「馬鹿馬鹿しいのにクオリティ高くてしっかり面白い」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
馬鹿馬鹿しいのにクオリティ高くてしっかり面白い
前作も鑑賞済みです。本作から鑑賞しても十分楽しめるとは思いますが、あくまでも前作の続きとして物語が進み、前作の振り返りもほとんど無いので、ところどころ前作を鑑賞していないとよくわからない表現が出てくるので注意です。また、前作よりも更に田舎県のディスりがパワーアップしているため、そういうネタとして割り切って鑑賞することができない方にはオススメしません。
GACKTさんや二階堂ふみさんなどの主要キャストは前作から続投。新規キャストとして片岡愛之助さんや藤原紀香さんの夫婦共演や、杏さんや堀田真由さんなどの魅力的な女優さん、野生爆弾のくっきー!さんやハイヒールモモコさんなどの芸人起用も多く、豪華キャスト陣も本作の魅力ですね。
終始馬鹿馬鹿しいコメディが繰り広げられつつ、ちゃんとストーリーは停滞することなく進むし、話の本筋は虐げられていた者たちのジャイアントキリングという、爽快感とカタルシスに溢れた王道展開なので、見た目とは裏腹に堅実で面白い作品になっていたと思います。
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東京都民から差別的な扱いを受けていた埼玉県民だったが、麻実麗(GACKT)が率いる埼玉解放戦線と、麗に惚れ込み彼に協力することとなった東京出身の御曹司・壇ノ浦百美(二階堂ふみ)の活躍により差別が撤廃され、人間としての尊厳を取り戻した。埼玉県は横のつながりが薄いことに危機感を抱いていた麗は、埼玉県を横断する路線「武蔵野線」を開通するため、県内の鉄道会社に依頼をするが、対抗意識の強い鉄道会社はそれを断固として拒否していた。交渉が難航していたところで、麗の提案で「和歌山の白浜から白い砂を持ち帰り、越谷に海を作る」ことを条件に、武蔵野線の開通を検討してくれることになった。かくして麗たち埼玉解放戦線の一行は、和歌山を目指して出発するのだった。
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「意外に面白い」。本作の評価はこの一言に尽きます。
前作以上にバカバカしい内容の作品ではありますが、コメディパート以外のメインストーリーは実に王道的です。虐げられていた弱者たちが団結し、暴君を討ち倒すというジャイアントキリング。これは面白くないワケが無い。
コメディシーンも、「県民あるある」が詰め込まれつつ、色んな都府県を面白おかしくディスるという内容で、非常に笑わせてもらいました。前作は主に関東圏のローカルネタでしたが、本作は関西圏のローカルネタと自虐他虐がメインでした。東北在住の私ですが、それでも問題なく面白いと思えるコメディで、劇場で笑いをこらえるのに必死でした。
ただ、前作もそうでしたが、かなり誇張した都府県ディスりが繰り広げられる若干不謹慎な作品ではありますので、一部の方は不快に感じてしまう部分もあるかな~という印象です。
また、ストーリーは王道的なものですが、悪くいってしまえば先が予想できてしまうありきたりなものなので、映画に慣れ親しんだ方が観ればありきたりで退屈に感じてしまう可能性もあります。
ただ、私はそのような不満点は鑑賞中は微塵も感じることなく、おバカで優美な世界観に引き込まれて楽しく鑑賞することができました。難しいことを考えずに鑑賞することができるエンタメ映画としてはこれ以上ないクオリティだったと思います。オススメです!