「パリではなく「マルセイユのアメリカ人」という仕掛け」スティルウォーター kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
パリではなく「マルセイユのアメリカ人」という仕掛け
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一本気だけどちょっと思慮に欠ける直情型、愛情深さゆえの嘘が空回りする状況をつくってしまう、そんな要領のよろしくないアメリカ人を堂々と演じてくれたマット・デイモン。円熟味を増してきたなあ。チェックのシャツはジーンズにイン、いかにもいそうなタイプのブルーカラーもはまり役だ。
言葉が通じなくても愛さえあれば、は事実なんだろうけど一方で、やっぱり言葉は「正確に伝わらないと」運命狂うね。ここにプロットの妙があった。
途中から脚本の方向性は見えてきたけど、いかにも腹に一物持ってそうな娘役のアビゲイル・ブレスリンの演技も秀逸、やりとりが本当の父娘みたいで飽きずに見られた。
白眉はもちろん「スティルウオーター」というタイトルのエッジの効いた回収。
しかしコロナ禍で満員のサッカー観戦会場、どうやって撮影したんだろう。群衆の恐怖が迫るシーンだった。マヤちゃんが無事に帰宅できてよかった!と思ったのもつかの間、、、もっと精神的に重いもの押し付けられてしまった。そりゃ母親なら許せないだろう。
マルセイユの柄の悪い界隈の夜と光溢れる美しい海と空の風景の対照が映像に深みを与えてくれていた。
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