徒桜のレビュー・感想・評価
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ちょっと重いです
ジャケ写が素晴らしいです。福岡の自然の中で青春を過ごすアオハル的な感じだと思って見てみたら…尊厳死を扱っていて中々評価も難しくなってしまいました。風景描写や出演者の演技(自分はマリ役の子が印象に残りました。)はどても良かったです。大抵こういう映画って事故なので智代アフター的な病気なのは意外でした。そういう意味でボタンを押さないのはちょっと腑に落ちないですし、それより記憶が戻った状態でも決行するのだろうかと疑問に思いました。普通のアオハル映画だと記憶が戻ったら走り出すんだけどなあ…それでハッピーエンドが自分は好きですけどね…
葛藤を想像する映画
会話のテンポが速いんです。
舞台が基になった作品だからか、高校生の会話だからなのか、あるいは博多弁の特徴なのかは分かりませんが。
そのせいか、前半のわちゃわちゃした感じも楽しいんですよね。
そして、博多弁を話す女の子は五割増し位で可愛く感じます。
九州に馴染みのある役者さん達だから、ネイティブに近い博多弁なのでしょうね。
塩田みうさんは、そのうち全国区になりそうな気がします。
そして、青春の眩しい前半から後半は一気にシリアスに。
でね、観ている途中にそんな事を考えちゃいけないんだろうけど、終らせ方が難しそうだなと思ったの。
奇跡が起きてハッピーエンドって感じの作品では無いし、でも青春映画だから最後は登場人物達に前を向いて欲しいじゃないですか。
それで、この映画が凄いなと思ったのが、一平の死から真理、明、浩太が前を向いている二年後へすっ飛ばすの。
だから、そこの部分は想像するしかない。
そして、その二年間を想像しようとすると、そこに至るまでの真理と明の葛藤も振り返って想像しないといけない。
なので、必然的に考えさせられるんですよね。
結構、後を引く映画です。
明日のために今を選択
前半は絵に書いたような高校生のキラキラ青春ストーリーですが、後半ストーリーが急展開します。
高校生に背負わせるにはシリアスすぎやしないかとハラハラしてしまうほどの展開は登場人物の誰に心を寄せるかによってかなり印象が変わるのではないかと思います。
劇中に「またね」「また今度」など未来を思い描いて紡がれる言葉がいくつも出てきます。それは日常で当たり前のように耳にする言葉で誰もが明日が来ることを疑っていないからこそ口にできる言葉。ただ、劇中の「また」は実現するものとしないものがあります。当たり前のように来ると思っている明日は当たり前じゃなくて、だからこそ明日に繋がる"今"何をどう選択するのか、そんなことを考えさせられる映画でした。
全編福岡ロケで作られている映画で、福岡の四季が美しく印象に残りました。桜の季節に見られたらまた感慨深いだろうな、と思います。
主に病院関係が緩すぎて(その状態の患者に1人で外出許可だすか?とか、患者の急変に全く気づかないの大丈夫?とかその他色々…)気になってシリアスなシーンで気が散るのが残念でした。
「高校生の恋愛もの」というだけで食わず嫌いはもったいない
結論から端的に言うと「出会えて良かった」作品だった。
ぽっかり時間が空いたので、「福岡を舞台にした作品」という理由だけで観た。
もっと正直に言うと完全なる時間潰しの為だけに観た。
福岡出身なので兒玉遥の名前くらいは聞いたことはあったが、他のキャスト・監督の情報は不明。その兒玉遥も顔と名前は一致しないレベルなのでほとんど前情報なしで鑑賞。
基本的には男子的(高校生的)な「ノリ」が出ている作品は好きだが、高校生(若者)の恋愛を扱う作品は苦手な私。
徒桜はまさに前半から中盤ぐらいにかけては、私が好きな「ノリ」が詰まったシーンが多く、大笑いすることはないけど本当に現実の会話のような小気味いいテンポで進んでいくのが気持ちよかった。(九州以外の人には少し早すぎると思うかも)
個人的なことだが、知っている場所がいくつも出てきたこともなんだか懐かしくもなった。
また、若者の恋愛ものが苦手な私が違和感なく作品に溶け込めたのは、あくまでその「ノリ」の中の延長線上に自然と「恋愛」というファクターが出てくることも要因の一つだったと思う。
中盤からはその「ノリ」が刺さっていればいるほど、胸が苦しくなる展開になっていく。
映画を見ていく中で色々と先のことを想像してしまうこともあると思うが、予想とはまるで違う展開に切なくなった。
そして、一平という主人公のメインストーリーと浩太というサイドストーリーの2本の軸が独立しているけど良いバランスで調和されて物語全体に厚みを持たせ、普遍的ではあるものの非常に考えさせられるテーマ(メッセージ)性も受け取れた。
一部の役者の演技が少し大きすぎる部分もあったようにも感じたが、終わってみればそれも良い味だったのかも、とすら思えた。
少し調べると監督も役者もほとんど福岡の人間だったので、福岡・九州の人は応援の意味も込めて是非観てみてほしい。
今後の期待と応援の意味込めて気持ち高い評価にしました。
心が折れたら・・・
福岡の高校生・マリは一平が好きで、夏休みに告白しようとして、先に親友のメイに一平が好きな事を言ったが、メイも一平が好きなのにその気持を隠しマリを応援すると言った。一平が先にマリに告白し2人は付き合い始めた。夏を過ぎた頃から一平に異変が起き、マリとメイを逆に認識しだした。徐々に状況は悪化していく一方で、必死に耐えていたマリの心が折れて・・・って話。
マリの病院での行動は異常で、どうにも納得いかなかった。
いくら心が折れてしまったとしても、あれは無いだろうと思った。
四季とともに描かれた、人生の儚さと尊さ
特に予備知識なく、テアトル新宿だという理由だけで鑑賞。
最初はよくある高校生の恋愛映画かなと思い見ていたが、後半の展開に胸が苦しくなった。
序盤なんとなく見ていた高校生たちの青春が輝いていればいるほど、後半が効いてくるという構造にしてやられた。福岡の自然も綺麗だし、博多弁を使った演技もリアル。
高校生の恋愛映画で泣かされるとは思わなかった。
【葛藤】
この作品は、舞台がベースだけあって、実は、想像力が必要な気がする。
この作品の登場人物は決して多くはない。でも、見た目より人間関係は複雑だ。
(以下ネタバレ)
好き。
でも、親友が好きなんだったら、好きとは言わない。
もし、僕だったら、どうするだろうか。
好き。
でも、親友が好きだと知っているから言わない。
もし、僕だったら、どうするだろうか。
好き。
好きと言いたいけど、なんて接したら良いのか分からない。
もし、僕だったら、どうするだろうか。
好き。
でも、自分のことを考えたら言えない。
「浩太に好きと思ってもらえる人は幸せ」。そう言って、突き放さなくてはならない。
傷つけてはならないから。
もし、僕だったら、どうするだろうか。
どうして、こうも人はいろいろなことを考えてしまうのだろうか。
一平の病気がもたらす変化。
思い続けてるだけじゃなくて、はっきり意思は伝えないと。
行動に出た時は既に遅いこともある。
でも、アサミの意図は痛いほど伝わる。
壊れていく一平。
回復の可能性は低い。
こと切れそうな一平。
もし、僕だったらどうするだろうか。
正解のない問いをずっと考え続けなくてはならない。
友達の程度による。
好きの程度による。
もう、壊れる一方なんだから、死なせてあげれば良い。
可能性が僅かでもあるんだったら、助けるべきだ。
葛藤は常にある。方程式のようには決断できない。
ただ、行動には必ず結果が伴う。
でも、人は、そこにある結果を受け入れて生きていかなくてはならないだけだ。
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