余命10年のレビュー・感想・評価
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生きることの大切さ
私は原作小説を全く知らないだけでなく、邦画実写にあまり興味がないため、見る前はそこまで期待していませんでした。しかし、いざ見てみるとラブストーリーでありながら人間関係が丁寧に描写されており、様々な人との関わりを通して2人が成長する物語に感動しました。 治らない病気を持つ茉莉と生きる意味を失った和人が、お互いが出会ったことでそれぞれの人生が大きく変わっていく展開に惹かれました。 茉莉が重い病気と闘いながらも、家族や友人との時間を目一杯過ごそうとする姿に感動し、自分のできる範囲で楽しむことの大切さが伝わってきました。また、和人が初めは死にたいと思っていたのが、茉莉と出会ったことで彼女との時間を大切にするようになるなど、茉莉のために頑張って生きようとする姿にも感情移入しました。 今のご時世は、失業や病気などで生きる意味を見失っている人が多くいると思います。 この映画を見ることで、生きることの素晴らしさを学べるだけでなく、温かいヒューマンドラマに感動できると考えました。
洗練された脚本、俳優らの自然体を引き出す演出により、難病恋愛ドラマの水準を引き上げた
とりわけ日本で大人気のサブジャンルである難病恋愛物のありきたりな企画と思いきや、原作者の小坂流加は大学卒業後に難病を患いながら執筆活動を行い、2007年に同名小説で作家デビューしたのち、2017年に病状が悪化し死去したという。 共同脚本に岡田惠和、監督に藤井道人、主演は茉莉役の小松菜奈と和人役の坂口健太郎、さらには友人役で山田裕貴と奈緒、茉莉の家族役に黒木華、原日出子、松重豊など、スタッフ・キャストともに強力な布陣。本作の差別化ポイントは、効果的な治療法がなく患者のほとんどが10年も生き延びられない病ではあるが、主人公が20代の約10年間で死を意識しながらもほぼ日常生活を送れているという点だろう。「限られた人生の時間を生きること」というテーマが、洗練された脚本で積み上げられ、役を生きる俳優たちの自然な演技と、それを引き出す巧みな演出により、安易なお涙頂戴に寄らず丁寧に情感を伝える好作に仕上がった。 原作小説の版元である文芸社のオフィスが、劇中に登場する。余談ながら、文芸社が新宿に移転する前の飯田橋のオフィスには仕事で何度か訪ねたことがあり、打ち合わせの場面では当時の編集者たちを懐かしく思い出した。
小松菜奈の凄味を味わう作品
今をときめく藤井道人監督の最新作が「余命10年」。 タイトルから浮上してくる「きっとこんな作品なんだろうな」という思いを、良い意味で打ち砕いてくれる良作。とにもかくにも、小松菜奈と坂口健太郎が良い。なかでも、小松からは凄味すら感じられ、役者としての充実期がこれから長く続きそうな予感すら抱かせるものだ。
これまでの似たような作品とは一線を画す、実話をベースに「邦画の一つの到達点」と言える作品。
まず「余命10年」というタイトルで「以前に流行ったような映画?」と条件反射的に思ってしまいがちですが、この作品は過去のどの作品とも違っていました。 数万人に1人という確率の不治の病に罹ってしまい、10年も生きられない状況に主人公(小松菜奈)が立たされます。 ただ、主人公は、決して悲観的になり過ぎずに現実を生きようとします。家族以外の周囲には自分の境遇を知らせずに……。 この映画は「ベースとなる実話」が存在していて、それを参考にしながら作り上げている面があるので、何と言っても「物語の強さ」があります。 また本作では、時には「言葉」よりも雄弁に「劇伴」と「映像」が語ったりもしています。 心理描写を豊かにするため四季の風景を実際に映し出そうと邦画実写では異例な撮影に1年かける等かなり映像は見事なシーンが多くなっています。 例えばアニメーション映画でよく使われる「桜の花びらが風に舞う印象的なシーン」がありますが、それを見事に実写化もできていて、物凄く感慨深い良いシーンになっています。 そして、その映像を劇伴が優しく包み込んでいます。 「10年間」という月日を125分で体感できるのは、やはり冒頭から登場する“ビデオカメラ”という小道具も効いていました。 さらに「10年間」という時の流れを感じさせながら同一人物で演じ切るのは難しい面もありますが、メインの小松菜奈と坂口健太郎、山田裕貴、奈緒らは見事に演じ切っていました。 本作を見て改めて実感したのは、リアリティーの重要さです。 「奇跡」ばかりが映画ではなく、「奇跡が起こらない現実」にこそリアリティーが溢れていて、等身大の主人公らに素直に寄り添える面もあると思います。 「演技×物語×演出」のどれもが見事にハマった「名作」の誕生だと言えます。
10年の月日を2時間で纏めると偶然の要素が出てくる。これをどこまで受け容れられるかで評価が分かれそうな美しい作品
「余命」と聞くと、大きな絶望と微かな希望が繰り返し起こる時間を想像する。ただ想像しようと努力しても、現状の私はそのような立場になったことはない。不治の病となると、その病について自分でどんなに勉強したとしても不安を消し去ることはできないだろう。 SNSを中心に反響を呼んだ小坂流加の同名恋愛小説が映画化された。数万人に1人という不治の病で「余命10年」と告知された20歳の茉莉(まつり)は、複雑な気持ちを様々な表情と言動で見せている。その茉莉を演じたのは小松菜奈。積み重ねてきている女優力がグングンと上がっているのを実感でき、特に、見え隠れする不満顔と笑顔が印象的だ。 茉莉の心を表しているような美しい背景が自然に馴染んで嬉しくなる一方、色彩豊かで可愛らしい勉強机で茉莉が多種類の薬を薬ケースに一つ一つ仕分けているシーンでは、恋物語以上の強さを感じた。 見終わった後は、茉莉の家族、友人、そして和人[かずと](坂口健太郎)の存在がいつまでも頭の中に残る。 キーパーソンでありながら脇役枠のリリーフランキーは、美味しく煮込んだおでんの具のようにどんな役でも違和感なく役柄の個性を存分に滲み出すので、今回もまた彼の演技に驚いた。 私は涙が止まらないくらい感情的に見ていたので、この映画に関しては、視覚面でも極力ネタバレにつながる可能性があることには言及すべきではない、と思っていて、全ての「起こること」や「言動」を自身で感じてほしいという立場だ。 「恋はしない」と決めて苦しみながらも充実した約10年が、2時間ほどに凝縮されて、隙間なく素敵に箱詰めされている。大画面を含め、買って持ち歩ける物ではないので、是非とも集中できる映画館で、この箱を開けてみてほしい。
作者の余命をたどる様な映画
原発性肺高血圧症を患い短い生涯を終えてしまった。作者小坂流加さんの人生をたどるかの様な細かな演出とリアリティある映像。 桜や雪や夏の海は原作者の生まれ故郷である静岡県・三島市で撮影が行われていて、草花をあしらった演出も実際の原作者の嗜好に添っていて、小坂さんのたどった一生を観ているかのようでした。 命を投げ出そうと失落した真部和人が、茉莉との再会で生きる気力を取り戻していく。恋を諦めていた茉莉も真部和人との出会いで煌めきを持った余命となる。 小坂さんはこの様に最後の10年を生きたかったのかもしれない。もし何か諦めかけている人がいるなら、命が続く限り諦めず頑張ってとメッセージを受けているような、心を揺さぶられる映画でした。
これも実話ですかぁ
人生の出逢いはいつも奇跡的ですねぇぇ その長さや時間は関係ない 人と出逢い楽しんだり悲しんだり悔しかったり色々な思いを感じることが幸せなんだと思うぅ この映画の主人公は幸せだったと本当に思う
小松菜奈はしご
「ぼくは明日、昨日のきみと〜」を観て泣いた後にすぐさま「余命10年」観ました。 いい映画だったけど、2本目で疲れていたのかそれとも福士から坂口に小松菜奈を取られたく無かったのか泣くことは無かった
⭐︎4.2 / 5.0
6月23日(日) @ AP映画(2022) 余命10年 --- 「愛する人に出会えるなんて奇跡みたいなもんだよ」 死にたくないって思えるほど生きられたことも奇跡だと思う --- #movie 🎬2024 #備忘録 #余命10年 #映画 #映画鑑賞 #映画レビュー #映画好き #映画好きと繋がりたい #映画好きな人と繋がりたい
押し付けがましくはなかったです
ずっと小松菜奈推しなんですが、タイトルを聞いた時に、「あぁ、また『ぼく明日』と同じ路線かぁ」と思ってしまったのも事実。 「悲劇ですよ」「泣かせますよ」「タイトル見ればわかるでしょ」みたいなのは好みではない。結果ロードショーは見損なってしまった。映画館行くのもなんか恥ずかしいしね。DVDでいっかぁ、、、 いやごめんなさい、間違ってました。映画館行くべきでした。 小松菜奈演じる茉莉は感情を発露するような台詞が少なめで、まなざしや口もとなど軽い表情の変化で伝える感情の起伏が素晴らしい。「映画ってこうだろう」と思わせてくれる。 松重さんをはじめ脇を固める役者達も(山田くん以外は)抑制的に演出されており、悲劇を押し付けてはこない。却ってリアルだ。 でもリリーさんまで悲しげな演技をする必要あったかな。いや、雰囲気あったけど、、
淡々としてる
難病×恋愛という王道の展開ですが、なぜかそこまで感情移入できなかった。ストーリーがかなり淡々とした内容だったからのように思います。 ただ、命の重みや日々生きていけることの大切さはかなり伝わりました。
肺高血圧という疾患を知って欲しい
若い人(女性)がこの疾患にかかると余命は短い そこから生活にはかなり制限が起こる よくある映画ではガンや白血病があるが、肺高血圧も余命短い そんな現実感のある作品ではないだろうか
☆☆☆★★★ 原作は読了済みですが、これは映像化の圧勝ですね。とに...
☆☆☆★★★ 原作は読了済みですが、これは映像化の圧勝ですね。とにかく上手いです。 映像化された作品を振り返えると。原作半分、映画オリジナルのストーリー展開が半分と言ったところでしようか。 始めに映像化の圧勝…と書きましたが。これはひとえに、スタッフの技術の高さに起因している部分がかなり大きいと思います。 映像化するにあたり、ワンカット×2の美しさが記憶に残る程の画面作りには、時折溜息が漏れるくらいでした。 1番大きな原作からの変更点として。ヒロインが彼に対し、自分の病気を告白するのが、原作だと残り少しの辺り。それを映像化に於いては、映画中盤に入った辺りですからかなりその違いは大きいですね。 スクリーンを観上げながら「何故こうしたのか?」…を考えていたのですが。ふっ…と、ある事に気付きました。それが原作の中盤辺りでのスノボ旅行。 それまでヒロインは。(彼にどんどん)恋をする事で、将来像に怖さを感じ、彼の手すら握る事すら出来ないくらいでした。 それがスノボ旅行の帰りに、大雪で帰宅出来なくなり。車内に取り残された2人は初めての口づけを交わします。 現代的な恋愛に於いて、僅かこれだけの事しか出来ない恋愛模様は。言ってみればお伽話と言っても良い程なのですが。読みながら、この場面が原作では1番印象に残る場面だっただけに、やはり製作側も《この場面こそが肝》と思ったのではないでしょうか。 だからこそこの場面を、終盤の盛り上がりの箇所に挿入していたのだと思います。 ちなみに、原作との違いを少しだけ思い返してみると… 友人はコスプレイヤーで、彼女に誘われてヒロインもコスプレイヤーになる。 一方でヒロインは、若い時から漫画家になるのが夢で。漫画を勉強しながら友人の影響で自分の衣装を作る様になり、(原作だと)その衣装が最期の場面で効いてくる。 彼は名家の大事な跡取り。親に反目していたが悩んだ末に地元に帰って跡取りとなる。 従って、リリーフランキーのキャラクターは映画オリジナルの人物像になります。 そして大事な変更として。漫画家志望だったヒロインを小説家志望にしている点。 これは、元々原作者自身がこの原作を書き、その後早逝した事で。彼女の分身であるヒロイン役の小松菜奈=原作者として描き切った脚本上での優しさを強く感じます。 そんな脚本の巧みさは。映画の冒頭で、原作にもあった同じ病気で亡くなる友人から贈られるた《ある小道具》 この原作には無い《小道具》の存在によって、2人の恋愛模様の歴史が時間系列順に残されて行くのです。 この【2人を見つめ続けた記憶メディア】は、最後の最後で効いて来る訳ですが。最後に残る〝 恋のトキメキ 〟を表現する瞬間の脚本は、本当に上手いですね。寧ろ「狡い!」と言って良いくらいでした。 彼女が記録した〝 映像 〟でしたが。たとえ消え去ったとしても生き残り続ける、、、いや、その先の映像をも、彼女の脳内では記録され続けていた映像には「うわ〜!やられたなあ〜!」…と。 映画オリジナルのキャラクターだったリリーフランキーの味のある演技。 原作だと全然目立たなかった両親の、娘を気遣う様子もしっかりと描かれていたし。何よりも、先に記した様に。タイトルが出た瞬間での画面の「はっ…」とする美しくであったり。太陽の光であり、桜の花びらの美しさを始めとした撮影の素晴らしさには感嘆を抱きました。 私が鑑賞した回は若い女子高生で満席に近い入りで、終盤はあちらこちらから鼻を啜る音が聞こえ来ました。 それに反して、こちらは純粋な心を失ってしまったおじさんだけに。(最早)この程度の泣かせ演出では泣けないくらいに煤けてしまった心を持ち合わせてしまいました💧 でも、だからと言ってこの作品を悪いとは言っていません。寧ろかなりの良作だと思っています。 純粋な心を持つ人ならば素直に泣ける作品だと思います。 そして何よりも、小松菜奈本人から醸し出される《儚さ》の凄さは、少し時間が経った今、改めて考えてみても凄いですね。 2022年3月11日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン10 ・
涙が止まらない感動の藤井監督作品
藤井監督作品が好きなので何度も観ている作品。 主人公はもちろん、その周りの人たちの辛い思いが切なすぎて涙が止まらない。 せつなく悲しいストーリーだが、すばらしい愛に溢れている。 四季の描写もわくわくするほど映像が美しく特に雪のシーンが印象的。 台詞がとても刺さる。げんさんの台詞が特に良いと感じた。 小松菜奈さんの醸し出してる透明感や儚さが素晴らしかった。また、坂口健太郎さん、山田裕貴さんも良くて何度も観てしまう。
未来に残すということ
ある物事を未来に残すための手段はいろいろある。 文字でも、映像でも、伝聞でも。 彼女が生きていて、恋をしていたこと。たくさんの愛情で家族が支えていたこと。彼女のことを心のそこから好きだった人がいたこと。 私たちはこの映画を通してそれを知り、未来にも残っていく。
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