劇場公開日 2022年3月4日

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「病との向き合い方の葛藤がリアル。肝心な恋愛要素も◎」余命10年 JJJJJさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0病との向き合い方の葛藤がリアル。肝心な恋愛要素も◎

2022年5月8日
iPhoneアプリから投稿

病気を患った当事者と周囲の人達の温度差やどう向き合えばいいのかという葛藤がリアルに感じられた。主人公の友達が軽薄に男を紹介するシーンを見てると、この人には病気の苦しみが理解できないんだなと気が遠くなる。一方でこの人の想像力は主人公とは違うベクトルに広がっているんだなとも思え、そう考えれば幸せな人なんだなと羨ましくも思えた。友達は離れた存在だから割り切れるけど、当事者に近い存在である家族にとっては悩ましい問題だなとつくづく思った。要所で挟まれる主人公の笑えない冗談や冷めた目も印象的。Yahooニュースには「私は重篤な病気に掛かっても前向きに生きてる!周りの人達に感謝!」的なキラキラした記事をよく見かけますが、実際には本作で描かれているような漠然とした諦めの感情からは逃げられないと思う。
…と、シニカルな感想に駆られる一方、肝心な恋愛の要素でグッとさせられた事実も忘れられません。毛色は違えど同じ絶望に対してより広い視野で向き合っている主人公の言葉にハッとさせられ、そんな彼女を信じて疑わない彼氏の純粋で誠実な心にはお涙頂戴の演出を通り越してヤられました。普段この手の映画には興味を示さないのですが観れてよかったです。

チェザーレ