるで見えない人がそこに存在するかのような演出が見事だった。
心理的に不安がどんどん募っていく構成なので続きを見ないではいられない。これは死んだ夫の仕掛けなのか、ただの妄想なのか、はたまたアルコールによる幻覚なのか、ベス(レベッカ・ホール)の困惑ぶりがとても印象深い。
雰囲気の恐さをノリで楽しめる人にはうってつけの映画だろう。
私はムリだった。
-------------以下ネタバレ-----------------
謎解きがお粗末すぎる。最大の謎は、夫が死ぬまでこれほどの疑惑にベスが気付かないでいられたことだ。「生きていたら聞き出せたのに…」ということらしいが、生きている間、同居する夫にこれだけの疑惑があったら普通は気付くだろう。まず浮気しているんじゃないかという疑惑。DIYで自宅を改装して自分の趣味を追求する優しい夫にしか見えないが、それは見せかけで、殺人鬼が自分の正体を隠すために別宅を建ててそこに都合の悪いものを隠しておく。何のために湖の鏡写しになるような配置で建設する必要があるのか。ものすごい労力と、お金が必要だろう。とても一人でこっそりできることではない。
ベスの感情も支離滅裂。愛していた寂しさを紛らわすために酒におぼれていく。「もう一度会いたい」という気持ちを募らせていく。とうてい理解できない。普通は逃げ出すだろう。一応友人の忠告という形で「逃げなさいベス」みたいな展開があるが、肝心のベスは疑問の追及にハマり込んでいく。
そして結末がうやむや。どうにでも解釈できるエンディングにはモヤモヤ感が抜けない。謎は謎のまま残ってしまう。最大の謎は死んだ夫の目的だ。何がしたかったのか。欲望のままに、妻を殺してしまいたかったのか、それを避けるために何人もの女性を毒牙に掛けていったのか、はたまた全部未遂だったのか。ベスはボートでどこに行こうとしていたのか。或いはどこに連れて行かれようとしていたのか。影のようなものは悪霊なのか、ただの錯覚なのか。
説明がないまま、映画は終わってしまう。
2022.1.28
全2件を表示