「異種格闘技戦」マリグナント 狂暴な悪夢 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
異種格闘技戦
R18指定という懸念点はありましたが、絶賛されているレビューが多々見られ、恐れ慄きながらも鑑賞。
正直度肝を抜かれました。ホラーってこんなに面白いんだ!と常識をひっくり返されました。
ジェームズ・ワン監督がワイスピやアクアマンを手掛けていながら、ソウシリーズや死霊館シリーズを作り上げた凄腕の人ということは知っていたのですが、いかんせん劇場で見ることができなかったので、今作が初めましてです。
前半はしっかりホラー。見えない何かだったり、惨殺だったり、奇形種だったりと、ホラーの定番を抑えつつもスプラッターに力を入れており、映像的に見応えがあり、ワクワクとドキドキが混在していました。
主人公マディソンの旦那が"何か"に惨殺されてからたびたび見る悪夢の中で、次の被害者が分かるという生々しさもありつつ、フィールドをチェンジする視覚的な面白さも見どころです。マディソンの旦那がDV夫という側面もワンシーンしか描かれていないのに、とても怖かったです。
惨殺の場面なのですが、意外と直接的には見せないんだなと思いました。R18指定なので、もっとグログロしいものなのかと思いきや、遠目からだったり、キッチンに隠れていたりと、グロいのが苦手な自分にとっては少し安心しましたが、せいぜいR15指定で良かったんじゃないかなとも思ってしまいました。
ここ最近のホラー作品とは違うなと思ったのが、音で驚かすようなドッキリ系ではないというところでした。お化け屋敷的な急な脅かし方が多いなと悶々としていましたが、しっかりと怖いところは怖く、しかも次に繋がるものになっているのも上手い作りだなと興奮しました。
途中、ショウ刑事が"何か"とバトルを繰り広げるシーン、ここまでは地に足ついたホラーだった今作が一変、ガラッとジャンルを変えアクションへと変貌する作りがお見事でした。大きな図体の"何か"ことガブリエル。そんなガブリエルが壁をつたい飛び降りて行ったり、狭い場所を潜り抜けたり、パワープレイで車を跳ね飛ばしたり、対マンバトルを仕掛けにいったりと、それだけでも迫力満点なのに、割と高めのところから飛び降りても普通に走っていたり、ガブリエルに対して真っ向から銃撃戦や拳での対マンに挑んでいるショウ刑事も中々の化け物だなと思いました。
この辺りから冒頭の伏線を回収していき、ガブリエルはマディソンの双子、しかし体が未発達のまま生まれてきたことにより、奇形双生児ということが判明します。しかもガブリエルが背面にくっついており、それが暴走したから封じ込めたというなんとも生々しい映像が連続で流れました。手術シーンのグロさや、ガブリエルが背面で体を動かしているのも、ホラーチックというかオカルトのようなものだなと震えました。そのガブリエルがマディソンの体を乗っ取り、惨殺を行なっていたというところで、なぜ悪夢を見ていたのかが合致します。
マディソンがガブリエルへと変化する瞬間、体がどんどん伸びていき、後頭部からガブリエルの頭が生えてくるという演出が最高に怖かったです。そこにいた囚人を最も容易く殺していき、刑事も瞬殺から腕を切り落としたりと、ずっと動いている画面の中でも様々な殺しのバリエーションを魅せてくれるので楽しかったです。机を飛び越えたりとガブリエル抜群の運動神経。
最後に追い詰められたマディソンの妹がマディソンに訴えかけ、自我を取り戻し、ガブリエルを封じ込める、しかも柵の高い高い牢屋にぶち込むことで、見事抑え込むことに成功します。ここまでの暴れっぷりはなんだったんだというぐらい爽やかな終わり方でした。
ホラーでもとんでもなく面白いものが生まれる。再確認させていただきました。アクアマン続編も楽しみにしてます。
鑑賞日 11/24
鑑賞時間 11:05〜13:05
座席 I-13