「勘違いと嘘と誠」ディア・エヴァン・ハンセン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
勘違いと嘘と誠
本国アメリカでの評価がとても高いという事で楽しみにしていました。
休日でしたが人の入りはそこまで多くなく、でもスカスカまでとはいかないくらいでした。
今作を観終わって思った事はまともな登場人物が少ないというところでしょうか。まず主人公のエヴァン、コナーという生徒の挙動を見て笑ってしまい、キレられ、セラピーの一環で書いた文章を取り上げられて、妹の事まで書かれており、再びキレられる始末。笑ってしまったエヴァンもエヴァンですが、文章を勝手にに取り上げて、その上キレるコナーもコナーだなと思いました。この導入部分からちんぷんかんぷんでした。
コナーの両親、特に母親は息子が死んでしまったので多少なり錯乱するのはしょうがないとは思うのですが、ちと思い込みが過ぎるかと。エヴァンをコナーの唯一無二の親友だと思い込んでやまない、嘘っぽいことでも無理矢理信じるなど、見ていて気疲れする様なキャラクターでした。
次にエヴァンの母親、コナーの両親に誘われて自宅に招かれた時、エヴァンの進学先のための資金をあげると言われます。まぁ受け取りづらい気持ちも分かりますし、受け取らないのも選択肢としては全然アリなのですが、断り方が無礼にも程がある。もう少し大人の対応はできなかったのかなと少しがっくし。
次に同級生のアラナ。1番苦手なタイプの人間です。自然保護だったり、クラファンだったり、率先して動く事は何も悪くないと思うのですが、コナーの死を利用している様にしか見えないクラファンだった事に違和感を覚えました(止めなかった、と言うか止めれなかったエヴァンにも多少なり責任はありますが)。クラファンの資金が足りないからと言って、エヴァンが誰にも見せないでと言ったコナーとの擬似的な繋がりを作った手紙を不特定多数の人間が蔓延るSNSで公開するという極めて悪質な手段にでます。正直コイツが1番の悪者だと思います。すぐに消したって言いつつも謝罪の言葉は無い。非常に不快でした。
エヴァンにもエヴァンで問題があり、嘘をつく事に罪悪感は覚えつつも段々と気持ちよくなっていき、嘘を広げていくのもなんだかなと思いました。インスタグラムに上げた謝罪動画もそうそう簡単に許されるものなのだろうかと。
と批判意見ばっかりになってしまいましたが、勿論良いところはあって、ミュージカル部分はとても良かったです。ミュージカルと言うよりは独唱という感じですが、キャストの歌唱力が素晴らしいので、世界観にグッと引き寄せられます。あとケイトリン・デバーが美しかったです。
と、アメリカで大絶賛されていたと言う割には…という出来でした。「イン・ザ・ハイツ」の視覚的面白さには遠く及ばず、という感じでした。なんだか感動物語に仕上げるあたり、悪い邦画らしさもちょっぴりあったなぁと。残念。
鑑賞日 11/28
鑑賞時間 17:20〜19:50
座席 N-14