「久しぶりにゾワゾワしました」死刑にいたる病 kame-pukupukuさんの映画レビュー(感想・評価)
久しぶりにゾワゾワしました
自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。
鑑賞中はずっとゾワゾワすることができました。なにかとても大きなクライマックスがあるわけではないのですが、ずっと緊張を強いられる感じ、というのでしょうか、主人公の雅也が持つ鬱屈さと知能犯と相対する緊張感や不穏感がずっと画面を漂っていて、良い意味でずっと気を張っていました。
死刑囚である榛村に操られる人々と、操られていることを自覚しているのかしていないのか真犯人を探す雅也。メインキャラクターが知能指数の高い犯罪者、対峙する場面が狭い面会室、というところから、自分としてはどうしても「羊たちの沈黙」を思い出しました。
面会室のガラス越しに相対する場面では、ガラスに映る榛村や雅也の顔は良い演出だと思いつつ、あるはずのガラスを越えて手が触れるシーンや肩を触られるシーンは、少し分かりやすくし過ぎなのかな、という印象も持ってしまいました。
榛村を演じる阿部サダヲさんは、明るい役の印象が自分の中で強かったため、こういった演技は新鮮だったし、違和感などなく、飲み込まれるような感覚になりました。特に最後、雅也が自分の思い通りにならなくなったと分かった瞬間からの興味のなくなり方なんかは、とてもリアリティがあり、それまでの楽しんでいる感との落差が見事で、すごい役者さんだな、と改めて感じました。
若干配役で気になったのは、岩田さんの金山の配役です。演技力が、とかではなく、表現が難しいのですが、どうしても岩田さん本人が持っているビジュアル的なイメージと劇中の金山のイメージが違った気はします。
最後の1分ほどのシーンは、かなりドキッとさせられました。あの展開、とても良かったです。
映画とは直接関係のない完全に蛇足な話ですが、白石和彌監督の作品は「孤狼の血」シリーズしか見ていない中、主人公と恋仲になる女性の配役が、本作と孤狼の血(1作目)と、個人的に自分のどストライクすぎます。ということで白石監督の他の作品もそれ目当てに見てみたいと思います。(笑)