笑いのカイブツのレビュー・感想・評価
全131件中、1~20件目を表示
泥臭くカッコ悪く最後まで往け!!
岡山天音さん、仲野太賀くん、菅田将暉くんと大好きな俳優さんが揃って3人もご出演とあって、昨年末から公開をとても楽しみにしていた作品です。
ハガキ職人のツチヤタカユキさんの実話くらいの浅い知識で鑑賞しましたが、十分に見応えがあり、今年の映画第1作目として大変楽しめました。天音さんは、人間関係不得意で笑いに取り憑かれた鬱屈不安定な主人公を見事な憑依的演技で快演。まさにカイブツ…。待ちに待っていたピンク髪の菅田くんは、中盤に登場し出番こそ少なかったですが、大事な役どころで存在感がもはや眼福。主演でもなくこういう役どころの菅田くんは、大変力が抜けていて観ていて気持ちいい。そして仲野太賀さん、どんどんいい役者さんになられてお父様もきっと喜んでいることでしょう。
私の目的としては、大好きなこのお三方の演技を堪能したという時点で既に合格点なのですが、ストーリー的に見るとなかなか重たいお話ではありました。実話ということもあり、サクセスストーリーなのかと思いきや、最後まで鬱屈としていて希望はない。映画用に体裁よく整えられたラストのある物語とは違い、私たちは現実を思い知らされる。
成功とは、運を掴んだ者だけに与えられるものなんだと。チャンスは等しく誰にでも与えられる。人生の大事な局面では、助けてくれる人も現れる。大切なのはそれに気づくこと。そして掴もうと必死にもがくこと。そして最後まで決して諦めないこと。
鑑賞後、原作本やツチヤタカユキさん、モデルとなった芸人さんについて調べました。その上で思うのは、主人公の才能を信じて応援してくれる人がいることを忘れずに、最後まで泥臭くカッコ悪く闘い続けてほしいということ。本作が映画公開となったことは、不器用にこの世の中を生きている人たちの光となるのかもしれません。主人公の今後の生き様こそが、本当のこの映画のラストになるのだと応援して見守っています。
“カイブツ役者”岡山天音さんの狂気が主演作で開花
まさに“カイブツ”。「伝説のハガキ職人」と呼ばれた実在するツチヤタカユキ氏を演じられるのは、役者・岡山天音さんしかいなかったではないでしょうか。単なる奇人か、稀代の天才か―。笑いに取り憑かれた男ツチヤを、岡山さんがその役に憑かれたように演じ、痛いほどに純粋で激しい生き様と魂の叫びが観る者の心に突き刺さってきます。
本作の岡山さんの演技は、これまで主に主演作で演じてきた役のひとつの到達点であり、そしてその殻を突き破って“カイブツ役者”の狂気が主演作で開花したと言える演技をスクリーンに叩きつけています。役を突き詰め、役に追い込まれて演じたことが伺えます。
自分に嘘をつけず、“やるだけやって、燃え尽きたらそれまでじゃ”という生き様は、何者かになりたかったすべての人の心を震わすに違いありません。
微妙な作品だ。 主人公は大したセンスもないのに自分のこだわりを譲れ...
面白いしキャストもいい
岡山天音のサイコパス感、仲野太賀の安心感
実生活でも考えさせられる作品
痛い・・・
岡山天音は好きな俳優です。彼のこの作品のような狂気を帯びた演技は好きなのですが、この作品はあまりにも痛すぎました。ツチヤタカユキ氏の自伝的小説なのですが、彼の現状は知りませんが、彼の土俵はやはり「ハガキ」なのでしょう。
劇中「人間関係不得意」などと自己評価していますが、その割には名声もお金もほしいわけで、だからといって自分の生き方を変えることはしないわけで、あくまでもラジオやテレビに「ハガキ職人」として投稿し評価されるのが精一杯なのでしょう。
もちろんなにもないところから物を作り出す「作家」「音楽家」などは本当に身を削る思いでしょうし、この映画の主人公も現場に行かなくてはいけない放送作家のような道を選ばず、あくまでも机上の原稿用紙を相手に「お笑い」を書けばよかったのかもしれません。
彼を取り巻く菅田将暉、仲野太賀、片岡礼子、松本穂香たちの彼に対する愛情に、全く応えることのできない彼は、やはり「人間関係不得意」なのでしょうね。で、そこで日和ってしまったら彼ではなくなるのかもしれません。
岡山天音の演技がまじで怪物で良かったけど、要所要所で出てくる大喜利...
怪演岡山天音
感情移入しすぎると地獄。
前提として
・原作は未読。
・滝本憲吾監督の他作品は未視聴。
・ツチヤタカユキという人物はほぼ知らない。
・オードリーの芸風はぼんやりとだけ知っている。
キッツイ。
夢の話、というか"笑い"に取りつかれた男の話。一貫して、夢を呪いのようなものとして描いている。ただ、そこに良いとか悪いとかの意見はなくて、永遠にさまよい続けるのであろう地獄をずーーーっと見せてくるような……そんな感じ。
芸術や芸能を志す人ほど刺さる映画なのではないだろうか。それも若い世代に。
正直に言って考えたくない。非常に重かった。
ここまで深く考えさせるから、この映画はとてつもないエネルギーを持っているのだと思う。なんなら直視したくないほどの何かがある。
キャストの面々、演技が絶妙にリアル。世の中の何もかもを信じたくなくなるほどにリアル。(あまり親しくない)大人が裏で自分に対して言っていることを知ってしまった時、親しい先輩が自分のことを褒めてくれても信じられなくなるような、居心地の悪さがあった。「オモロい」という言葉に嘘しか感じられない。誰も信じられない。
こう感じさせるのは、東京に来た"ツチヤ"という子供と同じ視点で世界を観ていたからだろう。
もちろん子供ではない。けれども、職に就かず"笑い"を追いかけて、傷つき苦しみ、また傷ついても追いかけて、やっと来た東京で死にそうなぐらいに苦しい地獄にぶち当たってしまう。そんな純真無垢さと過度な繊細さを持ち合わせた子供のような"ツチヤ"と同じ視点で物語を追いかけてしまったからだろう。
それだけ、岡山天音さんの演技が素晴らしかった。
菅田将暉さん演じる"ピンク"が推し。正直に言って良いヤツじゃない。それでもツチヤに対して思うことがあったんだろうな、だからああいうこと言ってくれたんだろうな、と感じた。今日もどこかで生きてて欲しい。一緒に酒は吞みたくないけど、大事な時には話しておきたくなる、そんな存在。関西弁がまた良いんだよな……。
「あえてボカシてないか?」と違和感を感じたシーンもあったが、原作や本人の映像、当時の資料等を拝見すれば別の見方が出るのだろうと思っている。
ただ、これは言いたい。音楽がどうしても気になった。特にツチヤが幻覚を見るシーン。あの辺りは特に、音楽で観客の感情を誘導しようとしている感じが強くてちょっと冷めた。無音のままで観て、ツチヤにとってはどういう感情なのかを熟考したかった。音楽=ツチヤの奥底にある感情、という意図だろうか。
努力できる才能を持った社会不適合者が、ちょっとした運と行動力だけでどうにか進むも、人間としての最低限の生活すら捨てていく話。鬱といえば鬱。
吐き戻したくなる。そんな作品。
岡山天音さんの演技力に圧倒された
壮絶な構造 "お笑い"の舞台裏
TV番組の、
そのほとんどを支えてる"お笑い"。
TVにかじりついて見入っていた
獅子てんやわんや、チックタック、てんぷくトリオ、コント55、の時代から
やすきよ、オール阪神巨人、コント赤信号、チャンバラトリオから、
ツービート、紳助竜介、B&B・・と
星の数ほどの"お笑い"が
ずーと、僕らを支えてくれていた
その裏側を、見てしまった!(この映画で)
辛く、恐ろしい世界。
主人公のツチヤ
演じる岡山天音
真実を超えた現実を、それは恐ろしい舞台裏
でも、きっと
これからもTVでお笑いを見て
腹から笑い転げるだろうと
いう思いもする
役者さんの演技、芸も、みなすごい
ピンクを菅田将暉
ヒロインのミカコを松本穂香
いい味出してるよね
このえいがの醍醐味は"リアル"
NHKがやっていた
着信御礼!ケイタイ大喜利
の画面から始まるストーリーが
そのリアルさを倍増さています
だから生きてゆく
笑いのカイブツを3回も見た。なぜ?
カイブツが段々愛おしく思えてくる作品
あのコント、面白いのか?
そもそも、この作品のモデルとなったツチヤタカユキなる人物を知らず、映画で観た印象がすべて。たしかにこの性格で芸能界は不向きだろうなと思うし、またその才能が芸能界という場所でないと生きないというのは映画内で菅田将暉が語ったように不幸ではある。 このエキセントリックな人物の描写に岡山天音の起用は適役であろう。
だだね、映画内で時折テロップで差し込まれる、このツチヤ作のコントがまったく面白いと感じないのは、あれは芸人の語りのワザ込みで面白いのか、それとも関西人特有のセンスでないと笑えないのか...
「主演男優賞獲って欲しい」
全131件中、1~20件目を表示