劇場公開日 2022年9月16日

「「沈黙」の演技で魅せる北村一輝と実写版ガリレオの幕下げ」沈黙のパレード スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0「沈黙」の演技で魅せる北村一輝と実写版ガリレオの幕下げ

2024年3月31日
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本作は天才物理学者湯川が実に面白くロジカルに解決していく東野圭吾原作ミステリの実写映画版。

ハウダニットで視聴者を引きつけてきたドラマ版とは異なり、どちらかといばホワイダニットに軸足をおいた映画版は、事件当事者はもとより主要登場人物の心の機微にもフォーカスしているところに趣がある。

今回の裏主人公はやはり北村一輝が演じる湯川の「腐れ縁」刑事・草薙だろう。

草薙と湯川は同じ大学の同期。
大学時代の草薙の冤罪を湯川が証明してからの縁だ。
そんな彼らは刑事と物理学者になってからもそれぞれの動機の為、不可解な事件解決に奔走する。

今回の事件は草薙にとってはできれば向き合いたくなかっただろう。
15年前の後悔と苦しみから、
力を削ぎ落とされても、
さらなる苦しみと違和感を感じる
幕引きになりかけようとも。

しかし、今回の件は草薙が刑事としての強さを取り戻すきっかけとなった。
湯川の思いやりと激励と共に。
黙っていてもどこか通じ合えた親友同士となって。

黙ることは利益も混乱ももたらす。
沈黙は金色ではなく、玉虫色。
時には沈黙を打ち破る勇気も必要なのだろう。

スモーキー石井