スティルウォーターのレビュー・感想・評価
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なぜ「人生は残酷である」と主人公は言い続けるのか?
マットデイモンによる主人公は、アメリカの保守キリスト教系からの脱却のシンボルではない。そうした捉え方は無理がある。オクラホマ大学に留学した人の話によるとオクラハマはTV番組や酒場や教会やフォートワースで開催されるロックコンサート以外に刺激のないところである。石油産業が多くの失業者を生み竜巻が襲ってきて家をぶっ飛ばすのは映画の通りである。主人公は結婚も失敗し失業もした。それでも故郷の町に守られてきた負け犬人生の決着として娘のために異国に乗り込む。実の娘を救うためにフランス人の恋人の幼い娘を危険に晒す。最初の出逢いである酒に負けた男が酒に浮かれている人を注意する場面同様に相手からも観客からも見透かれて自身を素直に解放できた笑顔の日々も一瞬で終わってしまう。
10月1日投稿者さんの言う通り最後の台詞は正確に翻訳される必要がある。すべてが変って見えると言うが彼自身の内面が変ったとは思えない。おそらく彼自身が「自分は変わることができなかった=残酷」ということに気づいただけなのだと考える。
「人生は残酷だ・・・」という台詞
見事な演出の映画でした。
リベラル思考のフランスマルセイユの女性と、
保守的なアメリカオクラホマの男性のお話ですが、
オクラホマ男のマットデイモンは、
自分が保守的かどうかなんて考えてもいない人なんだと思う。
「ダメ男」として語られているが、そんなことはない。
武骨でまじめで正直な、「自分、不器用ですから・・・」という
日本の昭和男にそっくりだ。
そんな不器用日本人男、今もたくさんいるよね。
リベラル思考の人から見れば、そんな不器用人間は
情弱と言われ搾取されているのも気づかない可哀そうな人に
思えるかもしれない。しかし、当の本人は自分をそんな風に
まったく思っていない。
ただ、考え方が違うだけなのだ。
この映画の一番の面白さは、本来ならばけっして交わるはずがない、
そんなフランス女とアメリカ男が、二人の娘を通じて
少しずつ少しずつ心を通わせるところにある。
そのあたりの心の動きを表している編集の仕方と
物語の進め方が実に見事だった。
アメリカ男のサイドはほとんど語られない。
たとえば、金はおそらくシャロンおばあちゃんが賄っており、
妻の自殺の原因も語られず、
そもそもなんでマルセイユに行くのかも後から分かる。
フランス女のサイドは、どちらかと言えば先出しに見せて
後から分からせる感じ。
ショート映画や、あらすじだけを追っただけでは
決して分からない心の機微を見事な演出で
伝えている。
ラスト。
(一応)一件落着して、語らう親子。
「人生は残酷だ。」
「俺には全て違って見える。」
保守とかリベラルとか、どちらが良いというものではない。
ただ、考え方が違うだけなのだ。
そんな保守男の考え方が、少しだけ動いた。
マルセイユを舞台に描かれるのはアメリカ
人生は残酷だ
娘への愛を貫き通す…
後味は苦い。マルセイユの母娘との別れはとても切ない。またしても彼は幸せにできないし、なれないが、この人生を変えるような出会いと引き換えに娘が戻ってきた。これで良いのだという終わり方、マット・デイモンが好演していた。娘は実行犯ではないが全くのシロではなかった。それも踏まえて全てを受け入れ、自分の元に帰ってきたことに安堵している表情が素晴らしかった。もう幸せになってほしい。
なにが言いたい映画だったのか、
娘の無実を信じて真犯人探しに奔走する父親。 容疑者を発見してからの...
Matt Damonのストイックな役になぜかハマる
Matt Damonはいい演技しているなと
そう意識しながらも
映画の世界に入り込んでしまうところもあって
とてもいい映画でした
Mattが自分と娘に言い聞かせるように
「人生は残酷だよ」(二回目)とつぶやく結末は
シナリオ作成の早い段階から決まっていたかのように
しっくり収まっていました
最後の最後で、何もかも急ぎ足で決着がつき
お決まりのハッピーエンドから外れたようで
それでいてお約束の苦い定番エンディングには
面白いシーンと面白い台詞が詰め込まれていました
あの地元有力者の演説シーンで
あのお帰りなさいケーキ・シーンで
フランス生活が、急にアンリアルとなるもどかしさがありました
アメリカの皆さんはどんな感想を抱くのでしょうか
リアルだと思うのか、シニカルだと思うのか
それともクールな味付けだと思うのか
(確かに、アメリカ的 VS フランス的という
わかりやすいステロタイプな言動の対比からの
思わせぶりシーンは全編を通して多かったです)
Mattはダメ感を醸し出しながらも最愛の娘のために
地味に寡黙に不屈の精神で自身の筋を貫き通したのでしょうか
最後には娘と通じ合えたのでしょうか
ラストシーンで、あの裏表のない親切なフランス人親子との関係には
もう戻ることはできないとMattは納得しています
次に、娘がオクラホマはいつも変わらず同じと言うと
なにもかもが違っていて決して同じにはなれないと、、、
そこで暗転、映画は終了します
この結末には、いろいろ考えさせられました
Mattは故郷に戻ってきて、娘との関係も修復したかのようで
かなり苦味ある達成感を得たかと思いきや
同時に重い喪失感を抱えているような
(そこまで本当にあのフランス人親子と深い絆を築けたのかは不明)
その喪失感的な終わり方って
現代のアメリカ人やアメリカ社会が抱えている
何かよくないことのメタファーみたいなところも匂わせていて
昔のニューシネマのエンディングみたいな感じもしました
う~ん、本質的には全然違いますけど、
この作品は、自己主張の地味なコロナ下での佳作というか秀作ですから
サスペンスではない
異国で収監された娘を助けようと狂ったように奔走する父親!!
中身の濃い秀作だと思います。
2021年作品です。
監督は「スポットライト世紀のスクープ」のトム・マッカーシー。
娘の無実を晴らそうとする父親のビル(マット・デイモン)。
弁護士に頼っても助けにならず、遂には違法な手段で、
娘を救おうと躍起になります。
アメリカから英語の通じないフランス語圏のマルセイユ。
協力者を見つけたとは言え、ビルの困難な奮闘は胸を打ちます。
無罪を覆すための方法は遵法精神と程遠いもの。
でもそれほどの荒技を使わなければ、
無罪とは、勝ち取れないもの。
《これがひとつの現実(悪しき現実)》
《ストーリー》
マルセイユの刑務所に9年の刑(殺人罪)で、
もう5年も収監されている娘のアリソン(アビゲイル・ブレスリン)。
アラバマ州のスティルウォーター(題名になっています)で、
石油会社の作業員として働く学問もない上に
前科のある父親のビル。
稼ぎを工面してマルセイユに度々面会に行っています。
娘の罪は、レズ関係にあったガールフレンドを殺した疑い。
そして5年経たある面会日に、娘は有罪を翻すような
新証言が出たと言い、弁護士に告げてと、ビルに頼みます。
しかし弁護士にまったく相手にされず、ビルはその日から
マルセイユに住み着きます。
親切な舞台女優のヴィルジニーと娘のマヤの家に仮住まいして、
アリソンの無実を晴らそうと躍起になっていきます。
ビルのアリソンへの愛と無実を勝ちとるために
手段を選ばない執念。
敬虔なキリスト教徒のビルと、
無法者のビル。
とても優しいのに、何処か危なっかしいビル。
《事件の真相》を、実行犯に接触したビルは、
(アリソンは本当に罪に加担していないのか?)
ビルは知ってしまうのです。
真相・・・真相って本当に何なんだろう?
この玉虫色のラストこそ、現実。
派手ではないけれど、人間が正しい行動をすることの難しさ、
そして真実というものの危うさ・・・
歯切れが悪いけれど、すっきりしないけれど、
とても現実を写した秀作だと思います。
異国で犯罪や事故に巻き込まれる被害の多い昨今。
どこまであなたは《愛する人》のために頑張れますか?
そう問われてる気がします。
また平凡な地名の題名かと思った、
スティルウォーター。
実は二重の意味が隠されていて、その辺も、
ネーミングが技アリです。
祈り
マットがすき
30年以上も米国映画を見続けているといまの映画はみなくなる。
CGなんてバカだと思っている。中国資本が入ってからの米国映画はクズだと思っている。
映画が成立しない日本映画も。例外がひとりいたが、結婚相手がだいきらいなお笑い人だったから、それもやめた。CMで彼女を見るといまでも全身が引き寄せられる。
それがぼくだ。
映画ぐらい自分の好きに観させてくれと強く願う。
なぜ他人のエラソウな考えを自分に入れる理由が分からない。クソくらえだ。
マット・デイモンはすきだった。
だからずっと観てきている。いまでも観なおすのは「レインメーカー」と「ラウンダーズ」と、当然だけど「ボーン・アイデンティティー」・・それ以降はすべて観ているがなにもない。
久しぶりに。映画の物語というより、彼らしいところがすきだ。
母なる証明
終盤になるに連れ、マルセイユ版母なる証明かおもたらなんともはや。「私と同じでクズだ」みたいなセリフはおやっと思うて、そのまま道筋はレールを外れない。
アビゲイルてあのリトルサンシャインの子やったか。えらい大きなったが面影あるような。
父と娘、いずれも自分の考えで突っ走ってしまい、何より2人とも嘘をついてしまう。後悔し、いやでも自省がどこか不足している感じが上手く描かれている。1番の問題は短気や短絡的な思考より、この1番むごいといわれていた「糠喜びさせる」虚言癖(娘は無実だと言い張っていたがそうではないと自分で気づいているようなので虚言)、都合の悪いことは言わなければいけないケースでも言わない、そういう心性なのだということが示されている。
結局父はどこにも戻ってこれないし、信じていた娘を取り戻すことはできなかった。
トムマッカーシーは難しい
もっとシンプルに出来たのでは?
と思うほどトムマッカーシーは難しい。
監督の意図するところのほとんどを理解してないのかも
しれないけど、
共通の娘を連れ戻す、
帰りたいと言う目的なはずなのに
連れ戻したら戻したで、なんか上手くいかないね。
みたいなラストから、
私も父親なので、父親と娘って一生理解し合えない
存在なのかもしれないなと思いました。
結果より結果に至るまでの努力が大事。
目的を達した時よりそれまでの時間が幸せだった。
そのような映画でした。
ラスト前に事件の真相が分かる脚本も、
それを暗示してたように思います。
娘のために父親は言葉も通じない国に行き、
働き生活もしたのに、
親の心子知らず。
総じて親子って難しいなと言う浅い感想です。
探偵の有能さ
映画だから多少都合の良い設定にはなってるとは承知の上で。
地下に監禁されていた男を誰がどうやって逃したか、そして警察が来たタイミングが良すぎる事。
DNA鑑定によって再審が始まった事など最後が色々と個人的に腑に落ちなかった。
なので
不自然なタイミングで過去の事件の決定的なDNA情報が出たため警察側は何故か数ヶ月前からマルセイユに滞在する娘の父親を疑う。
→探偵のおっさんが情報筋から地下室にガサ入れが入る事を掴む
→ビルジニーに地下室の事をそれとなく伝える。→地下室の異常を知ったビルジニーがおっさんに対応を相談(これは完全に想像だけど、素人の女性一人でパニック状態の男を逃して地下室に1週間人が監禁されていた痕跡を消すのは難しい。)
→おっさんは犯罪の立証に犯罪を利用したという証拠を消し、再審が可能と分かった上であえて犯人を逃した。
と、勝手に想像してますwww
ただ、実際犯人が捕まっている5年前の事件に対して入手経路不明の誰のものかもわからない髪の毛を持ち込み、DNA鑑定から一撃で再審まで持ち込むという剛腕。どう考えてもこの探偵のおっさんがMVP。
最初から祖母に頼んだりして12000€このおっさんに払っていればかなり結果は変わっていたと個人的に思う。
映画自体はかなり見応えあって面白かったです!
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