「ヒューマンドラマの皮を被ったグロ映画」ディア・エヴァン・ハンセン grahamさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒューマンドラマの皮を被ったグロ映画
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完成度の高い楽曲と感動を与えるような演出でまるで泣ける話のような皮を被ってますが、本質は人間の醜さと安易さをかなりシニカルな目線で描いた作品です。
コナーの死に便乗して、主人公、コナーの家族、同級生など全ての登場人物が自分が信じたい事だけを勝手に信じて、善意から行動しています。
誰もが善意や正義感から行動しているのですが、誰もコナーの事を本気で理解しようとはしていません。
コナーの死を利用した自慰行為をしているようなものです。
物語の流れだけを見ればまるでペイフォワードのような感動系の映画の流れに沿っているのですが、観客の感動しようとする感情と主人公のついた嘘への嫌悪感がなんとも気持ち悪く、落ち着かない気持ちにさせます。
現代のSNSでのバズりや炎上への風刺がとても効いていて、面白い映画です。
なかなか他に無い味のする映画ですが、
惜しい点としては楽曲一つ一つのクオリティは高いのですが、あと一曲観客を無理矢理感動させられるようなパワーのある曲があればもっと気持ち悪い(褒め言葉です)最高の映画になったでしょう。
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