「【”実に面白い”と天才物理学者、湯川教授は言った。”複雑なパズルは過去に戻らないと、最後のピースは嵌らない・・。親友、草薙刑事が過去の事件で負った心の傷を想う、湯川の心意気が心に沁みる作品である。】」沈黙のパレード NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”実に面白い”と天才物理学者、湯川教授は言った。”複雑なパズルは過去に戻らないと、最後のピースは嵌らない・・。親友、草薙刑事が過去の事件で負った心の傷を想う、湯川の心意気が心に沁みる作品である。】
ー ”バレット”今作では、重要な言葉(ピース)が多数出る。その代表のピースである。
ちなみに今作は、彼の口癖である”サッパリワカラナイ”作品ではない・・。-
■数年目前に、行方不明になった歌手を目指していた女子学生、佐織(川床明日香)が遺体で発見された。彼女は料理屋を営む、両親(飯尾和樹&戸田菜穂)を始め、歌の指導をする新倉夫婦(椎名桔平&檀れい)や恋人(岡山天音)を始め、多くの人から愛されていた。
だが、容疑者蓮沼(村上淳)は、完全黙秘を貫く。彼は、以前の幼女殺人事件でも完全黙秘を貫き、無罪になっていた・・。
◆感想
・劇中でもこの言葉が出るが、蓮沼は”警察が産み出した”モンスターである。彼の父親が、刑事で犯人を落とす名手であったからである。蓮沼は父から、物的証拠が無ければ、沈黙を守れば罪に問われる可能性は少ない事を学んだのであろう。
その蓮沼に対し、幼女殺人事件の時に、口を割らせることが出来ず、無罪にしてしまった草薙(北村一輝)は心に深い傷を負っていた。
ー 湯川学教授(に昇進)が、捜査に協力したのは、ラストシーンでも暗喩されるが、親友を想っての行為だと思う。湯川は、血と涙も十二分にある男なのである。ー
・蓮沼が町の祭りの中、殺害される。誰もが、容疑者になる訳だが、誰もがアリバイがあり、捜査過程は難航する。
だが、そこに救世主のように現れた、且つての幼女殺人事件で無罪判決を言い渡され、自殺した母親の”兄”(酒向芳)が登場する。
彼は、蓮沼に巧妙に近づき、時間を掛けて蓮沼の信頼を得る。
ー 正に、執念であろう。-
・蓮沼の殺害方法を解明するシーンは、湯川教授の独壇場である。”チッソかあ・・。実に面白い・・。”
・物語の展開も練られており、新倉夫人が”歌手を辞めたい・・”と言った時に、佐織を突き飛ばしてしまい、彼女を殺してしまったと思い込むシーンから、その事実を知った新倉が自ら、自首する姿。
ー 夫婦愛だなあ・・。(遠い目・・)-
■そして、観ている側は最後に
”この作品に登場する人物の中で、悪者は蓮沼のみであり、他の人は皆、人間の心を持った善性溢れる人たち”
であることを知るのである。沁みるなあ・・。
<シリーズは全作読んでおり、映画も3作観ているが、”実に面白い”シリーズである。気になるのは、エンディングで流れた過去作のセピア色のシーンの数々である。
ええっ、これが映画のラスト作品なの?未だ、6作分あるんだけどなあ・・。
更なる続編、希望である。>