「怪優•岡山天音の演技に震える」笑いのカイブツ チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
怪優•岡山天音の演技に震える
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主人公•ツチヤタカユキは、かなり強烈なキャラクターだった。笑いに取り憑かれるあまり、1日に何本もの大喜利ネタを生み出すが、人間関係が不得意でちゃんと挨拶ができなかったり、相槌すら打たなかったり、自分が気にいらない仕事にはブチ切れる。人によってはただのワガママなキャラクターに見えてしまい、嫌悪感を感じる人もいるだろう。
確かに私もツチヤがワガママだとは思うし、もう少しコミュニケーション取れよとは思うし、共感できない行動•言動も多かった。しかしツチヤのあそこまで一つのことに情熱を注げる生き方には羨ましさもあるし、理解したいとは思えた。どうしても憎めないキャラクターだった。
ツチヤを憎めないキャラクターに昇華させたのは、やはり岡山天音の演技だろう。前から演技の上手い俳優だとは思っていたが、もはや俳優の域を超えて怪優。一心不乱に舞台の台本を描き続ける狂気の姿から、芸人にしかわからない壮絶な苦悩まで表現する完璧な演技。次の場面ではどのような演技を魅せてくれるのだろうと気になり、画面から目が離させなかった。
そして脇役も素晴らしい。菅田将暉は特に最高で、登場しただけでやはり凄い存在感。少し危ういオーラを醸しつつも、終盤の居酒屋の場面でツチヤに寄りそう姿にはグッときてしまった。
あとツチヤのオカン役の片岡礼子も忘れてはいけない。息子に「ありがとう」と言われた後の表情は秀逸だった。この人は大きな役を与えられることはあまりないが、今回ツチヤのオカン役に配役されたのは正解だったと思う。
賛否が分かれるだろうが、個人的には良かったし、これくらいクセの強い作品があってもいいと思う。
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