「綺麗な爪。」死刑にいたる病 せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な爪。
多くの高校生を残酷に殺した死刑囚がかつて交流のあった青年に自分の犯していない事件を調べて欲しいと依頼し、その青年が翻弄されていく話。
この死刑囚榛村の性癖として爪が綺麗な人がターゲット。それもファッション的に綺麗と言うより、傷一つないけど少しでも手を使うことをしたら崩れてしまいそうな繊細な爪。だから、大人になる前の高校生の爪ってちょうど良かったんだろうな。男の子でも、まだゴツゴツしてないから。
主人公雅也も榛村と出会った少年の時は綺麗な爪だったものの、現在は完全にゴツゴツした手。それなのにターゲット?という疑念がラストで回収されてるのかなと思った。
榛村はかつてのターゲット予備軍達に手紙を書いてもう一度呼び寄せて今も爪が綺麗な子を本当のターゲット、もう綺麗じゃない人を自分の駒にしてたのかな?と思った。だから本当のターゲットは灯里で、雅也は榛村の駒として同じ行動をするように仕組まれた罠だったんかな。それがまさに「死刑にいたる病」と。
落ち着いたトーンの映画かと思いきやしっかり白石和彌節は健在で、ちゃんと重要なシーンで雨降ってたし、映像の見せ方にひとつも無駄なシーンがなくて綺麗だな〜。
あと、こういう面会シーンが多い作品は、反射するガラス面を使って魅せる大喜利を楽しむものと思っていて、今回も色んなレパートリーあって良かった。雅也と榛村の顔が完全一致するお決まりの見せ方に、そこに後ろの警察官(たぶん洗脳されてる)も重なったり、雅也の体にすっぽり榛村の体が納まっててそれが白い服だから榛村の体に雅也の顔みたいに見えたり。こんなこと見てると話に置いてかれそうになるんだけどね(笑)