「考えさせられるとは・・・」クライモリ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
考えさせられるとは・・・
2003年より始まった本シリーズは、原題は「Wrong Turn」。道を間違えた時に使う言葉だ。原題通り、登場人物らは皆何らかの形でアパラチア山脈の森の奥深くに迷い込み、人喰い狂人らに喰われるという物語だ。シリーズ6作製作されているが、劇場公開されたのは第1作のみであり、怖さと鬼畜さが相まっていたのも第1作のみだった。シリーズを重ねるに連れ、予算の削減からかチープさの目立つ形となり、気狂い狂人とやたらと乳を放り出すお姉ちゃん達を何も考えずに観ていれば良いだけの作品となっていった。
そして、リブート版の本作。以前からリメイク化を希望していたのだが、それがまさかの「狂っている」という事について本作で考えさせられるとは・・・
大まかな設定は同じなのだが、シリーズファンは恐らくそれで毎朝目を覚ましたいであろう、あの甲高い笑い声が聞こえてこないのである。
「ヤツら」の正体が判明した時、思わず「まともな人間だ」と錯覚してしまった。そして、「これはクライモリじゃない」とさえ思ってしまった。
それが出来た理由も明確、地域の住民もバックグラウンドを知っているからこそ、行動にも説明がつく。全てが納得してしまう展開に落胆しかけたが、後半になり過去作とはガラリと方向の違う作品となった。それから先はきちんとホラー作品としてのポイントを押さえつつ、本シリーズはリブート版にて新たなテーマを抱えて幕を閉じるのである。それが、「狂っているのは我々か、それともヤツらか」である。あの意味深なエンディングはそれを具現化したものでは無いかと推測している。まさか、あの気狂いアホシリーズがこんなにも奥深い作品になるとは・・・。
何が起こるか分からない世の中である。