「小松菜奈さんの魅力とパワーで、月並みさを乗り越えて、惹きつけられるものとなっていた」余命10年 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
小松菜奈さんの魅力とパワーで、月並みさを乗り越えて、惹きつけられるものとなっていた
藤井道人 による2022年製作(125分)の日本映画。配給:ワーナー・ブラザース映画。
静岡県三島市出身で肺動脈性肺高血圧症を患っていた小坂流加(1978年〜2017年)さんの同名小説が原作。
小松菜奈が母親に生きたい!と強く訴えるところは、グッときた。いつもながら、パワーを感じさせる演技で凄い、応援したいと思った。ただ、暴飲暴食して、トイレでゲロ吐くところは、菜奈ファんとしてはあまり見たくもないものを見せられ、少々安易な脚本や演出にコレはイカンだろうと文句をつけたくなった。
小松の父親役松重豊の演技、セリフ無しで表情で、親としての心配とか悔しさ、愛情を表現していて、とても素晴らしかった。RADWIMPSが手掛けた音楽も、アニメで見せてきた饒舌さを抑えめにして、キレイな音楽で好感を覚えた。
原作者への敬意というか、2人の出会いの舞台を三島に設定したのも、好印象。背景の映像としても、映えていた。ただ、四季の風景を映画に取り込むのは贅沢で丁寧な映画作りで基本良いのだが、欲を言えば満開の桜の表現が今一つで工夫が無い様にも思えた。満開を表現したいのなら、いきなりすべてを見せない方が効果的だろうし、風で舞う桜を描きたいとしても、いきなり大量パラパラでなくチラチラから大量に舞う絵となる方が効果的だろうと思ってしまった。
なお肺動脈性肺高血圧症であるが、2000年にエポプロステノール持続静注療法が登場し、さらに新しい複数の飲み薬も加わり、現在では某大学病院ホームページでは当院の10年生存率が85%を超えていると謳っていて、状況は相当に改善されている模様。映画で述べられていた通り、実際、治療法の進歩はあった様である。
バンド「King Gnu」の井口理が大学友人の夫として出演していた。ドライブ・マイ・カーの三浦 透子も大学友人役で姿見せていた。
最後の坂口健太郎がママチャリで走って病院に駆けつけるシーンは、ベタな演出なれど、胸が熱くなった。死の縁にあった小松菜奈が夢見る希望の映像の数々、海で一緒に泳ぐ、結婚、出産、娘と一緒のファミリー団欒、ファンとしては嬉しい映像。月並みなそれらが全てとても難しいことが、胸に突き刺さった。
監督藤井道人、原作小坂流加、脚本岡田惠和、 渡邉真子、製作高橋雅美、 池田宏之、 藤田浩幸 、善木準二、 小川悦司、 細野義朗、 佐藤政治、エグゼクティブプロデューサー関口大輔、プロデューサー楠千亜紀、 川合紳二郎、 瀬崎秀人、撮影今村圭佑、照明平山達弥、録音
根本飛鳥、美術宮守由衣、装飾前屋敷恵介、ヘアメイク橋本申二、スタイリスト伊賀大介、衣装江ロ久美子、編集古川達馬、スーパーバイジングサウンドエディター、勝俣まさとし、
VFXスーパーバイザー大澤宏二郎、音楽RADWIMPS、主題歌RADWIMPS、助監督逢坂元、制作担当柿本浩樹、キャスティングプロデューサー高柳亮博。
出演
小松菜奈高林茉莉、坂口健太郎真部和人、山田裕貴富田タケル、藤崎沙苗奈緒、井口理三浦アキラ、黒木華桔梗、田中哲司平田先生、原日出子百合子、リリー・フランキー梶原、松重豊明久。