「メタファーとしての森?」トムボーイ hanakoさんの映画レビュー(感想・評価)
メタファーとしての森?
森がとても印象的な作品。
ロールの、ミカエルのの、心の中のような森。
迷い込み、駆け抜け、逃げ込み、彷徨う。
自分はナニモノか、意識が芽生えてくる頃の子供の揺らぎを丁寧に描いていて、共感しすぎず、突き放し過ぎず、子供だからと変な気も遣わず、自然体でとても良い距離感の作品。
自分も、小さい頃からスカートや女の子らしいアイテムや女の子らしい遊びが苦手で、なぜ他の子みたいにできないのかと詰められてきた事を思い出して苦しくなった。
生理が始まった時に感じた、人生が終わったような絶望感。女の子か達からカッコいいと言われた方が嬉しかった事。髪の毛は伸ばさず、パンツ(ズボン)しか履かなかった。
そんな自分の子供時代に、ロールの父親のような親がいたら、きっと少しだけ心が楽になっただろう。
そしてロールの母親には、いずれ、ロールをミカエルとして受け入れてほしい。
きっと、ワンピースを森の中に置き去り、タンクトップと短パンで生きると決めたんだろう。
その決意が羨ましくて、眩しかった。
色んなことに絶望し、諦め、今を生きるしかないけれど、ラストシーンは少しだけ希望が持てて良かった。
どうかその希望の火が消えませんように。
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