「観るドラッグ(濃度高め)」映画 おそ松さん ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
観るドラッグ(濃度高め)
予想通りの酷さでした。分かってはいたんですけどね…
まずこの映画は映画「おそ松さん」ではなく、映画「Snow Man」だったというところです。おそ松さんっぽかったのは序盤と終盤も終盤の部分のみで、あとは色々な服を着たりイメチェンしたりするSnow Manを楽しむ作品になっています。ここは英監督の潔いというかやりすぎなところが出ており、実写にする際に中途半端なコスプレにはせず、ターゲット層をSnow Manファンにのみに絞ったのはある種実写化という物議の分かれるものとしてのひとつのアンサーだったと思います。その思い切りの良さは賞賛したいです。
ただ、そのターゲット層にはいない自分から見ると映画として致命的に面白くないと感じてしまいました。まず"実写化"をキャストたちが作中で弄り倒すシーン、ここはとても寒かったです。一言二言触れる態度ならクスッと笑えたかもしれませんが、長ーいことベラベラ弄りますし、シーンが変わってもちょくちょく弄りますし、設定だとか言い出しますし、一番気になったのは顔は違うけど設定上は顔が一緒とか言い出したりしたもんですから、ただの逃げ技に設定とか言ってしまったらもう映画として破綻してしまっているなと思いました。原作リスペクトを絶対的にしろとまでは言いませんが、その枠まで飛び越してしまったら元も子もないです。
中盤以降はとある富豪の死んだ息子が6つ子とそっくりで、1人だけ養子にするという展開になるのですが、ここからSnow Man劇場の開幕です。ここからはおそ松さんではなくなっていきました。
恋愛、アクション、デスゲーム、タイムスリップとさまざまな映画ジャンルに6つ子たちが分散し、その世界線の中で進めていく物語をオリキャラのエンド・ピリオド・クローズがまとめ上げていくという展開に変化していくのですが、まずこの物語自体がそこまで面白くないのでキツいですし、しっかもやたら長いときたら精神的な疲れが出てきます。良かった点としてはジャニーズ直伝のバク転アクションが堪能できたところです。あとオリキャラの使い方は面白いなと思いました。
何番煎じか分からないネタと実写化批判ネタを擦ったりとカオスな空間はずっと続いていましたが、全員が集合してからはそれはそれはカオスなものになっていきました。まず違う世界線を歩んでた奴らが集合して、登場人物は取っ替え引っ替えで変化して、その上実写化批判を限界まで擦り続け、新たな要素を連発で入れて、広げすぎた風呂敷をグッチャグチャの状態にして放置していくというやりすぎなくらいのカオスに頭がパンクしました。これを全部理解している人は強者です。
良い悪いを超えてひたすら狂っている今作、キャストはとても頑張っていたと思いましたし、英監督の手腕もあり、物語としての軸は不安定ながら立っていたと思います。それでも疲労感はえげつなかったです。「アンビュランス」で楽しんだ疲れとは違い、ワクチンを打ち終わった後のような怠さが体に迸るようでした。実写化とは…という壮大なテーマへのアンサーにも思えてきて…お粗末。
鑑賞日 3/28
鑑賞時間 15:20〜17:25
座席 G-13