「遺された人、の日々」歩きはじめる言葉たち 漂流ポスト3.11をたずねて BRUSHYMANさんの映画レビュー(感想・評価)
遺された人、の日々
一昨年急逝された映画監督・佐々部清さんを、今なお悼んで悼み続ける俳優の升毅が、陸前高田にある「死者に手紙を出すポスト」に出すための手紙を、関係者を訪ねて集めていく……作品です。端的には。
要は、どうも佐々部監督という方は、この作品見るに、頓挫した企画が多いんですよね(まさか、本編に出てくる「最後に書いたブログの内容」までがああだとは……。すごく、人間くさいなと)。
そんな一つが、陸前高田にある「震災きっかけでとある人が作った、死者に手紙を出すポスト」の話だったようで、最終的には関係者たち(代表・升毅)が、そこに佐々部監督への手紙を出す、という構成です。
だから、別に震災関連ドキュメンタリーでもないのですが、その双方が、絶妙につながって成立しているんですよね。
とにかく、升毅はじめ近親者の「悼み方」というのが、すごい。監督はどれだけ升毅に慕われていたのかということでもあるし、何なら、まだ信じていないような部分も見えて。舞台挨拶でも、また涙ぐんでおられました。
つまりこの映画は、ある時から震災関連ドキュメンタリーであることをやめ、「急にこの世からいなくなった人の喪失と向き合う」映画になった。それが、ものすごく興味深かったです。
佐々部監督というのは、どれだけいい人だったんだと思いましたし、また、ここまで俳優に慕われれば、本望ですよね……。
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