ディア・エヴァン・ハンセンのレビュー・感想・評価
全74件中、61~74件目を表示
途中から観るのが辛い。
歌は素晴らしい。
サントラ聞きながら情景を反芻しています。
事前にあらすじを調べなかったため、予告映像とのギャップがすごかったです。
途中から観るのが苦痛になりました。
主人公が真実を話さない(話す勇気がない)ばかりに、周囲の人がハリボテの幸福で満たされていく様は胸糞映画にも似た苦しさを覚えました。
このハリボテ建築タイムが1時間半以上あります。あえてそのような構成にしたのでしょうが(辛くて)観てられない。
また、この映画の1番のメッセージであろう「君は1人じゃない」に関しても、主人公に対する心象が悪いせいか、非常に空虚に感じられました(いや、あなた嘘つきじゃん!が頭の中から離れませんでした)。演者がカメラ目線で繰り返し「あなたは1人じゃない」を繰り返し歌うのも非常にくどかったです。
終盤で真実が明るみになり、主人公の抱えていた罪悪感が少しずつ清算されていきますが、ついてきた嘘がデカすぎて、1時間半以上嘘つきを観ていた側としては「それでトントンか?」と思いました。
エンドロールにおいても「1人で悩まずに。こちらへ連絡ください(連絡先)」とあるように、やはりこの映画のテーマは「あなたは1人じゃない」ということでしょうが、私からすると「嘘つきはこうなる」のをただひたすら見せつけられたように感じました。
ただ一方で、観賞後しばらく考えていると、主人公が嘘をついたのは果たして間違いだったのか、嘘が主人公を含め、大勢の救いになっていたことを思い出し、脳が軽くバグっています。あの嘘はその時の最適解だったのか、と。
苦しくもありましたが、もう一度俯瞰で観て、深く考えようかと思います。
泣いてしまった
ワンダー君は太陽と同じ監督ということで、
全出演者にスポットが当てられていく流れは
何か似てた気がする。
ただ、今回も泣いてしまった。
歌が上手いのもあるけど、
エヴァンのついた嘘でコナーの家族は救われたと思う
いつ嘘がバレて崩壊がはじまるのか
ずっとソワソワしてしまったけど、
嘘を一緒に隠してくれたインド人の友達が
一番グッジョブ
ついついた嘘が
よくあるんだな
よかれと思ってついた嘘が
すぐ
バラすつもりが
タイミングを失い
拡散して引くに引けない
対人恐怖症だけでなく友人のいないエヴァンの
苦しみ 嘘だけど注目されて
その納め方が
難しいね。
歌や曲も良く
いい作品であると僕は思うな。
マスクが涙でグチャグチャ
「もし若い頃に戻れるなら、いくらまで払えるか?」など、考えたところでこれ以上ないくらい役に立たないことを考えてみたりするが(映画見過ぎ)、学生時代は輝きしかなかったかと言うとそうでもなく、あの時はあの時なりに狭い世界の中で毎日苦悶していたのを思い出した。
当時は自分自身のことでいっぱいで、教室の片隅のあまり付き合いのないクラスメイト一人ひとりに思いを馳せたりしないけど、教室にいた全員がそれぞれなりに、色んな思いを抱えつつ、席に座っていたのだろうな。
アメリカの学園ものを見ていると、プロムとか学食とか、内気な性格だとかなりしんどそうだなーと思っていたが、そういう集団で目立たない存在の自分、もしくは優等生でも本当の自分を出せない自分、またはコナーのように受け入れてもらえない自分に悩む人はいる。
いじめられている訳ではないけど友達がいなくて気にかけてくれる人もいなくて自分の存在って何だろうと孤独に苛まれているエヴァン。唯一の家族の母親は看護師の仕事で忙しく、腕のギプスにいたずら描きしてくれる友達は1人もいないことを知らない。また新学期が始まり、チアリーダー達は派手に踊り、みんな再会を喜んでいるが、セラピストに自分宛にポジティブな手紙を書くよう課されたその手紙の内容が既に孤独で悲しい。
学校でプリントしたその手紙を、同じく友達の少なそうな気性の荒い同級生コナーに盗られる。その直前にギプスに自分の名前を書いたこともあり、コナーが自殺した後に、遺族である両親とエヴァンが密かに想っている妹から息子の唯一の親友だったのだと思われる。喜んでいる両親を前に真実が言えず、両親が喜ぶような思い出(それは自分自身の理想の姿…悲しい)を作って語る。
1年生の時にコナーと課題を一緒にやった優等生の女子生徒アラナが、自殺を悲しみコナープロジェクトを立ち上げ、エヴァンに協力を頼む。最初は拒否したものの結局やることになり、ステージでしたスピーチがSNSで拡散、孤独な人たちからものすごい数の支持を得て、行ってもいないリンゴ園の再開のチャリティーに結びつく。兄と折り合いが悪く死を素直に悲しめない憧れの妹にも「お兄さんは言葉にできなかっただけで君を思っていたよ」と(実は自分の本心)デタラメを言うが、死人に口なし。コナーの死をきっかけにして2人は付き合うようになるのだった。
エヴァンの大学進学のための学費がないことを知った妹は両親に話し、エヴァンの母親も家に招いてコナーのためだった学資を彼に提供すると申し出る。気を悪くして怒る母親とエヴァンはぶつかる。コナーの一家に自分の理想の家庭を重ねていたのだった。
一方コナープロジェクトは行き詰まり、優等生アラナはエヴァンに事実の矛盾をついて、本当に親友だったのか?と詰め寄る。窮地に立たされたエヴァンは証明のため、コナーの両親が持っているエヴァン宛の手紙を見せる。それをついプロジェクト完遂のためサイトに載せてしまい、逆にコナーの家族はリッチなのに募金を集めているのかと、SNSで激しい攻撃に合う。
悪いのは自分なのに、と、エヴァンはコナーの家族に真実を告げ、妹との関係も終わってしまう。木に登って落ちて骨折したのはコナーと行ったリンゴ園でないだけでなく、孤独で一人木に登り、そこで自ら落ちたのだった。何もかも失ったエヴァンは母親にも真実を打ち明けて、母親の思いも知る。そしてエヴァンはコナーについて、一から知ろうと努め、ついに1つの動画を手に入れる。
高校を卒業し、コナープロジェクトで再開したリンゴ園で妹と再会する。そこで、コナーの両親が自分のことを2人目の息子と思ってくれていることも知る。大学に行くにはまだ学費がないけど、今なら何とか前向きな手紙を自分宛に書けそうだ。
どのシーンも素晴らしかったが、特にコナーの両親に親しかった2人の関係をねつ造して生き生きと語るシーン、1人で森に行き高い木に登り手を離して落ちるシーンなど、彼の気持ちを考えると涙が止まらなかった。
エンドロールの途中で追い討ちをかけるように「孤独で助けが必要なら一人で悩まず何番に連絡してください」というメッセージ。その直後に「電通」という字を見て冷めるが。
エイミー・アダムスが贔屓目に見ても以前の1.4倍くらいの体型になっていてショックだったけど、役作り、ということにさせてもらいます。
あなたは1人じゃない・・・
途中、なぜこれをミュージカル風にやるんだろう、ストーリーは面白いのにもったいないなぁ、と思う。(というか、元々ミュージカルだからしょうがない。逆に言うとよくこのストーリーをミュージカルでやったなぁと感心する。)
そして最後にこのエンドクレジットを見る。
「そっちだったかぁ・・」と思う。
エヴァンのやむをえない嘘や、その嘘を上塗りしていってどういう結末になるのか・・・と、そこばかりを気にして観ていたが、エンドクレジットで見方が違っていたことに気づく。
そう考えると、エヴァンも1人だったように見えて、あんなに一生懸命にエヴァンのことを想い、働き、信じてくれた母親が居たし、コナーにでさえ、施設の人たちのために作曲したりして関係性を築いた友人が居たり、コナーのことを想ってくれている人が居た。
というわけで、エンドクレジットのあとに、じわじわ感がきた作品。
社会派のドラマはミュージカルには馴染まないような気がした
自分はここ数年、ミュージカル映画を見ている。最近ではインザハイツ。苦しいことも、悲しいこともラテン系のノリで乗り切っていく。ハッピーエンドジャないけど、俺たち頑張っていくよ。複数回見たし配信でもすでに購入し手元のデバイスで見ている。
そんな自分が今回見たのがこの作品。今年の東京国際映画祭でクロージングに選ばれた作品だし、予告編も何度か見ていた。結論から行くと、いい作品だし、舞台ミュージカルとしても評価の高いけど自分は、普通の映画でこのテーマを見たかった気がした。あまりに重くて、自分は音楽があまり耳にのここらなかった。
とは言っても、コナーとの絡みはミュージカルでないと描けないかな。
孤独を感じているのは君だけじゃない
皆さん上手いのだけど、特に主役の方の歌声と歌が良かった。ブロードウェイで主役を3年間されて史上最年少でトニー症を受賞されたとのこと、なるほどだ。
物語は、宣伝から想像したよりもずっと深く掘り下げられていて、各登場人物についても色々なことを考えた。ラストも少し異なって聴こえた。
親子、兄妹、家庭、将来、恋、学校の人間関係、SNSの使い方…ティーンエイジャーのリアルが切なくて胸に響く。
どんなにぼっちだと感じたとしても、自分は自分の味方でいられるように、間違いを犯したら、勇気をかき集めて謝ろう。あとは何とかなる。生きて。
そんなメッセージを私は受け取った。
つまらなくはないんだけど
なんでしょう?このモヤっとした感じは。
最初の嘘をつく時のエヴァンの気持ちはわからなくもないけど、嘘を喜んでくれる事に調子づいてペラペラ歌い出す?話し出すシーンはあちゃー、知らないぞと思って見てましたが案の定の展開です。しかし嘘を信じれば嘘じゃなくなるとも言いますが、彼の中ではだんだんとそうなっていったんですね。
彼のした事はよく考えたらそんなに悪い事ではなかったのですが、他人やお金を絡めた事でややこしくなりました。大事になったように思いましたが、インスタに謝罪動画を出しただけで沈静化しました。不思議です。更に炎上しそうですが。
で、あのコナーの歌っている動画が出てこなかったらどうなってたんでしょう?なんか全てちょっと中途半端な感じす。最後にエヴァンが自発的に謝罪したのではなく、もう逃げられないと感じての自白なのがモヤった感じです。
意外にジャレッドは口が固いやつでしたね。それと個人的には楽曲が弱く全く印象に残らなかった。アレンジはなかなかよかったけど。
個人的には『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』より心打たれた
この作品は切ないラブロマンスでも実業家のサクセスストーリーでもない。
どこにでもいる等身大の人間が描かれたヒューマンドラマだ。
ミュージカル映画なので、軽快なダンスと魂のこもった歌声はもちろんなのだが、
ストーリーは現代人が抱える様々な問題をリアルに描いていると私は感じた。
あらすじにもある通り、自己変革したいと願いつつも今までの経験から自分にブレーキをかけてしまういわゆる陰キャの高校生がひょんなこと(完全なとばっちりなのだが)からある同級生の行動と自死をきっかけに持ち前のやさしさと嘘も手伝って学校でもSNS上でも日向の世界へと駆り出される。
そして、嘘と偽りの自分と引き換えに渇望していた幸せを手に入れるのだが、当然のことながら事態はそう思い通りにはいかない。
本作では現代社会の問題が所々に散りばめられている。
自覚はあっても醜い自分を受け入れることができずに意識的にあるいは無意識的に孤独を感じている登場人物たち。
成熟社会が生み出すコンプレックス、精神疾患、薬物依存、自殺。
一番よりどころとなるはずだったコミュニティが片親であることによる貧困や裕福さゆえの機能不全に陥っている様。
そして何より深刻なのは時には称賛、時には中傷といった猫の目のように変わる集団心理を体現し、標的を振り回すSNSによる功罪だ。
主人公や主要登場人物はこの作品をとおして時に溺れかけながら、そして時に癒されながら渦の中を泳ぐ。そして、もらい事故とはいえすべての原因を作ってしまった主人公は実母の支えもあり、けじめある行動とともに壊れた自分を受け入れ、前に進める人間へと成長する。
私には主人公エヴァンのような行動はできない。というか気づいた頃にはだいぶおっさんになってしまっていた。
今日も壊れた自分を他人として扱い、自分を欺く。
所詮、今となってはロスタイムみたいな人生。それでも向精神薬と睡眠薬をのみ干しながら、
這いつくばる。
己のたった今までの愚かさを恥じ、人とのつながりの虚しさに落胆し、社会の不条理に憤り、
呆れている。
今までの人生もそしてこれからの人生も全て無くなって欲しいと思っていた。
ただ、そんな自分でもこの作品は境界線を越えない多少の抑止力にはなってくれた。
煙たがられ野郎である親愛なる自分にこの作品がみれたこの一日は最高だったと手紙を送りたい。
イラつきを歌で緩和する作品
序盤から主人公にイラつきを覚え、最後まで好きになることができませんでした。ナードに感情移入できない、ということではなく、どういう人物なのかの描写が不十分なのだと思います。
ミュージカルの映画化なのでストーリーや人物描写に期待して観るものではないのかもしれません。
歌だけ切り取れば素晴らしいものでしたし、直前のシーンでイラついていても歌の力で感情が動かされたりしました。
歌詞と歌声が心に響く作品
映画のタイトルでもある『ディア・エヴァン・ハンセン』
それは、セラピストから課せられた課題であるエヴァンが自身に宛てた手紙の挨拶。
鬱を抱えているエヴァンは「今日はいい日になる」と自分自身への手紙を書いていた。
エヴァンは孤独で友達と呼べる相手もいない。
学校にはたくさん人が居るのに、木から落ちて骨折した左手のギプスにも名前を書いてくれる人は誰もいません。
憧れの女の子にも声をかける勇気もない。
デリバリーの配達員と会話するのも億劫なくらい、自分の世界に閉じこもっています。
ある日、学校で自分宛の手紙を書いていると、コナーに話しかけられました。
気性の荒いコナーに怒鳴られたばかりのエヴァンは戸惑います。
間違って印刷した手紙を取りに行くと、ついてきたコナーが「友達のフリな」と言ってギプスに名前を書いてくれました。
しかし、印刷された手紙に妹の名前を見つけたコナーは突然怒り出しエヴァンの手紙を持ったまま帰ってしまいました。
エヴァンは晒し者にされるのではと焦りますが数日後コナーが亡くなったこと、そしてエヴァンの手紙が遺書だと勘違いされていることを知るのでした。
悲しんでいるコナーの母親の期待を否定できず、コナーとは親友であったと嘘をついてしまいます。
優しい一つの嘘がどんどんと大きなものとなってしまいます。
エヴァンは嘘によって沢山のものを手に入れます。
しかし、嘘は真実にはなり得ません。
エヴァンの嘘に救われた人はたくさんいて、でもそれを美談で終わらせなかったのは好感が持てました。
また人はみんな苦しみを抱えているということを教えてくれる映画だと思います。
一見そうは見えなくても、隠すのが上手い人はたくさんいて、苦しみは人から見て分かりやすいものばかりではない。
だからこそ、エヴァンの言葉に沢山の共感が集まったんだろうと思いました。
憧れや眩しさに目が眩んでも、自分自身の身近にあるものが本当の宝だということもエヴァンはきっと学んだと思います。
嘘がつき通せなくなった時に、ちゃんと前に向かって進んだエヴァンはコナーを通して多くのことを学んだんだなぁと思いました。
またコナーも、エヴァンに声をかけたのも、手紙をたたんでポケットに入れていたのだってエヴァンに共感していたんだろうなと。
もっと時間があれば2人は本当に親友になれたかもしれないと思うと、とても残念だなと思いました。
苦しみを一人で抱え込まないで。とメッセージが込められた映画だなと思いました。
楽しいだけの映画ではありませんが、エヴァンの歌と歌詞に共感と勇気をもらえる映画だと思いました。
二度泣けた
普段あまり泣くことはないが、どこでとは言わないけど、二回涙腺崩壊。
近くにいた人も結構泣いていて気になってしまった。(自分を棚に上げて…)
概要だけ読んで、これをどうミュージカルに仕立てたのか不思議に思いながら観た。
新学期は最も緊張するのに、自分以外は誰もが楽しそうで、手を振り合う人ばかり。あるある。
極度のコミュ症。話せるのは親同士が友人の男子1人。(本人は友達とは認めてないが、この2人の会話が面白すぎるし、最後までジャレットは良い味出してた)
最低の嘘。誰もがそう思う、とは思う。
でも、あの状況であの性格。否定しなかったことを責める気にはならない。
突然歌い出すのも特に違和感なく。周りが全員歌って踊り出すわけじゃなし。
エヴァン演じた俳優さん、今までノーチェックだったけど、おどおどした感じ、自然でよかった。老けてたけど(笑)
ちょっとわからなかったのは、手紙を晒されたことで、コナー家族が攻撃されたところ。(もう一度くらい見ないと)
それまで周りは自殺についてどこまで理解していたのか?コナーの家がお金持ちということも、知っていたはずなのに。狭い街みたいだし。
とはいえ、あれがなかったら嘘を突き通して、しかもゾーイともうまくいってたかと思うと…追い込まれてよかったともいえよう。
自殺未遂したエヴァンと亡くなったコナー。
コナーが生きていたとしても親友にはなれなかったと思うけど、何に悩みどう生きづらかったかは理解し合えたと思う。
そう言う意味では心の親友にはなれたのかも。
偶然にもあの手紙をコナーは読んだことで、2人繋がった気がした。
天邪鬼な自分だが、素直に受け止めることができた作品。よかった。
良かったが、人には勧められない。
勧められないが、自ら観たいと思った人にぜひ観て欲しい。
そんな作品。
深い闇
嘘から始まる物語だが、心の闇があまりにも深すぎて、主人公が吐露する、理想でない、現実の母親にする箇所が、全てを物語っているような気がしました。そして自分と向き合い、前向きに生きようと。
嘘の親友と自分が同じであったところが、複雑さを増していたような気がします。
非常によくできた物語と思います。
【孤独で内気な高校生が付いてしまった嘘が、孤独を抱える様々な人々に齎したモノ。そして、紆余曲折の末に明かされた”幾つかの真実”を、数々の美しき歌と歌詞で彩った作品。】
ー エヴァン・ハンセンが自らのセラピーのために毎日自分宛に書いていた手紙が、誰にも心を開かないコナーに奪われるも、コナーの自死により、エヴァン・ハンセンの手紙がコナーからのモノと誤解され、彼がコナーの唯一の親友だったと勘違いされる。
更に、彼が樹から”落ちて”ギブスを付けていたところに、コナーが自分の名前を書いた事も後押しして彼は・・。-
◆感想
・エヴァンが、苦悩するコナーの両親の姿(特に母親シンシア(エイミー・アダムス))を見て、嘘を付かざるを得ない状況に自然となって行く過程の描き方。
- それは、彼が内向的で嫌と言えない性格や、気を惹かれているゾーイ(ケイトリン・デヴァー)の存在もあったであろう。だが、一番は彼の優しい気質があの嘘を付かせたのだと思う。-
・その嘘が拡散して、彼は友人が一人もいなかった変わり者コナー(ゾーイは彼を怪物とまで言っている。)の隠れた親友となってしまい、更に皆の前で緊張で震えながら”コナーに対しての”手紙を読み上げるシーンが、更に拡散して彼とコナーは親友だったことに・・。
- 喜ぶコナーの母と義理の父。あそこまで行ってしまうと、”嘘だった”とは言えないよなあ・・。-
□この作品は、ミュージカルの映画化であるが、登場人物の気持ちを独唱で表して行く。流石にエヴァンを演じたベン・プラット(ガンバッテ、コウコウセイヲエンジテイタ・・)の歌は、心に沁みる。
只、気になったのは他の登場人物も独唱するのであるが、ワンシーンのみであり、”これって、ミュージカルかな・・”と少しだけ思ってしまったよ。
・コナーとの思い出のリンゴ園を復興しようとするクラウドファンディングまで立ち上がり・・。
- アラナ(アマンドラ・ステンバーグ)達の善意によるモノであり、これもエヴァンを追い詰めていく。小さな優しき嘘が、ドンドン世間の共感を得ていくエヴァンの複雑な気持ちを考えると・・。-
・エヴァンは到頭、SNSで自らの嘘を発信し、ゾーイとの仲も微妙になってしまう。
だが、エヴァンが強かったのは、掌を返したような世間に対し、コナーの生い立ちを調べ、中学の卒業名簿に、好きな本:「猫のゆりかご」(カート・ヴォネガット著作で、可なり風変りな作品。彼の性格の変化を物語っていると、私は思った。)という言葉を見つけ、更に彼が矯正施設に入っていた時の知り合いに辿り着き、コナーの隠された一面を見つけるシーン。
- コナーが、矯正施設の皆の前でアコースティックギターを奏でながら、綺麗な声で
”少しだけ違うと感じる・・”と歌う姿。
コナーも又、深い孤独を抱えながら生きていたのだ・・。
このシーンは、心に沁みた。-
・そして、エヴァンも又、母(ジュリアン・ムーア)に手を怪我をした”真実”を、勇気を出して伝えるのである。
<今作では、エヴァンを始め、コナーの両親、ゾーイ、エヴァンの母と表面上は通常の社会生活を送りながら、孤独感を抱える人々が多数描かれている。
そんな彼らに、一番孤独だったエヴァンが齎したモノ。
SMSの怖さも絶妙にパラリと振りかけながらも、少し脚本が粗く、今作がミュージカルと言われると”そうかなあ・・”と思ってしまったが、自分自身の弱さ、孤独を克服していくエヴァンの姿や、彼の姿に触発され、一歩前に踏み出す人々の姿が印象的だった作品。
コナーの死は残念だが、彼の心の葛藤も又、人々の心を動かしたのであろうなあ、と思った作品でもある。>
全74件中、61~74件目を表示