「【孤独で内気な高校生が付いてしまった嘘が、孤独を抱える様々な人々に齎したモノ。そして、紆余曲折の末に明かされた”幾つかの真実”を、数々の美しき歌と歌詞で彩った作品。】」ディア・エヴァン・ハンセン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【孤独で内気な高校生が付いてしまった嘘が、孤独を抱える様々な人々に齎したモノ。そして、紆余曲折の末に明かされた”幾つかの真実”を、数々の美しき歌と歌詞で彩った作品。】
ー エヴァン・ハンセンが自らのセラピーのために毎日自分宛に書いていた手紙が、誰にも心を開かないコナーに奪われるも、コナーの自死により、エヴァン・ハンセンの手紙がコナーからのモノと誤解され、彼がコナーの唯一の親友だったと勘違いされる。
更に、彼が樹から”落ちて”ギブスを付けていたところに、コナーが自分の名前を書いた事も後押しして彼は・・。-
◆感想
・エヴァンが、苦悩するコナーの両親の姿(特に母親シンシア(エイミー・アダムス))を見て、嘘を付かざるを得ない状況に自然となって行く過程の描き方。
- それは、彼が内向的で嫌と言えない性格や、気を惹かれているゾーイ(ケイトリン・デヴァー)の存在もあったであろう。だが、一番は彼の優しい気質があの嘘を付かせたのだと思う。-
・その嘘が拡散して、彼は友人が一人もいなかった変わり者コナー(ゾーイは彼を怪物とまで言っている。)の隠れた親友となってしまい、更に皆の前で緊張で震えながら”コナーに対しての”手紙を読み上げるシーンが、更に拡散して彼とコナーは親友だったことに・・。
- 喜ぶコナーの母と義理の父。あそこまで行ってしまうと、”嘘だった”とは言えないよなあ・・。-
□この作品は、ミュージカルの映画化であるが、登場人物の気持ちを独唱で表して行く。流石にエヴァンを演じたベン・プラット(ガンバッテ、コウコウセイヲエンジテイタ・・)の歌は、心に沁みる。
只、気になったのは他の登場人物も独唱するのであるが、ワンシーンのみであり、”これって、ミュージカルかな・・”と少しだけ思ってしまったよ。
・コナーとの思い出のリンゴ園を復興しようとするクラウドファンディングまで立ち上がり・・。
- アラナ(アマンドラ・ステンバーグ)達の善意によるモノであり、これもエヴァンを追い詰めていく。小さな優しき嘘が、ドンドン世間の共感を得ていくエヴァンの複雑な気持ちを考えると・・。-
・エヴァンは到頭、SNSで自らの嘘を発信し、ゾーイとの仲も微妙になってしまう。
だが、エヴァンが強かったのは、掌を返したような世間に対し、コナーの生い立ちを調べ、中学の卒業名簿に、好きな本:「猫のゆりかご」(カート・ヴォネガット著作で、可なり風変りな作品。彼の性格の変化を物語っていると、私は思った。)という言葉を見つけ、更に彼が矯正施設に入っていた時の知り合いに辿り着き、コナーの隠された一面を見つけるシーン。
- コナーが、矯正施設の皆の前でアコースティックギターを奏でながら、綺麗な声で
”少しだけ違うと感じる・・”と歌う姿。
コナーも又、深い孤独を抱えながら生きていたのだ・・。
このシーンは、心に沁みた。-
・そして、エヴァンも又、母(ジュリアン・ムーア)に手を怪我をした”真実”を、勇気を出して伝えるのである。
<今作では、エヴァンを始め、コナーの両親、ゾーイ、エヴァンの母と表面上は通常の社会生活を送りながら、孤独感を抱える人々が多数描かれている。
そんな彼らに、一番孤独だったエヴァンが齎したモノ。
SMSの怖さも絶妙にパラリと振りかけながらも、少し脚本が粗く、今作がミュージカルと言われると”そうかなあ・・”と思ってしまったが、自分自身の弱さ、孤独を克服していくエヴァンの姿や、彼の姿に触発され、一歩前に踏み出す人々の姿が印象的だった作品。
コナーの死は残念だが、彼の心の葛藤も又、人々の心を動かしたのであろうなあ、と思った作品でもある。>
エイミー・アダムスに優しい〝母〟を見出したエヴァンが、彼女のすがるコナーの一面を真実と思わせたい、喜ばせてあげたい、という気持ち。
それは痛々しくも彼なりの精一杯の優しさとして伝わってきました。
NOBUさんおはようございます!
そうそう、独奏シーンばかりだから私の中で“小さな波”だったのかも。。。エヴァンがコナーのことを調べるシーン、好きです。コナーをもっと見たかったなぁという気持ちもあります。良き映画でしたね。