「白石和彌バージョン『チェインドッグ』」死刑にいたる病 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
白石和彌バージョン『チェインドッグ』
ラストは、ゾクっときた。原作自体がミスリードになっていて、まさしく「トリハダ」。既読の人の方が驚くかも。(見た時はそう思ったのですが、読み直してみると記憶違いでした。初見でも驚くこと間違いなし。)
のっけから拷問シーンの連続で、「白石流で行きますよ、心がやわな人は目を瞑ってくださいね。」と、言われている気がする。痛みに弱い自分は、足指をこわばらせながら必死で耐えた。
快楽のためではなく、生きる糧として、人を殺すと嘯く連続殺人鬼の榛村大和。榛村大和は、ターゲットに選んだ相手と時間をかけて良好な関係を築く。その関係性があるからこそ、躊躇なく拷問して殺すことができる。そんなシリアルキラーを阿部サダヲが演じるんだけど、阿部サダヲのために当て書きしたのではないかと思うくらいのハマり役。色白で整った顔は、悪意が全く感じられない。落ち着いた声色で、冤罪のことを滔々と語られると、この人がやるはずがないと思ってしまう。
原作通りであれば、主人公の筧井雅也は、神木隆之介がピッタリなんだけどなぁ。中学校までは成績優秀で、高校で成績が悪くなり、Fランの三流大学(劇中の言葉)で友達もできずにくすぶっているなんて、イケメンの岡田君じゃちょっと無理がある。うまく演じていたんだけどね。
白石和彌バージョンに仕上がった『死刑に至る病』でございました。
追記
原作を読み直してみたら、自分の勘違いだったので訂正します。
原作を読まれてるんですね。少し違っていると、どなたかのレビューで読みましたが、上手い脚色なのですね。
神木隆之介だったら、きっと凄いパフォーマンスを見せたでしょうね。ここまで阿部サダヲだけが目立つことにならなかったかも。
今でもまだ映画のこと考えてます。ドキドキ感は消えました。いい映画でした。拍手したかったです。虐待された子ども達、居場所がない子ども、考えるだけで吐きそうになります。親の圧力、目に見えない親からの圧力、これは子どもにとって本当に辛い。私は馬鹿でしたが、妹二人は辛かったようで大人になってから聞いてかなりショックを受けました。すみません、こんなこと書いて。
どうぞいい週末をお過ごしください🌷