「埼玉滋賀連合 大阪茶番の陣」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
埼玉滋賀連合 大阪茶番の陣
かつて、ある闘いがあった…。
東京から徹底的に迫害されていた埼玉。
埼玉県人は通行手形が無ければ東京に入れない。東京に埼玉県人が居たら強制連行。
埼玉なんておぞましい。埼玉って言うだけで口が埼玉になる。埼玉県人にはその辺の草でも食わせとけ!
ダ埼玉、く埼玉、うさんく埼玉、うる埼玉、青く埼玉、田舎く埼玉、古く埼玉、アホく埼玉、バカく埼玉、ケチく埼玉、きなく埼玉、ドンく埼玉、貧乏く埼玉、面倒く埼玉、陰気く埼玉、辛気く埼玉、小便く埼玉、乳く埼玉、イカく埼玉…。
埼玉県人は待っていた。埼玉を自由の下に解放する救世主の出現を。
そこへ現れたのだ、救世主が。
千葉と宿命の闘いを繰り広げ、東京の陰謀を暴き、禁断のBLの果てに…
遂に埼玉は解放された。
埼玉は自由を手に入れたのだ。
これで闘いは終わりかに思えたが…、まだ終わっていなかった。始まりに過ぎなかった…!
バカもここまで堂々とやれば寧ろ天晴れ!
コケにするくらいのディスりなのに、何故か愛を感じる。
そんな奇跡の映画化『翔んで埼玉』!
前作は関東圏のみだったが、続編ともなると勿論。
他圏を巻き込んで、壮大な茶番劇再び!
埼玉のある野望。“日本埼玉化計画”。
だが、自由解放された事により埼玉県人は満足し、いつしか熱を失っていた。
埼玉を横に繋ぐ“武蔵野線”…? いやいやそれより、東京に遊びに行こう。千葉の“夢の国”に行こう。
またバラバラになりつつある埼玉県人の心を一つにする為、麗はある計画を発表する。それは…
埼玉に海を作る!
海水も白い砂浜も埼玉まで持ってきて。
目指すは異国の地・関西圏!
旅立つ麗と仲間たち。恋人・百美は埼玉で別の仕事。
そこで彼らを待ち受けていたのは…!
船が難破。仲間とはぐれた麗は、一人の麗しい青年と出会う。
名は、魁。“滋賀のオスカル”。滋賀解放戦線のリーダー。
麗は何処か自分と似たものを感じる。この時感じたものは実は…
魁によると、ここ関西圏でも地方格差激しく、牛耳っているのは大阪。周りの県人は通行手形が無ければ大阪に入る事が出来ない。
麗はこの異国の地で再び、虐げられる県人たちの解放と自由の為の戦線に身を投じていくのであった…。
関西へいらっしゃ~い!
早速愛あるディスり。
滋賀のナンバープレートには虫が付いている! ゲジゲジ!
滋賀には琵琶湖しかなく、陸地などあるのか…?
奈良には鹿しか住んでいない。
“和歌山”という未開の地。
前作ではディスりまくって大丈夫かとヒヤヒヤしたが、続編ともなればこちらのM気も増したもの。もっとディスって!
そんな中、悪の帝国として君臨する大阪。
何故か妙にしっくり来る。知らんけど。
大阪は府知事独裁。
府民は狂喜乱舞。
他県の者は捕らえられ、“甲子園”に。
大阪名物・たこ焼き。食べれば他県人だってハイになる。
“白い粉”で作り出されたたこ焼きの中身は…。
甲子園帰りの面々に異変が。言語が大阪弁となり、やたらと突っ込みたくなる。
あちこちで“阪流ブーム”。ちょうど今、阪神の“アレ”とタイムリー…?
府知事の恐るべき計画。全国を大阪にする。名付けて、“全国大阪植民地計画”…!
まあはっきり言って、やってる事は関東圏から関西圏に変わっただけで、ほとんど同じ。
埼玉県人の麗。驚きの出生の秘密。滋賀を訪れたのは偶然ではなく、運命だった…!
魁との本当の関係も含め、幾ら何でも取って付けたご都合主義過ぎる…?
その魁とBLの雰囲気。あれ、百美は…? 二階堂ふみの出番が加藤諒より少なくなっている気が…。
しかしその分、今回も強烈な新キャラが。
杏が麗しい。ちなみに彼女も二階堂ふみと同じく“男役”。
MVPは片岡愛之助&藤原紀香のご夫婦だろう。
劇中でも夫婦役。片岡は今回大ボスの大阪府知事、藤原はその妻で神戸市長。
片岡のド迫力とドスの効いた怪演。
藤原も女優としてのキャリアベストの怪演。
役柄の設定上不仲夫婦だが、お二人共ノリノリで楽しそうに演じ、仲睦まじさを感じた。
そして今回も、名もなき地べた這いずり回る県人たちが奮闘する。
GACKTも前作以上に熱演。低音ボイスの大阪弁に変顔に乳首責め。
話的にはブッ飛んだ面白さあって、前作の方が面白味と見易さあった。今回はちとごちゃごちゃ…。
小ネタの数々だけは勝る。
滋賀ネタがいっぱい。もう“とび太くん”は忘れないだろう。
大阪はパロディーの宝庫。“甲子園”という名のコロシアムはあの歴史スペクタクル。
地下深くにある“工場”。ミュージカル調で、何処かで見たような小人たちも…。
姫からの救難メッセージ。ラストシーンになるが、あの“夢の国”へ…。
巻き込んだのは関西圏だけに留まらず、ハリウッドまで…!
展開的には同じなので、お約束事は楽しい。
今回も現代パートの埼玉ファミリー。両親はブラザートム&麻生久美子からアキラ100%&和久井映見に変わって残念だが、娘はぱるるより朝日奈央の方が好きだな。この現代パートでも宿命の対決…!
決戦前に士気低い滋賀や奈良や和歌山。今回は魁が愛あるディスりながら鼓舞。
待ってましたの出身対決。大阪は人気実力トップクラスのあの俳優、人気と美貌を併せ持つあの女優。滋賀・奈良・和歌山連合はあの“お笑い怪獣”。そしてまさかまさかのご本人…! もう自虐ネタぶちこみ過ぎ!
自虐ネタと言えば、千葉解放戦線のリーダー・阿久津は今何処に…? “ネット見ろ”レベルの際どい所攻めてきたね。
笑いもディスりもネタも、一応真面目さも(?)、スケールも製作側の度胸もアップ。
でも、ただバカバカしさ下らなさだけじゃない。
差別迫害を無くせ。
一方的な独裁や不毛な争いと闘え。
誰しも自由と平和を手に。
今の世だからこそ尚更。普遍的なメッセージが込められているから、『翔んで埼玉』は愛されている。
ここまで来たら、日本全国制覇して貰いたい。
前作のレビューでも書いたが、是非我が福島含む東北へ!
この世界の東北って…?
裸で洞穴に住み、石器や槍を持ち、人語を話せない原始時代レベル。
そんな彼らの前に麗という名のモノリスが現れ、文明人の夜が明ける…。
なんていうのはどうでしょう?