ディア・エヴァン・ハンセンのレビュー・感想・評価
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コナーの気持ち
コナーは自死を決めていた
最後くらい善を行おうとしてエヴァンに声をかけサインした
だけど目にしたエヴァンの手紙で自分の期待は裏切られる
それがきっかけになったかは分からないが彼は直後に旅立った
そんな事は目に入っていないエヴァン
自分の手紙によって家族そして自身が翻弄される
エヴァンは恵まれない環境から抜け出したくコナーの家族の一員になりたいと思うようになる
自死遺族の罪悪感を癒やす代わりに。
誰にだって本当の自分がいる
本当の自分でありたい、本当の自分を見てほしいと言いながら、故人の嘘のエピソードを語ってしまう主人公エヴァン。故人を冒とくしただけでなく、悲しみに暮れる家族を再度地獄に突き落としてしまう。
過ちに気づいて初めて本当のコナーを知ろうと手を尽くすエヴァンが、コナーの生前の動画を手に入れる。自分が陳腐なエピソードで作り上げた偽物とは比べ物にならないくらい輝いている本物のコナーを。
登場人物に魅力があるとしたら主人公ではなくコナーだと思う。コナーの生前をもう少し掘り下げてくれたら感動があったような気がする。
頭が痛くなる…
元のブロードウェイを一切知らない状態で見ました。
共感生羞恥というのでしょうか…
嘘を重ねて、ヒロインといい感じになる光景がただただ辛い。
お前はそれでいいのか??って心の中で何度もツッコミました…
優しい嘘に乗じて、流れに身を任せる主人公。
いつバレるのだろうかとハラハラしてる間に、頭が痛くなってきてしまい、本当に辛かった。
歌はすごく良いんですが、全て嘘の上にある以上、その全てが自分には何も響きませんでした…
結局本当に終盤にならないと嘘がバレない。
やっと頭痛から解放されたのは良いけれど、そこに全ての体力と印象を持っていかれたので、最後のコナーを思っての行動までもが響くことはありませんでした…
もう少し早めに嘘がバレた方が安心して見れたと思います…
せっかくいい感じの映画なのに…
見応えはあり、ただ二度目はないかな。
鑑賞前はミュージカル映画だとは知らず、映画冒頭いきなり主人公が歌いだしたので予想外でしたが、主人公の本音がポップなミュージックで表現されるのは見応えありました。ベン・プラットの歌声はピッチ・パーフェクトで聴いていたので彼の美声がまた聴けたのはサプライズでした。
しかしそれを超えるに値する物語が若干薄いかなという印象。
気になってしまったのが周囲からクレイジーと言われてた彼が亡くなったことで周りの人が手のひら返しで追悼会に参加したこと。
悪評があった彼の追悼会にそんなに人集まるのか?と。。
ちょっと所々にご都合主義的なものを感じたし、ジュリアン・ムーアとエイミー・アダムスに助けられている部分が多かったような気がします。
ディア・エヴァン・ハンセン
少し自業自得でしょって思う部分もあったけど、良かった。
ひとつの嘘から物語が始まるって、とても残酷ですごい事だと思う。
嘘をついた事によって、罪悪感に苛まれるのもリアル。
音楽めっちゃ感動しました。
外国ではギプスに落書き?サイン?するのって割とメジャーなんですかね?
※批評には個人の価値観が含まれますのでご了承ください。
優しさから思わず出た嘘
ミュージカルの割にあまり歌うシーンは少なく、たまに歌い出すとああミュージカルだったと気付く程度。エヴァン役は特に歌が上手!
心優しいエヴァンの嘘。こちらもこの嘘が嘘を呼んで思わぬ方向へ進化していくから、いつかバレるぞとハラハラさせられる。結局遺族を苦しめる事になって打ち明ける事になるけど。
ギプスに書かれた名前をシンシアから見られた時はよりによって!と思わず吹き出してしまいました。
歌詞に共感も、ストーリーは暗い
ベン・プラットさんのエヴァンの歌声が冒頭から圧倒的に上手くて感動しました
ただ物語が暗いのでポップな曲が入らないと成り立たない作品かも
それでも母親の「愛情しかあげられなくて」と言う台詞に心が揺れて家族の大切さが染みるクライマックスは嫌いじゃないです
2022年 81作目
嘘をついたことにより事態が大きな方向へ。
内容は想像したとおりでした。
感動は自分はしませんでした。
凡庸な意見ですが歌が上手い。
マンマミーアやグレーテストショーマンくらい良いと思える作品ではないが良作だと思います
不幸をアピールしつつ、実はハッピーな青年が教える、嘘からのあざとい人生好転レター
昨年ハリウッドでは、ミュージカル映画が例年になくリリース。
『イン・ザ・ハイツ』『ウエスト・サイド・ストーリー』、配信なら『tick,tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』…。
いずれも高い評価を得、ミュージカルの醍醐味と躍動感に満ちた秀作揃いであった。
本作もブロードウェイ名ミュージカルの映画化。
『ワンダー 君は太陽』の監督、『ラ・ラ・ランド』の音楽コンビ、オリジナル舞台と同じ主演を迎えた意欲作。
公開時、LiLiCoがいつもの番組で号泣熱弁。2021年のBESTミュージカルと。
…でも私は時々と言うかちょくちょく、この人と映画の好みが合わない。同じミュージカルで『マンマ・ミーア!』をこの人は「最高の映画!」と大絶賛してたけど、私ゃあのノーテンキぶりがダメダメだったもんなぁ…。
LiLiCoは絶賛したけど、本国アメリカではラジー賞に絡む酷評&不発。
どうやら私は、今回も然り。後者派。
主人公像、話、作品の作り…いずれも共感出来るものが無かった。
まず、主人公像が好きになれなかった。
高校生のエヴァン。学校には友達はおらず、家でも母親とすれ違い。
“社会不安症”で常におどおど、おどおど。会話もままならない。
孤独な青年がやがて…という設定や展開は分かるのだが、その描き方がステレオタイプ。見ててイライラすると言うより、ドン引きレベル。
そんな主人公が自分の境遇を延々感傷的に嘆くのだから、げんなり。躍動感の欠片も無い。
ベン・プラットは舞台版でも同役を演じ、スタッフたちは彼の起用が本作の決め手だったと称賛の言葉を贈っているようだが、高校生役でありながら28歳…。
見えなくもないような、見えないような、さすがに無理があるような…。それこそ“嘘”でしょ…?
エヴァンはセラピーの課題で、自分宛ての手紙を書いている。
“親愛なるエヴァンへ。今日は学校で素敵な事があったよ”…とか。
でも実際は、感傷的な手紙ばかり。何処までも根暗…。
ある日、その手紙を問題児の同級生コナーに奪われてしまう。
笑われ、さらに学校中でバカにされるよ…。
…その方がまだマシだったかもしれない。
突然、コナーが自殺。コナーの両親はその手紙を見つけ、息子とエヴァンは親友だったと勘違い。
ここで正直に事実を言うべきだった。
が、口下手なエヴァンはそれが言えない。
我が子を失ったばかりの悲しみに暮れる両親をこれ以上悲しませたくない。
親友でした…と、嘘を付く。
相手の為に、思いやりと優しさに溢れた嘘。
“嘘も方便”。時に嘘が相手を癒す事もある。
何て涙ダダ溢れの素敵な話…。
…いやいや、これはアカンでしょ。
これに共感出来るか否かで、本作への好みが分かれる。
相手の両親を癒した嘘だったけど、あれよあれよと言う間に、嘘で嘘を塗り固めていく。
リンゴ園の木を一緒に登った。自分が落ち、コナーが助けてくれた。
勿論、嘘。
ありもしない“2人の思い出話”を両親に求められ、でっち上げていく。
メールのやり取りも捏造。その中で、自分(コナー)の本心、両親への思い、妹への心配り…。
と言うか、エヴァンのこれほどの想像力は逆に大したもの。青春小説でも書けば良かったのでは…? 題して、『そして、僕は嘘を付いた』。
『そして、バトンは渡された』も“嘘”の話。
あちらはいいのに、こちらはダメ…?
ハイ。決定的な違いがある。
『バトン』は愛する人の為に、自分が犠牲になってもいいから付いた、無償の愛の嘘。
それに対しこちらは、全くの他人。嘘から始まって知り合って他人じゃなくなっていくけど、それを肯定出来る要因や説得力に欠ける。
もはや嘘と言うより、騙し。
『バトン』は嘘に隠された真実が分かった時誰も傷付けなかったが、こちらは…?
その嘘がバレた時、相手の家族はどう思う…?
さらに嘘は、雪だるま式に大きくなっていく。
故人の親友として、追悼式でスピーチ。それが感動を呼び、エヴァンは一転して人気者に。
“2人の思い出の地”のリンゴ園を永遠に大切にしようと、クラウドファンディングが立ち上げられる。
ずっと密かに想い寄せていたコナーの妹ゾーイと恋仲に。
が、嘘で築き上げた今の幸運が続く訳がない。
歯止めが利かぬSNSの拡散。
リンゴ園保存のクラウドファンディングが仇となって、コナーの両親が槍玉に上がる。誹謗中傷の嵐。
彼らを傷付けまいとしてきた事なのに…。こんな事に…。
“嘘物語”の作品は、必ずバレる。遂にその時が。
自ら告白。
でも、そこからがまた解せない。
コナーの両親は理解は出来なかったが、エヴァンを咎めない。寧ろ、“もう一人”の息子の事を思いやる。
学校でも、以前以上にのけ者にされて当然なのに、白い目は向けられるものの、何処となく同情心すら感じられる。
エヴァンの母親もそう。息子の嘘や彼がした人様への迷惑を怒らない。それどころか、息子のした事を心配し、許す。
大いなる母親の愛…って言いたい所のだろうけども、いやいや、そこは一言くらい叱らないとダメでしょ。
唯一咎めたのは、ゾーイくらい。真っ当な反応。でも、彼女ともその後和解して…。
クライマックスはエヴァンの謝意。反省。
コナーの両親に本当の事を話す謝罪のシーン、歌い出す。ここはミュージカルじゃなく、普通に台詞の方が響くのでは…?
そのシーンや夕食に招かれた時も食べてる最中に思い出話を歌い出し、マナー違反。
しんみりする歌もあったけど、どうもミュージカルとしてぎこちない本作。
ここでミュージカルいる?とか、相手が通常の台詞なのにこちらは歌とか、ミュージカル嫌いの人がよく指摘する“ヘン”さ。
私はそれほどそれを気にしない方だが(だって、ミュージカル・シーンがミュージカル映画の醍醐味)、今回に限っては“ヘン”を感じてしまった。
この作りも自分には合わなかった。
嘘から始まった人生の好転。
SNSや自殺、いじめ、家庭内問題への警鐘。
僕は決して独りじゃない。
反省を経ての再起。
まるで“災いを転じて福となす”な前向きハッピーエンドにしているけど、何か根本的に違うんだよな…。
だって客観的に見れば、
周囲に嘘を付いて、
彼女まで手に入れて、
母親に庇護され、周囲に甘やかされて、
自分は本当は幸せに恵まれてて、
そんな自分を感傷的に歌い、嘘付き青年が自分宛てに綴った、あざとい手紙。
メチャひねくれ意見だけど、そうしか感じなかった。
ついて良い嘘
冒頭がよく出来てて引き込まれました。
こう言う事あってもおかしくないし、
それに対して取り繕って、訳の分からないところまで
行ってしまう。
10代ならあり得ると思って共感出来ました。
嘘によってどんどん好転して行くんだけど、
その分真実を知るのが自分だけになり、
誰にも言えない状況も息苦しく、どうなんの?
と若干の間伸びも感じたけど、ドキドキして見る事が
出来ました。
あの辺りは精神的にもだいぶ来てたと想像出来て
辛かった。
しかし、エヴァンの手紙をsns上に流した女!
あいつだけはどうしても許せん!
その後お咎めがないのも引っかかる!
ラストはリアリティーを重視したのか尻窄みな感じは
したけど、
やはり音楽の力があって、全ての音楽が素晴らしく
それを聴くだけでも力をもらえるし観るに値するん
じゃないかと思います。
お互いの両親が、エイミーアダムス、ジュリアンムーア
と言うのも僕得でした。
歌うま俳優めっけ✨
「ちょっと思い出しただけ」を観た時にわかった自分の性質。
とっても好き💓と感じる映画に出逢うと「この感動をどう伝えよう」「どんな風にレビューしよう」なんて素人のくせに書き方悩んぢゃって、おかげでどんどん書けなくなるという悪循環〜〜〜というわけで、断ち切るために今回もまずはとりあえず書く!
「4/8のBlu-ray・DVD発売記念のカフェ上映会」に参加。
正直、上映会のお誘いがあったから知ったレベルの映画。前情報なし。社会生活に馴染めない高校生の男の子が主人公らしい。そしてその主人公が歌うミュージカル、とな。
その時点で???という状態。
社会生活に馴染めない男子が歌う?どんな話だよ、と。
でもいざ始まったら度肝抜かれた。
久々に出会った「歌える俳優」。ただ歌が上手いってだけではなく、超絶上手に歌いあげながらも心境の変化とか微妙に演じ分けられる素晴らしい俳優。一曲聴いただけで虜になってしまった。
そして曲目の素晴らしさといったら昔初めて舞台で「RENT」を観劇したときに味わった感動をまたしても味わえるなんて超幸せ😊❤ ❤ ❤映画版でこんなに感動できたんだから今度は絶対に舞台でライブで観たい!!
ストーリーも良かった。
人は誰もが孤独を抱えてる。
人に助けを求めるのは恥ずかしいことではない。
人は人のために強くなれる。
そんなメッセージが込められてた。
ストーリーと曲のバランスが非常によくて、帰り道では早速Spotifyでサントラ聴きながら帰るほどの惚れ込みっぷり。
歌うことの必然性を感じない
チョボスキーの新作だ!と思って見たがミュージカルだった。が、歌いっ放しではなく要所で歌になる。
概説に「ララランドの音楽チームが贈る感涙ミュージカルを映画化」と書いてあったが、確かにララランドの歌:会話比率に近い。
ロビンウィリアムズ主演映画にWorld's Greatest Dad(2009)というのがあった。
自慰中に窒息してなくなった息子が、実情を知らない者に勘違いされ、感受性豊かな文学青年の自死として英雄視される。
父親(ウィリアムズ)は自発窒息(窒息プレイ)に失敗して死んだアホな息子が人々から追慕されていることで、本当のことを言うことができないまま欺瞞をつづける──という話。
①まったくそんな人間じゃなかったのに、死後、ひょんな手違いから「素晴らしい人物だった」と偲ばれる。
②真実を知る者が、ほんとうのことを言い出せないまま、むしろ世間がつくったニセの故人を裏付けor肉付けしてしまう。
①②がこの映画にもあった。
チョボスキーの過去作ウォールフラワーは自身が書いた小説をじぶんで監督した監督作品だった。マルチタレントだが出自は脚本家である。
ウォールフラワーは自身の経験に脚色を加えたもので半自伝といえる。プロットを簡単に言うと友人の自殺からの再生。
本作はそのプロットに①②を加えたもの──と言えるが、じっさいにはエヴァンとコナーは友人ではない。が、映画はウォールフラワーを原点とするチョボスキーらしさが濃厚だった。
ただし、映画の元ネタである同名舞台(ミュージカル)にチョボスキーは関わっていない。おそらく自分のペーソスにきわめて近い舞台劇にチョボスキーのアンテナが共鳴した結果の映画化だと思われる。
エヴァンは内向的だが感受性ゆたかな青年で、それはウォールフラワーのチャーリーに重なる。
さらにエイスグレイド/僕とアール~/スイート17モンスター/ハーフオブイット/ブックスマート・・・等々の主人公の基礎属性にも重なる。近年のアメリカ学園映画の主人公はみんな陰キャで、それはとうぜん学校生活に難儀をかんじている少年少女たちを勇気づけるためにそうなっている。のだろう。
チョボスキーは自身の体験から信念をもってSuicide Preventionの目的をもつ創作物を取り上げているのだ──と思った。
また映画の要素にエヴァン家とゾーイ家の貧富差がある。結果、親たちには確執が生じる。物語の貧富は世界が甘くなりすぎないように引き戻す──映画のリアリティをつかさどっていた。
ところでチョボスキーは天才だと思う。ウォールフラワーもワンダーもIMDB値が8超の傑作、世間的にも才腕は知られている。が、これは評価をおとした。IMDB値も6.1、TomatoMeter(批評家評)にいたっては29%という低評価になっていた。
一般のウケはまあまあ。どちらかと言えば悪くない。が、批評家側のコンセンサスを著しく落としている。
で、批評家たちの指摘する問題点を簡単に言うと、同名舞台劇(ミュージカル)では、さほど悪意的に見えないエヴァンの②、すなわち嘘の塗り固めが、映画ではすごく卑劣に見えていること。
もちろんRotten Tomatoes内の批評家の言い分はそれだけではないが、その指摘がけっこうあったと思う。
たしかに、なかなか集金されない「コナープロジェクト」に焦ったアラナが(ニセの)遺言を無許可でアップしてしまうところ──ぜんぶウソと知っている観衆としては「見ちゃいられん」という気分になる。
じぶんは陰キャなので、いったんコナーを友人だと言ってしまったエヴァンが、前言撤回できなくなる事態に陥ってしまうのは、よくわかる。
かれはコナーを友人だと言ったことで、はじめて人/学校に受け容れられたわけだから、なおさら後戻りが辛くなってしまったのだ。
その構造はよく解るものの、舞台とちがって映画では、彼のウソと優柔不断がやや醜悪に見えてしまったのは否めない。
しかしこの映画のパラダイムシフトは①がくつがえされるところ。コナーはほんとはそんなにわるいやつじゃなかった。──誰ともうまくつきあえない。エヴァンの同類、いやむしろエヴァンの分身だった。それによって映画は心象を取り戻す。
だがエヴァン役のベンプラット。堪能な俳優なのは一目瞭然だが精神的な弱さをうったえる外観としては不利だったかもしれない。もちろん舞台ならば彼の年齢28はまったく問題にならないだろう。舞台なら還暦でも芳年を演じることがあるわけだし。
しかし映画は舞台より近い視界であって、思えばウォールフラワーがわたしの心に沁みたのは、いつもなんか寂しそうなローガンラーマンの外観も大きな要素だった──と思うのだ。映画のばあい、演技よりも外観や雰囲気に比重することがある。
この映画化で舞台「ディア・エヴァン・ハンセン」の主役=ベンプラットをそのまま映画の主役に据えている。
チョボスキーは天才ゆえ、おそらく、それ以上のキャスティングはなかったにちがいないが、学園ものらしからぬ違和があったのは確かだった。
RottenTomatoes内の批評家も数人がベンプラットが学生に見えないことを指摘していたが、さすが外国で、それは国内のレビューよりもずっと少なかったことは言っておきたい。多様性というものはときとして映画の中ではなく、わたしあなたのリテラシーの中にある。──という話。
個人的にはベンプラットは適役とみたがエヴァンのウソはやりすぎだったと思う。また、じぶんは極東の田舎の百姓なので、しょうじきなところ。これミュージカルでなくていんじゃね。とは思った。
映画内の歌も歌い手も、最高クオリティだが、そもそも歌うひつようあるんだろうか。ふつうの映画だったらさらによかった──と思ってしまった。
とくに母子の和解シーン。あの台詞歌にするひつようあるんだろうか。──けっこうはっきりした違和を感じた。
じぶんはヴォネガットの愛読者だがあっちじゃそんなに若年で猫のゆりかごなんか読むんだろうか。と思った。また役者ではエイミーアダムスが(ものすごく)じょうずだった。
一人じゃない
コナーの名前を借りて、自分の気持ちを伝えるエヴァンに胸が痛くなりました。
本当だったら、自分の言葉として伝えたかっただろうに。
自分が何か発言することで攻撃されるかもしれない。存在を消して透明人間になろうとしていたエヴァン。
でも、みんなの前で自分の意見がハッキリ言えて、リーダーシップのある人でも、実は問題を抱えていたりする。
アラナが最初からエヴァンを見抜いていたのは、アラナもエヴァンと一緒だから。
そして、絶対にコナーもエヴァンを見抜いていたに違いない。
タイプは全く違っても、自分と同じ匂いを感じたから話しかけたに違いない。
もし、もう少し二人に時間が与えられていたなら、りんご園に行って妹の話をしたかもしれない。
そんな風に思えてなりませんでした。
あと、“友達ではない”ジャレッドは何だかんだで協力してくれて、最後まで秘密をバラさなかった。
それって既に充分“友達”なのでは?
スクールカーストを意識した“友達選び”があるのは確かだろうけど、ジャレッドの場合はゲイである自分がサインをする事に遠慮していたのではないかと感じました。
そして、母親の歌にも感動。涙が止まりませんでした。
ジュリアン・ムーアに似た女優さん、めちゃくちゃ歌が上手いなぁ…って、ご本人でしたか!!
主人公のエヴァン役がオリジナルキャストってことで、てっきり他の役もオリジナルキャストだと勘違いしていました。
どおりでエイミー・アダムスのそっくりさんもいると思った。笑
アマンドラ・ステンバーグも難しい役を見事に演じていて素晴らしかった。
『コロンビアーナ』『ヘイト・ユー・ギブ』から更に美しく成長して、今後も目が離せません!
分裂気質の映画
ミュージカル要素が入ることでテーマと描かれる世界に乖離が起こり、見ている側をとてもイラつかせる映画。何のためにこのシナリオをミュージカルで描こうとしたのか、全く意味不明‼️監督のマスターベーションなら音楽は使わないか、音楽だけでアルバムでも作るかして欲しい。音楽の出来、演ずる俳優の歌唱力や踊りが素晴らしいだけに益々不快感が募ると言う稀有な作品。歌を歌うときだけ別人になるこの演出にどう付き合ったら良いのか・・・勘弁して欲しい❗あんな状態でSNSが拡散する世界には恐怖しかない。
人は人との繋がりを心の糧にして生きていく
観終わって奥深い余韻に浸ることができる秀作である。ブロードウェイミュージカルの映画化作品なので、派手な劇的展開の物語だと想像していたが、全く違っていた。シリアスな青春ミュージカルだった。ミュージカル作品の場合、歌と歌でない部分の繋がりがギクシャクすることが多いが、本作は台詞をそのまま歌にした感があり、歌と歌でない部分との繫がりが非常に良く、物語が澱みなく自然に進んでいく。登場人物達の心情は心情に合った旋律と歌詞で表現されるので、音楽の力で、より深く心に刺さる。主人公に強く感情移入できる。主人公の孤独の闇に寄り添うことができる。
本作の主人公は、家庭でも学校でも居場所がない孤独な高校生エヴァン・ハンセン(ベン・プラット)。ある時、彼は自分宛に書いた手紙を同級生コナーに奪われる。その後コナーは自殺し、両親は、その手紙をコナーが主人公宛てに書いたものだと誤解する。主人公は、両親をこれ以上悲しませたくないと考え、コナーの親友だと偽り、コナーとの思い出の作り話をしてしまう。この作り話は関係者の感動を呼び、SNSを通して世界中に拡散される・・・。
ベン・プラッドは、ブロードウェイミュージカルでも主役を務めており、主人公役を完全に熟し切っている。内気で自信の無い佇まい。会話の時のオドオドした態度。級友と話す同級生を観る時の羨望の眼差し。孤独の闇を彷徨する絶望感と、そんな彼に声を掛けて欲しいと渇望する切な過ぎる歌声。どれを取っても非の打ちどころがない。
図らずも、嘘によって彼の渇望は実現する。嘘をつく時の雄弁さに孤独の闇からの解放感が溢れている。彼の嘘は彼の願望である。そうであって欲しいと考えていた友人関係、友人との会話を流暢に吐露していく。
終盤、紆余曲折を経た主人公は、どんな時でも彼の孤独の闇を照らす人は必ずいると信じて再生していく。
“人は人との繋がりを心の糧にして生きていく”という言葉が心に深く刻み込まれた作品だった。
ちょっと長い…
ミュージカル映画ならではの長さ
ストーリーはわかりやすく気軽に観られる。
が、ちょっと希薄な内容でもある。
主人公の行動がもたらす結果が、少し考えればわかりそうなものを
いつまでも、自分の都合の良いように振る舞い続けてしまった主人公へは
あまり共感はできなかった。
確かに、時には嘘をつくことや事実を伏せることが相手のためになることもありうるが
この映画のストーリーに関していえば
自己中心的な嘘はみを滅ぼす。ということかなと思った。
いい感じの感動ストーリーかのように描かれているけど
個人的には人間の自分勝手さと愚かさ、浅はかさを観たかなと思う。
さらに、最終的にも本人もあまりことの重大さを理解していなかったような描写に見えた。
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