「なにこれ、めちゃくちゃ面白い!!!」ラストナイト・イン・ソーホー CBさんの映画レビュー(感想・評価)
なにこれ、めちゃくちゃ面白い!!!
なにこれ、めちゃくちゃ面白いじゃん!!
特にいいのは、始終おどろおどろしい音楽や効果音で恐怖を演出するんじゃないところ! 観終わった今も、ホラー映画を観たって気はしない。かと言って、怖くなかったか、ドキドキしなかったかと言えば、いいえ、十分に怖かったです。ドキドキしてました。いやあ、このメリハリ! 映像と音楽での新たな映画像を観た感じ。
ロンドンに着いて暮らし始めた主人公エリーが過去の女性サンディの夢を見て心を奪われ、そしてそれが徐々に夢だけでなくエリーの日常にまで「浸み出してくる」感覚、それをこんなに見事に映像化できるなんて!
そしてなによりも、2人のヒロインがきれいなこと。かたや研ぎ澄まされたサンディの野心的な美しさ、かたや純朴さをわずかに残したエロイーズの真面目な美しさを、115分間観続けられるこの映画、サイコ〜!!!
そうか、監督は「ベイビードライバー」を撮った監督なのか。才能あり!って感じだよね。うわ、次も楽しみ。そのうち、「エドガーライト風」とか言われる一つの "流れ" にまでなる人なんだろうな。
そして、文化的にもてはやされることが多いSOHOであっても、やはり女性からの搾取が当たり前のように行われていたことは、この映画のおかげで忘れないでいられる。
今回一番印象的だったシーン
サンディが初めて現れて、階段を降りるシーン。鏡には、エリーが映りながら降りていくシーン。複数映るエリーとの対比が、スッキリきれいだった。
ーーーーーここから、友人曰くーーーーー
リンジー、思わせぶりなこと言い過ぎ。事故にあったのも、半分はあなたのせいだよ(笑)
「男性による女性からの搾取」を中核に置いたのに、パーティーで薬が入った酒を勧めたのは意地悪な女友達、というのは、「女性同士って、こういうことあるでしょ?」といった、ステレオタイプな考え方が見え隠れして残念だったなあ。
エリーが金髪にしたあたりから、エリーとサンディの同調が大きくなり、サンディの視点から見るロンドンになっていったがために「男たち」も見えるようになったのだろうね。サンディの思いが「何度も何度も殺された」だから、実際に殺される場面を見るのだろうね。そこまで同調していたからこそ、エリーはサンディを解き放すことができたのだろうけれど。建物が燃える中でサンディが解放されたということ、それに伴ってエリーもサンディとの同調から解放されたこと、それを示すのが、エリーの髪の色が戻ったことで示されているのだろうね。
本作では、"鏡" や "扉" が象徴的に使われていたね。「扉を叩く」行為は、ずっと「嫌な出来事」を象徴していたけれど、最後のシーンではエリーを救助に来たレスキュー隊員が "鍵のかかった扉" を叩き割る、つまりエリーたちが生還したことを示すポジティブな意味合いを持って描写されていたね。これはサンディがソーホーの悪夢から逃れ、同じくエリーもその分身としての役割から解放されたことを表していると感じた。
逃げる場所を持たなかったサンディが、一人で背負い続けた罪をエリーによって受容されることで、逃げ場所を見つける事ができた=燃えるソーホーの家からエリーが逃れる事ができたということなのだと思う。
途中、悪夢に追い詰められたエリーが祖母に電話をするシーンがある。祖母はエリーに1人ではなく誰かに助けを求めろ」と助言する。
"誰かに助けを求める行為" を、サンディは心情を吐露するという姿で、最後の最後でエリーに向けて行う事ができた。
(「彼らは死んで当然だった」と言うサンディに「そうね」「あなたは悪くない」と答えるエリー)
一方でエリーも、退去を告げる前に、ボーイフレンドであるジョンに助けを求める事ができていた。
一方、店でのシーンで、警官と話すサンディに、「引き返してよ、サンディ。そっちに行ってはダメ」と助けようとするエリーが二人を隔てる "鏡" を叩き割るシーンがある。あのシーンでも隔てる鏡割れたけど、ポジティブな表現ではなかったみたい。その違いはきっと、このときのエリーは、"ひとりで" サンディを助けようとやったことであり、最後のシーンでのエリーは、「一人で悩まずに、誰かに相談してね」という祖母のアドバイスを受け入れて、"彼に話して「15分たったら入ってきてね」と助けに近い願いをしたうえで" サンディを助けることになった、という違いがあるのではないかな。"
「サンディを助けたい」 という点ではエリーの思いは同じ。ただ、ここでのエリーは、「誰かに助けを求める」 ことが出来ている。これが、監督が伝えたかったことではないだろうか。#MeToo 問題で言われるとおり、「声をあげよう、助けを求めよう」というメッセージがこのあたりに隠れているのではないかな。
分身である2人がそれぞれ“他者“に助けを求め、自分を救おうとする事ができた時、ソーホーの悪夢は終わったのだと思う。
最後に「ラストナイトインソーホー」というタイトル。サンディにとっては「ソーホーでの最後の夜」であり、エリーにとっては「昨晩のソーホーで起きたこと」という二人にとってのそれぞれのラストナイトの掛け合わせだったのか
もね。
ーーーーーここまで、友人曰くーーーーー
上記友人の発言は、俺も振り返ってみて、まったくそうだなあと思う。うーむ、なるほど。それって、いい観方だね。ちょっと感動。書いとこっと。
先に書いたように、映像的、音楽的、それらに支えられたテンポのよさ、勢いなんてあたりには天才的なものを感じる監督だが、脚本賞を取ることはないんだろうなあ。
こんばんは~➰
コメントありがとうございます。
凄い怖いわけではないけど、あの顔のない男達が床下におり、配水管が臭うとか、ヒェ~ですよね。
映画を語り合える友人さんがいて、羨ましいです☺️
こんばんは。
確かに怖いんだけど、思い返すと、怖い場面より、エロイーズとサンディの踊ってる場面とかが浮かぶんですよね。
こんなホラーなら夜中でも大丈夫🙆♀️
ヒロインの魅力が半端なかったですね!
自分のレビューではエロイーズ中心に書きましたが、勿論サンディも素晴らしい!!
あの目力で見つめられたらもうノックアウトですね。
今晩は
”なにこれ、めちゃくちゃ面白いじゃん!!”
全く同感でして。
作品構成の妙(特に鏡の使い方)
音楽(年代的に、ギリギリレコード棚にあったのはスージー&バンシーズのパニックルームで、曲が流れたシーンは勝手に盛り上がりましたよ)と、シーンのシンクロ具合良し、W主演の美しき若き女優さん良し、哀しきソーホーで夢破れた女性の哀しき人生の見せ方も良しと、エドガーライト監督の”音楽とのシンクロだけではないぞ!”というミステリーテイストも良しの映画でありましたね、
最近、評点の付け方を変えましたが、数年前であったら5を付けていた作品です。(ちょっと、偉そう・・)では、又。