「監督の表現衝動の凄まじさ」アレックス STRAIGHT CUT garuさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の表現衝動の凄まじさ
現実から執拗に目を逸らそうとしているかのような眩暈様カメラワークと、心臓の鼓動のような音、そして、不安を煽るBGM。
レイプシーンはかなり真に迫っているのに加えて長いが、ここまではカメラが安定しており、客観的な映像だ。 ところが、一旦男が事を起こし始めてからは、極端すぎるほどの乱視映像の連続によって主客混同状態に陥り、観客の心をひと時たりとも落ち着かせない。
CGで工夫したと思われる暴力シーンは壮絶。 一作目では途中退場する観客が続出したというのが頷ける。 演出も非常に手が込んでいるという印象で、 この監督の表現者としての衝動の凄まじさを感じる。 リアルな残酷描写は今の映画で珍しくないが、通常のホラー映画などとは趣が全く異なる。 登場人物の誰にも感情移入させようとしないかのような創り方で、 同監督の他作品と同様、 心の置きどころが無くなるというか、 得も言われぬ不快な気分を刻み付けられてしまう。
監督は、前作との姉妹作品と語っているようだが、それだけこの作品が気に入っているのだろう。
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