「「高校生の恋愛もの」というだけで食わず嫌いはもったいない」徒桜 シバンカさんの映画レビュー(感想・評価)
「高校生の恋愛もの」というだけで食わず嫌いはもったいない
結論から端的に言うと「出会えて良かった」作品だった。
ぽっかり時間が空いたので、「福岡を舞台にした作品」という理由だけで観た。
もっと正直に言うと完全なる時間潰しの為だけに観た。
福岡出身なので兒玉遥の名前くらいは聞いたことはあったが、他のキャスト・監督の情報は不明。その兒玉遥も顔と名前は一致しないレベルなのでほとんど前情報なしで鑑賞。
基本的には男子的(高校生的)な「ノリ」が出ている作品は好きだが、高校生(若者)の恋愛を扱う作品は苦手な私。
徒桜はまさに前半から中盤ぐらいにかけては、私が好きな「ノリ」が詰まったシーンが多く、大笑いすることはないけど本当に現実の会話のような小気味いいテンポで進んでいくのが気持ちよかった。(九州以外の人には少し早すぎると思うかも)
個人的なことだが、知っている場所がいくつも出てきたこともなんだか懐かしくもなった。
また、若者の恋愛ものが苦手な私が違和感なく作品に溶け込めたのは、あくまでその「ノリ」の中の延長線上に自然と「恋愛」というファクターが出てくることも要因の一つだったと思う。
中盤からはその「ノリ」が刺さっていればいるほど、胸が苦しくなる展開になっていく。
映画を見ていく中で色々と先のことを想像してしまうこともあると思うが、予想とはまるで違う展開に切なくなった。
そして、一平という主人公のメインストーリーと浩太というサイドストーリーの2本の軸が独立しているけど良いバランスで調和されて物語全体に厚みを持たせ、普遍的ではあるものの非常に考えさせられるテーマ(メッセージ)性も受け取れた。
一部の役者の演技が少し大きすぎる部分もあったようにも感じたが、終わってみればそれも良い味だったのかも、とすら思えた。
少し調べると監督も役者もほとんど福岡の人間だったので、福岡・九州の人は応援の意味も込めて是非観てみてほしい。
今後の期待と応援の意味込めて気持ち高い評価にしました。