劇場公開日 2023年2月3日

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「実際には難しいからこそ惹かれるものがあるのかも」ぬけろ、メビウス!! たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5実際には難しいからこそ惹かれるものがあるのかも

2024年3月13日
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鑑賞方法:映画館

なるほど、それでこのタイトルなのね!共感性は低かった主人公が次第に馬鹿に出来なくなる感じ、決心って他人を巻き込む程の熱量を持っていなくては、と改めて思った。幸あれ。

期待していたよりもカメラワークとかに難があって序盤はダメかな…と思っていたけど、きちんと尻上がりに面白くなっていったから安心。続かない、浮気性、夢想家…。自分に対しての自信がない分誰かに依存したくなる像は凄く現代的で、逃れられないことへの諦めも1つあったりする。そこのディティールが立体的。ただ、コミカルに振りたいのか、真剣に描きたいのか微妙な序盤は若干勿体なかった。

しかし、次第に過ちに気づき、失ったものの大きさに気づいた時、人が持つギアは想像を上回りながら走り出していく。努力をバカにすることは出来ないから。その熱量をジワジワと画面から感じる時、こんがらがった世界を解く糸口を見つけるのであった。

主演は坂ノ上茜さん。『愛ちゃん物語♡』でも強烈で大胆なコメディエンヌな雰囲気が似合っていたが、本作も雰囲気が凄く良い。足りない主人公だが突き進む感覚、意外とバランスが難しい役どころでも、ピシッと詰める。そういった所に演技としての信頼を感じる。

終わり方がすごく好き。もちろん書かないけども。いつの間に引かれたレールの上を走ることに慣れた中、その輪から抜け出すのはなかなか難しい。そこにチャレンジする作風が何より素晴らしかった。何度やり直していいはずの人生なのだから。

たいよーさん。