劇場公開日 2021年11月26日

「実は『レイダース』ミーツ『ローグワン』、ホントは全編スペイン語で楽しみたいどこまでもラテンで楽しいアクションミュージカル」ミラベルと魔法だらけの家 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実は『レイダース』ミーツ『ローグワン』、ホントは全編スペイン語で楽しみたいどこまでもラテンで楽しいアクションミュージカル

2021年12月6日
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鑑賞方法:映画館

コロンビアの奥地にある平和な村エンカント。その村の中心にあるのはマドリガル家の邸宅があり、家長アルマの3人の子供フリエタ、ペパ、ブルーノと彼らの子供達はある年齢に達すると、彼らが暮らす家カシータからそれぞれに特殊能力(ギフト)が授けられていた。フリエタの娘ミラベルにもついにギフトが与えられる日がやって来るが、なぜか彼女には何も与えられなかった。それでもミラベルはマドリガル家の一員であることを誇りに思い家族もそんな彼女を温かく見守っているが、ある夜ミラベルは毎日カシータに危険が迫っていることを知りアルマたちに伝えるが家族は誰も信じてくれない。マドリガル家に迫る危機を確信したミラベルは家族を救う決意をするが・・・。

原題でもあるEncantoは“魅力”であり、それがこの作品の核。Cantoとは“歌”、魅力とは何かを高らかと歌い、Abre Los Ojos、“刮目せよ”と観客を鼓舞する。マドリガル家の子供たちに授けられるギフトも確かに魅力的だがそれを授からないことは不幸なのか、それを授けられた者は恵まれているのか、そもそもただその家に生まれただけでギフトと共に背負わされる大きな責任はその力に見合うものなのか、さまざまな疑問がさりげなく提示され、それらひとつひとつと向き合うミラベルがついに辿り着く境地にさめざめと泣きました。なんてことを書くとセンチメンタルな物語かと思われるかも知れませんがそんなことは全然なく、ほとんど一軒家の中で繰り広げられる話なのに実はスケールのデカい冒険譚で、見てくれはほとんど『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』、何にも特別な力を持っていないミラベルがエンカントを救おうと奔走するところは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を連想させる痛快なアクションミュージカル、大画面と大音量で楽しむべき作品です。ということで字幕版をチョイスしたのは大正解で、果たしてこのラテンなエンターテインメントを日本語で表現出来るのかというのは甚だ疑問。少なくともナオト・インティライミが歌ってる『マリーポーサ ~羽ばたく未来へ~』は声質も歌詞も何もかもがダメダメで頭痛がしますので、どっちで観るか迷っている人には字幕版をオススメします。

でも『リメンバー・ミー』でも同じことを思いましたけど、出来ればスペイン語吹替版が一番ハマると思うんですよね。登場人物が英語を話しているのにはやっぱり違和感あり。ちょいちょいセリフにスペイン語が混じったりスペイン語詞の歌も2曲くらいあるんですけどやっぱり全編スペイン語というのが正しい姿。上映しろとは言いませんが、BD発売時にはスペイン語吹替も選択肢に入れて欲しいと思います。

よね