「永遠の相の下に生きる」グリーン・ナイト 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の相の下に生きる
2021年。デビッド・ロウリー監督。アーサー王伝説に連なる伝説を映画として翻案。アーサー王の甥でありながら怠惰な男が、「緑の騎士」という不思議な騎士の挑戦を受け、人生の意義を探究する、という話。事後的にウィキペディアをさらっと見たが、結末以外はほぼ伝説の物語をなぞっていたのだとわかる。欧米の人たちにはどの程度知られた話なのだろうか。
カット・イン・アクションがあるかと思えば長回しもあり、CGと実写を混ぜ合わせた映像もある。音楽とも自然の音とも言い難い音響もあり、光と闇のグラデーションもある。生きている者と死せるもの、人間と人間以外の物に境がない物語内容も相まって、多彩な映画技術、映画体験が詰め込まれた贅沢な作品。
主人公を守ったり、助けたりする多くの人物や動物や死者が現れるが、それらに頼ることをやめる「覚悟」が問われるという物語。単に後悔しない人生の「覚悟」程度のことではなく、永遠の相の下で今を生きる「覚悟」。「永遠の相」を映像として見せる技術がすばらしい。この映画をみれば誰もが哲学者になってしまうのではないか。
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