「沈黙のパレードって言う割に全然沈黙してないし、ツッコミどころ満載」沈黙のパレード なみ助さんの映画レビュー(感想・評価)
沈黙のパレードって言う割に全然沈黙してないし、ツッコミどころ満載
原作は未読。
最初の1時間くらいはすごく良かった。なみきやの皆が共有してる苦しみがひしひしと伝わってきて、どんな復讐劇が待ってるのかと胸が熱くなりながらワクワクしてたけど、音楽プロデューサー夫婦の絡みが出てきてからストーリーが一気に薄っぺらくなった。私が期待してたのはなみきやの皆と増村がずっと抱えてきた苦しみをぶつけた悲劇の復讐であって、売れなかったアーティストとプロデューサー夫婦の深い愛情ではない。この二人どうでもいい。
沈黙のパレードって言う割に全然沈黙してない件について。蓮沼と並木家と吉田羊は沈黙を貫いてたけど、それ以外沈黙してたか?結構すぐ供述してたよね?あと事故だったって自白した音楽プロデューサーに対して草薙刑事が「沈黙を続けますか?」って名台詞風に言ってたけど、「真実を話しますか?」ってことなんじゃないの?別に沈黙はしてなかったよね?ニュアンス違くない?あれ私の解釈が間違ってるのかな?なんか無理やり沈黙のパレード感出そうとしてない?と思ってしまった。
佐織のために蓮沼を殺害した訳ではなかったのもがっかりしてしまった。
佐織の彼氏がすぐ簡単に供述し始めたところから、ん?って思ってそこから涙が完全に乾いてしまった。
作中にあるなみきやの皆が水上で踊ってる(?)謎のシーンが解せない。共感性羞恥。あれ、いる?パレード感を出したかったのかな?
それから、祭りのパレードシーン長くないか?てっきりあれがキーになってくるのかと思ってたら何もなかった。クレオパトラ長いし、チーム菊野のシーンも少し長いように思った。
増村が被害者の叔父だと判明したシーンは驚いたしとても良かった。しかし、15年前の幼い被害者と増村の温かいシーンとか蓮沼に近づいた経緯過程とか憎悪にまみれながらも復讐するその時まで一緒の家に住む苦しい心境とかがあったらなお良かったなと思う。号泣してしまう自信しかない。祭りのシーン削ってそこを映してほしかったなという願望。
キャストの演技は素晴らしかった。特にずん飯尾さんの演技は泣けた。本当に泣けた。感情移入せざるを得なかった。親友のおじさんの演技も胸が熱くなった。
壇れいさんの品のある美しい容姿によって気づかなかったけど今考えたら留美って最低な女性だ。勇気出して妊娠報告したのに、あなたは旦那の夢なんだからダメよ!って、とんでもないね。佐織のこと愛してなかったの?と思った。あと倒したらまず救急車呼んでよ。すぐ自殺しようとする責任逃れなところとか出頭しないところとか終わってるし、平然とした顔でよくなみきやで飯食えましたね。
でも佐織も言い過ぎだろと思った。まず、お世話になった人にあんな口きけるかな?美しい歌声の印象しか無かったからちょっとびっくりした。
原作をまだ読んでないから今から読んでみようと思う。一冊の小説を2時間の映画におさめるのは展開の早さとかによって深みがなくなりがちだからすごく難しいのだろうと思う。でも『容疑者Xの献身』や『真夏の方程式』が最高だったためにちょっと残念な気持ちになった。
今回の湯川先生は物理学者ではなく心理学者だったね。刑事より心情を読み取って推理してた。
2回目見る予定だったけどイラついちゃいそうだから諦める。
鑑賞時、後半じわじわと募っていったモヤモヤを見事なまでに言語化していただきありがとうございます。皆さんの演技が素晴らしかっただけに、骨組みのツッコミどころがまさに同感でようやくスッキリできました。感謝です。。