劇場公開日 2021年11月26日

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「音楽映画としてだけでなく」ディア・エヴァン・ハンセン オカピさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0音楽映画としてだけでなく

2021年12月15日
iPhoneアプリから投稿

2017年のブロードウェイで、本作の元の舞台を実際に見ました。
当時BWでも1番人気の作品で、舞台と映画、両方で主役を務めたベン・プラットは、トニー賞(舞台作品のアカデミー賞)を取ったばかりでしたので、私がやっとの思いで取れたチケットは、アンダー(2番手の演者)の方がエバン・ハンセンを演じてました。なので、今回、映画ではありますが、ベン・プラットの歌声を堪能できたので、とても満足です!
この作品は、曲が素晴らしい!この先も、長くスタンダードとして、歌い続けられてゆく名曲がいくつもあります。
ストーリーの方も、今時を捉えていて、登場人物に感情移入しながら見ることのできる、秀作映画だと思います。

この先は、ネタバレになります。
主人公は、SNSでお手軽に有名人になり、嘘がバレたあとは世間に生き恥を晒すことになります。それでも、生きている限り、人生は続いていきます。死んだコナーと対比させると、苦悩しても、生きることを簡単に放棄してはいけない、と私は思いました。命は自分のものだけではない、自死家族は、喪失だけではなく、理解してあげられなかった、という悲しみまで、抱えていくからです。
母親役のジュリアン・ムーアが、SNSを超越し、息子を愛し、寄り添うところに救われます。
主人公は、いろいろ問題ありの人物ですが、それでも、誰かにとっては、かけがえないのない人物です。人生はまだまだ先がある、ということを、最後の透明感のある曲を聴きながら、どうか、若い人たちが、簡単に人生を諦めず、生きるということを肯定して、受け入れてほしいと思いました。
ベン・プラットはじめ、皆さんの歌が素晴らしい。良い作品が映画として、多くの人が見ることができるようになり、嬉しいです。

オカピ