スティルウォーターのレビュー・感想・評価
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異国で収監された娘を助けようと狂ったように奔走する父親!!
中身の濃い秀作だと思います。
2021年作品です。
監督は「スポットライト世紀のスクープ」のトム・マッカーシー。
娘の無実を晴らそうとする父親のビル(マット・デイモン)。
弁護士に頼っても助けにならず、遂には違法な手段で、
娘を救おうと躍起になります。
アメリカから英語の通じないフランス語圏のマルセイユ。
協力者を見つけたとは言え、ビルの困難な奮闘は胸を打ちます。
無罪を覆すための方法は遵法精神と程遠いもの。
でもそれほどの荒技を使わなければ、
無罪とは、勝ち取れないもの。
《これがひとつの現実(悪しき現実)》
《ストーリー》
マルセイユの刑務所に9年の刑(殺人罪)で、
もう5年も収監されている娘のアリソン(アビゲイル・ブレスリン)。
アラバマ州のスティルウォーター(題名になっています)で、
石油会社の作業員として働く学問もない上に
前科のある父親のビル。
稼ぎを工面してマルセイユに度々面会に行っています。
娘の罪は、レズ関係にあったガールフレンドを殺した疑い。
そして5年経たある面会日に、娘は有罪を翻すような
新証言が出たと言い、弁護士に告げてと、ビルに頼みます。
しかし弁護士にまったく相手にされず、ビルはその日から
マルセイユに住み着きます。
親切な舞台女優のヴィルジニーと娘のマヤの家に仮住まいして、
アリソンの無実を晴らそうと躍起になっていきます。
ビルのアリソンへの愛と無実を勝ちとるために
手段を選ばない執念。
敬虔なキリスト教徒のビルと、
無法者のビル。
とても優しいのに、何処か危なっかしいビル。
《事件の真相》を、実行犯に接触したビルは、
(アリソンは本当に罪に加担していないのか?)
ビルは知ってしまうのです。
真相・・・真相って本当に何なんだろう?
この玉虫色のラストこそ、現実。
派手ではないけれど、人間が正しい行動をすることの難しさ、
そして真実というものの危うさ・・・
歯切れが悪いけれど、すっきりしないけれど、
とても現実を写した秀作だと思います。
異国で犯罪や事故に巻き込まれる被害の多い昨今。
どこまであなたは《愛する人》のために頑張れますか?
そう問われてる気がします。
また平凡な地名の題名かと思った、
スティルウォーター。
実は二重の意味が隠されていて、その辺も、
ネーミングが技アリです。
祈り
マットがすき
30年以上も米国映画を見続けているといまの映画はみなくなる。
CGなんてバカだと思っている。中国資本が入ってからの米国映画はクズだと思っている。
映画が成立しない日本映画も。例外がひとりいたが、結婚相手がだいきらいなお笑い人だったから、それもやめた。CMで彼女を見るといまでも全身が引き寄せられる。
それがぼくだ。
映画ぐらい自分の好きに観させてくれと強く願う。
なぜ他人のエラソウな考えを自分に入れる理由が分からない。クソくらえだ。
マット・デイモンはすきだった。
だからずっと観てきている。いまでも観なおすのは「レインメーカー」と「ラウンダーズ」と、当然だけど「ボーン・アイデンティティー」・・それ以降はすべて観ているがなにもない。
久しぶりに。映画の物語というより、彼らしいところがすきだ。
トムマッカーシーは難しい
もっとシンプルに出来たのでは?
と思うほどトムマッカーシーは難しい。
監督の意図するところのほとんどを理解してないのかも
しれないけど、
共通の娘を連れ戻す、
帰りたいと言う目的なはずなのに
連れ戻したら戻したで、なんか上手くいかないね。
みたいなラストから、
私も父親なので、父親と娘って一生理解し合えない
存在なのかもしれないなと思いました。
結果より結果に至るまでの努力が大事。
目的を達した時よりそれまでの時間が幸せだった。
そのような映画でした。
ラスト前に事件の真相が分かる脚本も、
それを暗示してたように思います。
娘のために父親は言葉も通じない国に行き、
働き生活もしたのに、
親の心子知らず。
総じて親子って難しいなと言う浅い感想です。
かっこいい労働者
名匠トムマッカーシーてこともあるが、帽子をかぶった髭のデイモンのサムネ/ポスターにひかれた。
なんの変哲もないチェックのワイシャツとジーンズ。
ダメージ加工ってわけでもない、ただのくたびれた帽子。
エクステンドなGoatee。ときどき帽子のつばにサングラスを載せる。
たぶんあちらの庶民/労働者のごく日常の格好なのに、デイモンがやると超絶かっこいい。
マットデイモンはいい人だ。
慈善事業家であり、よくファンの撮影に収まることで知られている。
「ウォールマートで買い物してたらマットデイモンに会ったよ」という一般人のSNSが、マットデイモンの飾らない庶民性をあらわすエンタメ系ニュースになっているのを見たことがある。
ハリウッドの億万長者なのはまちがいないが、驕りや舌禍のない人格者として認知されている。
結論から言ってしまうとスティルウォーターはいい映画だが、デイモンの善人の気配が、設定から逸脱している。
筋書き上、ビルベイカー(デイモン)はクスリや酒に溺れて、家庭を顧みてこなかったダメな父親だった。
だが娘が異国に収監され妻を自死で失ってからは改心しクスリや酒を断って真面目に働いている。
──その時点から映画がスタートするので、ビルの自堕落が見えない。
映画内でビルはとても一生懸命なお父さん、にしか見えない。わけである。
またビルベイカーは異郷で自分を確立できる男でもある。
英語圏の人間は「地球を歩く」ことに長けている。島国のわたしたちは勝手の解らない欧州でビルベイカーのように振るまうことはできない。
娘アリソンの父にたいする評価は低いが、はたから見ればビルベイカーはどこでも生きられる強い男──であるばかりか、異郷で会った少女と仲良くなり、シングルマザーと懇ろ(ねんごろ)になれるほどの甲斐性持ち、なわけである。
すなわち観衆にとってビルベイカーは、ほとんど何でもできる男であり、その値が映画内の「ダメな父親」という設定と完全に相反しているわけ──なのだった。
──が、しかし、だからこそ映画スティルウォーターは力強かった。
この映画のキーポイントは、空港の土産物売場で、たった1カットだけ出てくるStill Waterの金ネックレスである。
愛憎を経て、父と娘がおたがいの不完全さを認め合うことで、映画は決着をみる。
が、ちょっと長過ぎることと、マヤとの関係はいいがヴィルジニーとねんごろになるのが不要だった。デイモンが「Yes, ma'am.」と言うと、すごくストイックがあらわれる。だけに、異郷での男女関係は映画を失速させた。と思う。
反して少女マヤとビルのコンビはとてもさわやかで、編集だけでも、もっといい映画になれた。気がする。
娘を持つ父親なら胸がざわざわする
予告編は、フランスでの犯人探しサスペンスのようだったが(マット・デイモンのそんな映画も観てみたいが)、本編はだいぶ違う。
マット・デイモンが演じるのは、石油採掘に従事したあと失業し、ドナルド・トランプには投票せず、妻とは死別し、自分は父親失格だと思い、エリートやアメリカンドリームとは無縁の生活を送っている疲れ果てた中年である。ジェイソン・ボーンとは全然違う。
さらに娘は留学先のフランスで、殺人罪で5年前から服役しているという、観ているこちらが息苦しくなるような出口のない苦境にある。
刑務所で交わされる父と娘の複雑な交錯と、フランスで頼ることになる母子との交流と感情の機微。この背景の空気感を描いた脚本と演出の仕込みは素晴らしい。
最後は何ともやるせない展開が待っている。娘を持つ父親であれば胸がざわざわするような映画になるはず。
2022年 113本目
かりそめの人生
本作が娘の無実を証明するために奔走する父親の姿を中心に描いていたら、数多の類似作の一つに埋もれていただろう。中盤、主人公は協力してくれたフランス人のシングルマザーとその娘と次第に心を通わせ、家族のような関係になってくるのだ。アメリカ人とフランス人の文化・思想を超えた邂逅、この中盤がたっぷりと描かれる。これを「娘を助けるために一日でも早く行動しろ」と思うだろうか。それは間違いなく束の間の休息でしかなく、刑務所にいる実の娘にできなかった贖罪なのかもしれない。事件の顛末と、かりそめの家族との関係はグレーでビターな余韻を残す結果になるが、最後に主人公の語るセリフが頭に残る。マット・デイモンは複雑な事情を抱えた役柄がよくハマる。強引な展開がいくつかみられるものの、失ったものや過去の過ちとどう向き合っていくかをアメリカとフランスの文化を通して皮肉に描いていた。
ダメダメな父と娘も曖昧な結末も好きだった
見応えあり!なかなかやりきれないなぁ
マット・デイモン主演で監督はアカデミー賞も取ったトムマッカーシー。なかなか豪華なはずなのに上映館がちょっと少ない。不安になりつつ観たけど、良い意味で期待を裏切り、見応えありでしっかり面白かった。
無実の罪でフランスの刑務所にいる娘を救うために危険を冒し奮闘する父。
かなり緊迫感のあるスリラー映画なのかなぁと思ってたら、マルセイユの景色綺麗だなぁとか思ったり、出会う親子との交流にかなりのウェイト置いてるなぁと思ったり。
あれ、目的変わってない、もうハッピーエンドになってない?とか思ってたら、なかなかやり切れない展開が続いてきたり。
観終わった後のなんとも言えないモヤモヤ感…
良い意味で期待を裏切ってくれた。
遙かなる山の呼び声⁉
重厚な作品ではないが・・・
正直、ストーリー展開は粗さが目立つ。
ただ、何となくゆったりした描写に柔らかさを感じる。と思って、エンドクレジットを見たら、撮影監督は日本人(マサノブ・タカヤナギ=高柳雅暢)なのね。
海辺で父子でくつろぐ場面などは、いかにも日本人的な感性でのアングル。
また、フランス人少女から酒井宏樹の名前が出てくるのも日本人にとっては嬉しい設定。
それにしても、マット・デイモンの少年のようなピュアな瞳は幾つになっても変わらなくて、この人の最大の魅力。
マヤ役の子の愛らしさも相まって、すっかり惹き込まれてしまった。
英語と日本語の二重字幕の場面が多い映画は、画面が騒々しくてお客に嫌厭されやすいというのもあって、上映館数はあまり多くないが、もっと広く公開しても良いのに、と思える作品。
まあ、配給元のパルコの方針でもあるようだが・・・
秀作、でした。
短絡的な人達ばかり
留学先のフランス・マルセイユでルームメイトを殺害した罪で刑務所に服役中の娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)に会いに、米オクラホマ州スティルウォーターからフランスへ来た父親のビル(マット・デイモン)。娘から「私は殺していない」と言う言葉を信じて弁護士に調査を依頼するが受けてもらえず。ホテルで会った女優に通訳を頼み自ら真犯人を探す、という話。
言葉も法律もわからない異国で「英語話せるか?」って聞きながら捜査もどきの行動をとる父親がバカに見えてしかたなかった。
よくあの女優が通訳含め相手してくれたもんだと思って観てた。
そして、腕力任せに無茶苦茶するし、殺されても不思議じゃない状況なのに、短絡的で行動力だけはあるアメリカ人のバカぶりが観れる。
最後はどう判断すりゃあいいのか悩んでしまった。
アリソンもバカだ、って事なのかな?
マヤ役の子が可愛かった。
異国で人間が交差する、でも切ない
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