「夫婦芸が見どころ」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦芸が見どころ
前作で東京への通行手形を手にした埼玉人が、埼玉内の不和解消のため共通の海を作ろうと和歌山に南紀白浜の砂を貰いに船で出航する。しかし船は座礁、和歌山は大阪が全国支配する目論見に飲み込まれて実権支配され、大阪粉物世界の生産奴隷地とされていた。
大阪と京都洛中と兵庫芦屋以外の関西民は被支配層として、通行手形なしで南紀白浜に入れば、大阪府知事命で甲子園地下に更迭され、捕虜として粉物生産の奴隷とされる。
大阪がそこまでする理由は、日本を大阪が統一して、世界に向けてまずは2年後の大阪万博を成功させるため。
結局、甲子園の砂まで麻薬化した粉物ワールドを浸透させた大阪(と京都と神戸西宮)対、滋賀開放戦線のガクト杏兄妹率いる、関西の残りの民(くっきー堀田真由兄妹含む)+ガクトが埼玉から連れてきた埼玉県人達で対決となる。最後は大阪が通天閣から打ち上げた粉物ミサイルを、埼玉で唯一のタワー、田んぼアートを見る用の行者タワーが迎撃ミサイルとなり駆逐し、平和が訪れる。
ガクトが演じる埼玉開放戦線の麻実麗はアメリカのマイアミ帰りかと思っていたが、実は、父親は埼玉、母親は滋賀の、立場弱い民サラブレッドだったと判明!
というか、ずーっと同じ地域で純血の人って全国にどのくらいいるのだろうか?名古屋市民くらいでないか?
その名古屋も東京からするとお店の出店等も随分遅い狭き地方都市。複数の地域に身よりがいて文化の融合に慣れているハイブリッド血の方が結果的に生命力が強いのではと感じさせられた本作だった。
チャーリーのチョコレート工場丸パクリの、大阪府粉物生産アジトでウンパルンパとして踊るゆりあんが出てくるシーンも面白かったけれど、1番の見どころは、片岡愛之助と藤原紀香の夫婦芸。
2人とも、役者としてのプライドをサービス精神で発揮させるタイプの人間性なのだなと思う。
兵庫西宮出身が公式ながら実は和歌山産で、その証拠に紀ノ川フルーツ大使をしていると滋賀県民にバラされる藤原紀香は、実際にご両親が和歌山出身のため、嘘にも和歌山差別にもならない、実に上手い設定。
その藤原紀香が大阪堺出身の夫片岡愛之助を和歌山近くの田舎者とディスり、京都の洛中を誇る京都市長役の川崎麻世と不倫中なのだが、役で川崎麻世が隙間に入り込んできても余裕の、揺るがない夫婦仲だから受けた関係性の役なんだろうなと感じさせられて、そこにほっこりした。実は面白さを重視するのに、なぜかしきたりを期待される、似たご夫婦なんだなぁと。
日本の地味県を盛り上げようとする本作に出て、関西から日本を統一しようや!と結託する役を魅せる夫婦芸は、正直、ガクト杏ペアを食ってしまっているように見えた。ただし2人とも関西弁が変すぎる。関西出身のはずなのに、何故?!
そして、見るたびに手足が細く長い人だなぁと感じる杏よりもちゃんと大柄で、ツンとした海外っぽい鼻のガクトを見ると、見た目も出身もこの役はガクトしかいないと今回も感じた。杏の思いっきり怒るところは、あぁ、声を荒げて怒る事もあるんだなとなんだか安心したし、昔は何を見ても唇が喋っているだけの印象だったので、ちゃんと感情を乗せた演技を初めて見れた気がした。
頭数がどうしても少ない、滋賀奈良和歌山に加勢してくれた、とびたくんありがとう。
滋賀に行った事があると、琵琶湖周辺とそこから高台に位置する彦根の位置関係がわかるので、避難する意味がわかり楽しめた。ヤンマーは出て来なかった。
作中やたらとディスられる滋賀だが、
堀田真由ちゃんを輩出したのよ!と言いたくなる。
可愛くて全力で冷静で演技が上手くて、大好きな女優さん。動物番組で一緒のくっきーとも息が合っていた。