「桜が下を向いて咲く理由」世の中にたえて桜のなかりせば しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
桜が下を向いて咲く理由
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宝田明さんの遺作。
れんたん(岩本蓮加)の初々しい演技が微笑ましく、映画初出演にして初主演ながらそこまで悪くないなと思いました。これからもどんどん映画やドラマで演技して欲しいなぁ…
宝田明さんの最後の演技を目に焼き付けよう、と云う姿勢で鑑賞しました。宝田さんは、私が初めて名前を覚えた俳優さんでした。ファンであるゴジラシリーズを通してその存在を知りました。ゴジラは同期であると語り、特撮関連のイベントに出られていることも多く、ゴジラ・フェスにてステージに立っているお姿を生で拝見して、感無量でした。
本作では、長い俳優人生で初めてエグゼクティブ・プロデューサーを務め、ご自身の過去(満洲での戦争体験など)を反映させた役を演じていました。本作への並々ならぬ熱意とそこにこめられた想いの大きさを想像し、心揺さぶられました。
れんたん演じる咲を見守り、自身の妻の終活に悩んでいる敬三を、とても温かみのある演技で表現されていました。
終活と桜と云う一見相容れないように思える要素を、出会いと別れ、生と死の象徴として捉えていた本作のテーマを端的に表した敬三のセリフ―「桜は下を向いて咲くんです。私たちが上を向くためにね」―が、す…と胸に沁み込んで来ました。
人生、俯いていてはいけない…。桜の季節に、背中を優しく押してくれるような、爽やかな余韻に浸りました。
改めて、ご冥福をお祈り致します。
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