「ソダバのセンスが冴えわたる捻れたフィルムノワール。」クライム・ゲーム 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ソダバのセンスが冴えわたる捻れたフィルムノワール。
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HBO Maxとの契約のせいか、このところ劇場公開ではなくDVDレンタル後に配信リリーズが続いていたソダーバーグが、映画マニアとしての趣味性を存分に解放したフィルムノワール。
主演はベニチオ・デル・トロとドン・チードルというソダーバーグ組の手練れたちで、ワイドスクリーンにアナモルフィックレンズの歪み炸裂で、レトロなギスギスした犯罪劇が展開する……のだけれど、それだけでは終わらせないのがソダバ節。気がつけば経済界が世の中を動かすカラクリを皮肉った社会派目線が見え隠れする。
いや、見え隠れどころか、途中で番組が変わったくらいの大転換なんだが、ノワールのスタイルはビシッと守り切る。ジャンルで遊ぶ天才監督の面目躍如であり、結果ヘンな映画なのに、凡百のノワール系よりずっと本格派。ソダバファンを除いて誰得かよくわからないものの、センスが冴え渡った仕事っぷりに惚れ惚れする。
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