劇場公開日 2022年3月4日

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「心疾患の当事者です。」余命10年 かみなりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0心疾患の当事者です。

2022年3月7日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

どうしてもレビューが書きたくて登録しました。
原作は以前読んでいて、原作よりもさらにリアリティあふれる作品になったように思いました。特に主人公の気持ちや表情はそれ相応の病への知見がないとあそこまで表現できないと思います。時々主人公が漏らす嘆き以外に心の声がないため、曖昧な部分や登場人物たちの感情の揺れが理解し難いところがあると思いますが、逆に10年をスッキリと2時間に収め、それでいて考え深く纏めていると思います。現実に近づけた結果なのではないでしょうか。また、時の経過を1人一役でやり遂げるメイク、映像の技法も素晴らしいです。薬や病院の器具も主人公の病で実際に使用される物で、それを知っている身としてはゾワゾワしました。
私もまだ20代ですが長くは生きられないようです。命の宣告はされていなくても、情報にあふれる世の中で自分の病を調べ、落胆しすぎるわけでもなく、終わりが見える人生をただ必要最低限の人との繋がりで完結させようとしていました。色々あって結婚も就労もしていますが、術痕さえ見えない服を着てしまえばまだ社会に溶け込めるので、病のことは本当に必要な人にしか告知していません。映画がただのフィクションではなく、現実にこのような人もいるんだなと、この作品がいろんな人の心に少しでも残ってもらえたら嬉しいです。

かみなり