劇場公開日 2022年1月14日

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「今週、対抗で押すなら本作品かな。」スティルウォーター yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今週、対抗で押すなら本作品かな。

2022年1月15日
PCから投稿

今年17本目(合計290本目/今月17本目)。
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 ※ 「コンフィデンシャル英雄編」も観ましたが、この映画はネタバレ要素が極端に強い上、法律(特に民法)上ツッコミどころが多く、減点幅で「誰が犯人かわかってしまう」という好ましくない問題を抱えているので、とばします。

 なお、前作(タイだったか東南アジアだったかの島にいく前編)を見ていないと結構きついです。
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 ということで、こちらの作品。
そもそも、Stillwater って何ってことになりますが、主人公のビルの住んでいたオクラホマ州の街です(人口4万人ほど)。
このことは映画に何ら関係しないのですが、知らないと「スティルウォーターって何???」という点でハマリが発生しそうです(知らなくても上記のような理由なので、特に「意味はない」が正解)。

 フランスにやってきて、無実だと信じる娘を救出するために、いろいろな手立てを考えて証拠を集めて…といったストーリーになっています。

 全般的に重苦しい雰囲気や、人種差別を想定できる(○○人だから、といった決めつけ的な内容)部分もありますが、物語の「もう1人の主人公」といえるマヤちゃんがいい意味でスパイスになっていて、この苦しい雰囲気もだいぶやわらぐ感じです(もちろん、マヤちゃんという以上は、親権者の方もいますし、その方との交流シーンもありますが、交流シーンだけをいえば、マヤちゃんとの交流のほうが圧倒的に多い)。

 この「無実をきせられている娘さん」が収容されているのはマルセイユにある刑務所と思えますが、諸般の事情があるのか中はあまり写されていない映画です。もっともそれがメインではありませんし…。ただ、日本と違って、収容者の自由がかなりあるようにも見えましたし、「満期が近くなったら1か月に1回は日没に戻ることを条件に外への外出が許される」など、かなり先進的な進みが見られました。

 ※ 日本ではここをどう解するかは国民感情や法務省の裁量によるところが多いですが、「過失的な犯罪である」「被害者と大半話し合いが終わっている」「一定以上の倫理観がみについたと認められうる」等の条件においては、積極的に認められても良いのではとも思えます。

 内容は意外な方向に進みます。ここはネタバレになるので回避します。
ただし、「民間どうしとはいえ、違法な方法で情報収集すること」は認められないし、まだ「疑い段階であるのに個人を勝手に監禁等する」というのは、さすがにまずいです(民事上も刑事上も責任を問われる)。ここの部分のフォローが少ない(こういう方法はやってはいけない(自力救済の禁止、という)という説明も少なかったのは残念でした。

とはいえ、極端に変なことをやっているとは言えないし(自力救済の禁止は当然だとしても、個人レベルでは理解しうる)、「何を述べたいか」という点は描写不足の点はある(確かにあります。説明があまりないため)としても、「親の娘への愛」という点は強く感じられ、そこについて論じる限り、大きな傷なしと判断して5.0にしています。

yukispica