「どの言葉を信じるか?」スティルウォーター MARさんの映画レビュー(感想・評価)
どの言葉を信じるか?
留学先のマルセイユにて、殺人の冤罪で投獄されている娘を助け出そうと、言葉の通じない国で奔走する父親の苦悩と闘いを描いた作品。
謳い文句通り、自らの正義に問いかけてくる作品。
住人は皆排他的で、そもそも言葉が通じない地で、どうにか娘を助けようと駆け回るビルの姿は哀しくも力強い。そんな中、わずかでも助けてくれる人がいるのは救い。英語を思い出したのよ、には笑っちゃった(笑)そして、マルセイユには個人情報保護の考えはないのかしら?
とにかく、娘の無罪を信じるビルは、あらゆる手を使い真犯人を探していく。少し前進したかと思えば、また高すぎる壁にぶち当たり、その繰り返しの中、さぁビル次はどうするの!?…といった感じで終始のめり込める作りはグッド。
ちょっとした偶然から出逢った親子との交流は心が安らぐ。マヤは本当に癒し。いつしかビルとは本物の親子のように…。
物語が動き出すにつれ、真犯人を探すビルの行動も段々と過激に…。
確かに、本当に娘が冤罪ならば、手段なんて選んでられないのかな…。
そんな所もあってか、これまでもアリソンと必ずしもうまくやってきたとは言えないビル。希望を持たせたいが故に口走る嘘…そしてそれが生む軋轢。後半は切なかったな。もうこれ以上娘と離れたくないと思うハズのビルは、どんな気持ちでマヤを抱きしめていただろうか。
さらにさらにこの展開は!?
本当に、果たしてどの言葉を信じれば良いのか、観ているこちら側も考えさせられる。スティルウォーター…その真相を確認するのは、勇気が要っただろうな。
220分の上映時間は流石に長く感じたけれど、とにかく次の展開が気になって仕方ない流れは見応えがあったし、それでいてちょくちょく笑いも散りばめているし、勿論しっかりとゾクゾクもさせてくれる、とても深い作品だった。